ホスピス、緩和ケア看護覚書*カナダ編

ホスピス看護をカナダから。2013年大学院を卒業しました。カナダ人の夫とは14年たっても熱愛中。

葬儀葬祭の意味

2012年06月28日 | 暮らし
祖母は出雲大社教だったので、葬儀はもちろん神道形式だった。お通夜ではなく、前夜祭。葬儀ではなく葬祭。仏式は7日ずつだが神道は10日ずつ。初七日ではなく、10日祭。49日ではなく50日祭となる。

父がたの祖父母がなくなった時は仏式だった。両方を経験して、名前や形式は違っても、どちらも同じような目的があるのだと感じた。それは儀式化という行動をすることで、遺族の悲嘆を柔らかくすることだ。海外に出るまで葬儀の意味を見出せなかった。形式はばかりで中身がないと感じていた。故人を敬う場というより、家の面目などが重要な要素に思えた。海外に住むようになりホスピスでたくさんの死に出会い、悲嘆について学ぶようになってから考えが変わった。

移民の国北米では古くからの儀式がなくなっている面が多い。お葬式はせず、お墓を作らない人さえもいる。お金もかからず、お墓の世話をする必要がないが、故人の家族や友にとって悲しみを分かち合う場がないのだ。私の旦那は祖父母の墓がどこにあるかも知らない。なので実家に帰る度に墓を訪れる私をみて、この世から去っても子孫に敬ってもらえる、死んでからもその存在の意味があることを素晴らしいことだと言っている。

99歳と言う天寿を全うしたと言っても良いほどなのに多くの参列者がいて驚いた。遠く故郷を離れた私は小さい頃あんなに遊んだ従兄妹達に会うこともなかった。しかし祖母の死を通して再会。お互いに父や母になり随分年をとったものだと笑った。本家の叔母たちからは自分が知らなかった、自分や家族について話してもらえる機会もあり、人と人のつながりを確信し、自分がそのネットワーク(コミュニティー)の一部であり、他に影響を与えていることに気づいた。こういう点からも葬儀の大切さを感じた。

コミュニティーの崩壊なども言われるご時世。良い儀式や習慣がコマーシャル化して、行う意義が薄れないように願っている。

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近所のおじいさん

2012年05月08日 | 暮らし
お向えに住んでいるおじいさん、ジョージ
は82歳だけどもっと年上に見える方。一人暮らしでレスリングが好き。家の周りのこともちゃんとする。木に登って枝を剪定したり屋根に上って樋の掃除をしたり、しゃきしゃきに見えるがここ数年、年に何度か救急車のお世話になる。いつも数日で帰ってくるけど。地域のケアマネさんのおかげで介護の方が定期的にくるし、食事も運ばれてくる。この方の子供たちも代わる代わる家を訪れている。

この人大きなピックアップトラックを持っているのだ。背中が丸まって背も低いので運転席に座る姿は”本当に前が見えているのかね~”と不思議なくらい。旦那はジョージの車を見たら安全なところに避難するように私たちに言っていた。

で、ウイスラーから戻って来た時、お隣さんのゲートが壊れているのに気づいた。なんとジョージがバックで出てきてそのまま我が家のお隣さんに突っ込んだとか。ゲートをなぎ倒しその上で車輪が空回りしていた。ジョージは意識を失っていたわけではないけれど、どうしていいかわからずあわてふためいて、ギアはまだ後進のままアクセルを踏んでいたとか。近所数人で、本人を説得させ、運転を変わり車はジョージ宅まで連れて行かれた。もちろん警察も呼んだそうだ。

で、ジョージは運転免許の更新もしていないし、車の保険も2年前に切れたまま。子供たちからはきつくもう運転しないようにと言われていたとか。え!最近でも町を運転している姿は見たよ。ってことは無免許、無保険で運転していたわけ?!怖い、怖すぎる。ゲートが壊れるぐらいでよかったけど、家に突っ込まれていたら?子供がひかれたら?

と近所の人が車を家まで持って行ったあと、バッテリーを引き抜いたとか。これでもう運転はできないぞ、と。

車社会の北米。車を運転することは生きている証拠と言っても過言ではないほど、運転することにこだわる人は多い。仕事上そういう高齢者や病気のために運伝できなくなった人に出会った。プライマリーケアプラクティショナーは医療面から運転の安全性を考慮して免許書センターへ忠告することができる。そしてそれを受けて免許センターが免許書の取り上げもできる。それをされて激怒する人、、、ありましたよ過去に。なので穏便な方法として家族が鍵を隠したりするケースも。

お隣さんには悪いけどゲートが壊れて、すべてが判明してよかったよ、と思う。車は動く凶器。誰も怪我をする前に事が済んでよかったと思う。


最近以前とまったく同じように復元されたゲート。よかった、よかった。

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