気まぐれ徒然かすみ草ex

京都に生きて短歌と遊ぶ  近藤かすみの短歌日記
あけぼのの鮭缶ひとつある家に帰らむ鮭の顔ひだり向く 

202× 藤原龍一郎 六花書林

2020-03-10 11:31:31 | 歌集
夜は千の目をもち千の目に監視されて生き継ぐ昨日から今日

詩人こそ抵抗の贄かにかくにレジスタンスの武器ぞ雨傘

読み返す『一九八四年』目の前にありてあらざるそのディストピア

夕汐の香こそ鼻孔にせつなけれ深川平久町春の宵

後楽園球場巨人国鉄戦見つつホットドッグを父と食みしよ

銀座線・東西線を東京の静脈として春のことぶれ

地下深く身を沈めてはなお深き次の地下駅めざす日乗

藤圭子自死の夏とぞ記しおく青きコーラの壜は砕けて

新聞に宰相Aのしたり顔玩具の猿がシンバル叩く

仁義なきスチール写真銀幕に死に死に生きる松方弘樹

(藤原龍一郎 202× 六花書林)