ホスピス、緩和ケア看護覚書*カナダ編

ホスピス看護をカナダから。2013年大学院を卒業しました。カナダ人の夫とは14年たっても熱愛中。

刺青

2012年01月31日 | 子育て
AJが刺青を入れて帰ってきた。刺青と言うとなんだか怖いけど、Tattooと言えば優しいでしょうか?
18歳になる記念、友達もしてるし、素敵、後悔しない、ママもしてるし。彼女の実母は数年まえにそのころの恋人と同じ刺青を入れて、その後どんどん足していって、今は身体中にある人。
ママの行く店に行くから感染や合併症の心配はないとか。どこから一体そのような確信が生まれるのか、知識のなさは本当に恐ろしい。

私は医療者なので、いろんな人をみる。刺青は年数が立つと薄れてくるし輪郭がぼやけてくる。色を入れ直すこともできるが、肌の張り具合が変わるので、いれた時と同じようには復元できない。柄に飽きたり、嫌なことを思い出させたり、そのため次々と新しい柄を入れる人が多い。
AJは母親を引き合いに出すが、40代と10代を比較されては困る。彼女はこれから人生の華を咲かす時なのだ。
私たちの考えが古いと言えばそうなのかもしれない。ヤクザのシンボルではないのだ。ただのファッションの一部と言えるだろう。
しかし世の中にはそうとは取れない人がまだまだ多いのだ。
就職する時、結婚する時はどうだろうか?可能性が無限大にある時に、わざわざ自分に制限をかけるような行為をするべきではないと思う。

と思うと同時に、自分のことを棚にあげてとも思う。私が耳にピアスを開けたことは、私の両親にとって、とんでもないことだった。カナダへ来てから私はおへそのピアスもあけた。日本を訪れている時喘息の発作を起こして私は入院した。ERでレントゲンを取るために上着をあけた看護師はギョッとした顔を見せた。私の両親はまるで私が娼婦か何かになったかと言わんばかりだった。カナダでは珍しくもないへそピアス。文化や人種によって受け取り方は様々だ。

一週間前に警告を受けた時、私たちの気持ちはきちんと伝えた。しかし彼女の気持ちは変わらなかった。
18歳になるのだ家に監禁するわけにはいかない。行動を監視し続けることもできない。親として出来ることは、行動の結果がどういう成り行きを起こすのか、人生を多く生きている者として伝えることだけだ。自分の行動の産物と顔を合わせるのは私ではない。彼女なのだ。

AJが6歳の時、耳にピアスをあけたいと言い出した。もちろん私たちは反対した。もっと大きくなってからするべきと思っていた。しかし実母が連れて行った。恐怖で縮こまっている小さい耳たぶの女の子。結果は左右不対象で、成長するにつれてその滑稽さは明らかだった。だから、最近あけ直しをした彼女。
刺青を消すことは出来るが、高額だし、傷は残る。
今度はピアスのようにやり直すことのできないものをしたのだ。痛い目に自分で合わなければわからにのだろう。
服で隠れるところに入れるといっていたが、前腕にいれてきた。ちょっと袖をめくれば誰の目にもつく場所だ。絵里佳への影響はどうだろう。

毎度のことだが、実母の思慮のなさに腹立しくなる。母親として娘の将来をどう考えているのだろう。母娘で同じように刺青を入れることがクールとでも思っているのだろうか。ピアスの時と同じく今回も彼女が連れて行った。

カエルの子はカエル。それ以外のものを願うのは間違いなのだろうか。

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新世界

2012年01月21日 | NP大学院
NPになろうと思った時、NPの仕事はRNの仕事の延長上にあるものだと思った。最近それは思い違いで、今までとは違った新しい世界へ飛び込んだことをひしひし思うのだ。

昨日は一日カンファレンスへ行ってきた。無料だし、食事も出るし、ネットワーキング作り、もしくは将来のコネ作りにと下心満々での参加。

主催者はTherapeutic InitiativeThe Cochrane Collaboration だった。よくある製薬会社主催のものとは違う。で、もちろん内容はEBPだ。エビデンス、ベースドプラクティス(科学的根拠に基づく実践)。参加者は医師、薬剤師、NP、学生で内容はとてもリッチだった。刺激される内容でとても勉強になった。テーブルを共にした医師と薬剤師とのディスカッションもためになった。もちろん私はこの分野で新参なので、知識と経験は乏しい。しかしいろんなアプリーケーションを盛り込んだiPADでそこはカバー。たくさん本を持っていたって、たくさんブックマークをつけていても、たくさんアプリをつけていても必要なときにどれだけ早く必要なページを開けることができるかは大切だ。肌身離さず持ち歩くiPAD。どのアプリがどんな情報があるか把握しつつあるので、昨日は本当に助かった。

授業や実習では得れない角度の医療。看護師時代の知識と経験とは比べられないレベルのものだ。まだまだ私は新しい世界の入り口に立っている。EBPに基づいた適切な治療を提供できるように、これからももっと知識を深めて行きたいと思った。

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大雪警報と3週目

2012年01月17日 | NP大学院
2期が始まって3週間がたちました。1期を超える課題の多さでげんなりしていた2週目。今は開き直ったのかそれともどこにフォーカスを置くか決めることができたのか心的には落ち着いた。

実習はとても興味深い。自分の小道具集めに駆使してちょっと満足。いろんなリファレンス本があってどれを買うかとても迷った。高いし。教科書代だけでどれだけ出費したか、、、。私はいろいろなアプリケーションをiPADに入れてできるだけ本は持たなくていいようにした。それでも授業で見つけたこれぞというアルゴリズム表とか大切なノートを集めて自分作のチートファイルも作ってみた(ブリーフケースみたいなファイルでかっこいい)。と自分の準備の良さにうっとり。

クラスメイトの数人はストレスのあまり、辞める!が口癖になった人が数人。お互い励ましあって過ごしている。みんなストレス最高潮だ。

私もかなりげっそりしていて、家庭、仕事、学校の三本柱をどうバランスよくやっていくか悩みました。で実習の方向が日本人のお弁当屋さん方向なのでそちらで週一は食事を取ることにした。通勤が長く毎日帰宅は6時過ぎの私。とっても助かります!6時からご飯を作り出すと7時に夕食となり夜の勉強の時間が少なくなる。旦那やAJにも助けを求め夕食を作ってくれることになっているけど、やっぱり日本食がいい。安心してほっとできる味。ずいぶん気が楽になりました。

で、今週は大雪。学校のあたりはたいしたことないけれど東へ行くと雪の量が増え吹雪警報も出ている。あちこちで交通事故。ここは雪がめったに降らないから慣れていない人が多いし、4輪駆動やスノータイヤを過信して事故る人が多い。怖い怖い、クリニックもたどり着けないとキャンセルが多く出ているので実習はキャンセル。なのでちょっと気分的にのんびり過ごしている(と言いながらもちろん山のような課題をアタックしているけど)。

2期も無事に終了できますように!

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予防接種

2012年01月10日 | NP大学院
絵里佳の予防接種は全て遅らせた。その上水疱瘡とB型肝炎は断っていた。生後2ヶ月から始まる予防接種のスケジュール。こんな小さい体に一度に何種類もの病原菌を持ち込むなんて、大丈夫なのだろうか、実際に感染する可能性はどれくらいなのだろうか、と思ったからだ。断ると必ず、どうして?と理由を聞かれる。次にはパンフレットを読んでくださいと、安全性を謳った紙を渡される。あのころは自閉症と予防接種の関係を疑っていた頃だし、政府の言っていることを鵜呑みにするものかと、読みもしなかった。周りに同じような考えの親もいたしこれで良いかな、と思っていた。

で、NPコースを始めて、ライセンスをとれば接種をする側になるのだから、もちろん勉強することになり、知識と言うものは本当に大切なのだと思った。

最近の医療はEBPと言い、科学的な根拠(証明) に基づいた医療を提供することに務めている。個人の経験やたった一つの研究結果だけでは、根拠にならない。研究のやり方でその結果の信憑性が評価され、システムレヴューといって、同じことを研究しているものを比較研究したものがEBP につながるのだ。
自閉症と予防接種の関連性はランセットというとても格の高い医学雑誌に研究が掲載されたために、研究自体が信頼性の低いものにもかかわらずあっという間に公共の知識となったのだ。
その後予防接種率は減っても自閉症の発生率は上昇し、公共のプレッシャーから関連性が推測される物質を取り除いた後も発生率は伸び続けた。掲載からすでに23の研究結果が報告されどれも関連性を否定する結果だった。

私が心配していた、一度にたくさんの接種を行うこと。なんと赤ちゃんの時から人間の体は一度に一万種類の予防接種に対応することができるのだ。

予防接種に混合されている他の物質。たとえばアルミニウム。粉ミルクに同じ比率で入っている。粉ミルクを不信に思う人は少ない。

一番注目したいのが、予防接種をせず病気に感染することだ。例えばポリオ。WHOによると、インド、パキスタン、アフガニスタン、ナイジェリアの4カ国での発生率は高い。母国の家族を定期的に訪れる移民は多い。移民の国カナダ。移民者を訪れる家族。ということはカナダでポリオ菌に接触する可能性は高いのだ。
バンクーバーオリンピックの後83件の麻疹ケースが報告された。国際的なイベントで感染症の輸入がおこる。昨年はフランス、ベルギーを初めヨーロッパ各国でも麻疹のアウトブレイク(6500件以上)があった。年末年始にホープで30件の百日咳が報告されている。すべて予防接種をしていない人だったとか。

百日咳といえば70年代に絶滅したと8国でで予防接種が中止されたその結果、イギリスでは1万件の感染ケースそして36人の死亡ケース。日本では1万3千件の感染ケース、113人の死亡となった。

水疱瘡は子供のころに罹患すると無症状の場合が多いが、青年期以上に罹患すると肺炎など合併症が起こるのだ。他の子供達は接種をしているので、カナダで絵里佳が罹患すると可能性は低い。大きくなって、海外へ行った時に罹患する可能性が高いのだ。このことを考え絵里佳に接種をすると決めた。B型肝炎も感染した時のダメージと予防接種の危険性を天秤にかけて接種を決めた。


破傷風、錆びた釘から感染することはだれもが知っていることだろう。では土はどうだろう。ガーデニング、土遊び、菌は土の中に隠れているのだ。北米の土や埃のサンプルの3分の1から破傷風菌が検出されている。

予防接種をしなかったために罹らなくてもよい病気に罹患して、死亡もしくは後遺症を一生残すような事態になるのだ。予防接種が安全だとは言っていない。しかし副作用で死亡する率は、罹患して死亡する率に比べると断然に低いのだ。(ちなみに予防接種が作られた理由はとても感染力の強い菌で接触があれば必ず感染するから、その対策で作られた)

インターネットで検索するといろいろな意見がでている。大事なのは情報の信憑性を見極めることだ。それをせず、なんとなく絵里佳の予防接種を拒否していた私。反省させられた。

ちなみにBC州では1970-1996年生まれの人にはMMRの2度目の接種がフリーで行われています。破傷風は10年毎に打たなければなりません。質問等は地域の保健所かプライマリーケアーにお気軽に聞いてくださいね。子供だけではなく大人も定期的に予防接種を受ける必要があるのでお忘れなく。

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ついに再開

2012年01月06日 | NP大学院
と、2期目が始まりました。そして早速風邪でダウン。ティッシュペーパーの箱を片手に休んでいます。

始めての実習は土砂降りの雨の中。高速で何度も大型トラックと並んで前も見えない状態でした。GPSに頼ったらとんでもないところへ行き、小さい街をグルグル実習先を見つけに回りました。月に3度出張先の診療所での診察にあたるプリセプター。まさに私のHAの最北端の街になる無医村。人口2000人。薬局もなく64km離れた街まで車で行ける人はほとんどいない。処方された薬は隣街の薬局へファックスされ薬は箱に詰められて二日後に長距離バスに乗せられ、街の集会所へ配達される。それぞれが自分の名前の薬をそこへとりにくるとか。

その上街のほとんどの人が薬代金が支払えない。もちろんBCには免除制度があるがそれはきちんと税の申告をした人に限られる。だからここでは普通の都会の医療感覚では仕事にならないのだ。くる人くる人が、病院には入院したくない、検査もいらない、村に残りたいと言う。一週間に一度やってくるこのチームを暖かく迎えてくれる。とても興味深い経験だった。

この診療所、渓谷を一時間ドライブして上がるのだが土砂崩れや落石で有名なところ。特に土砂降りの日は。何度か通行止めになり新しい高速まで迂回となり6時間もかかって帰宅となったことがあるとか。無事に街まで降りてきた時の喜びといったら。
はい月に3回、無医村医療頑張ってきますね。

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どうなるんでしょう。

2012年01月02日 | NP大学院
NPコースでは4回実習がある。私の行っている大学院はその実習時間の多さで有名。で、来月からその1回目が始まる。208時間。かなり長い。只今、BC州には200名弱のNPが働いている。一体どこが自分の実習先になるのか11月ぐらいからやきもきしていた。
どうぞ近くに行けますようにと願っていた。で、ようやく届いたお知らせ。
実習先はなんと、、、、アガシです。ハリソンホットスプリングがある。我が家から片道83kmです。高速を飛ばして1時間ちょっと。ひどい、ひどい、ひどすぎる。授業には片道2時間かけ、実習には往復3時間のドライブ。いったいガソリンをどれぐらい使うのだろうか、考えただけで、頭が重くなる。それに勉強をする時間があるのだろうか、心配だ。
NPの実習先が見つからなくて、GPにつく生徒もいる。NPの実習先をもらったのできっとそこをありがたく思うべきだろうが、、、。天気も心配です。ゆきや突風が少ない冬でありますように。

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明けましておめでとうございます

2012年01月02日 | 日記
スキー旅行から帰って来てから年末年始もしっかり働いていました。働く母ちゃんは大変です。でも休日中にやっておきたかったことは70%ぐらい済ませたし、ママ友と忘年会もできたし(笑った歌った)。旦那の誕生日も盛大に祝ったし満足な3週間でした。

2012年はどんな年になるのでしょうか。どっぷり学校に浸かるのだろうと過去4ヶ月の経験から予測できそう。ちなみに次のタームは薬学、クリニカル手技、プライマリーケア1(診断と治療)です。そして実習。あとプライマリーケアプロジェクト(卒論と呼ばれるもの)もこのタームで終わらせたいなと思っている。そしたら夏4ヶ月も休めるし(私はコアコースを済ませているので)、授業料を節約できると。でもとても忙しそうな予定表。仕事も続けます。あーどうなるんでしょうね…

まあ、今年もよろしくお願いしますヾ(@⌒ー⌒@)ノ

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