ホスピス、緩和ケア看護覚書*カナダ編

ホスピス看護をカナダから。2013年大学院を卒業しました。カナダ人の夫とは14年たっても熱愛中。

過疎医療

2012年03月13日 | NP大学院
カナダは大きな国だ。日本に比べて国土は27倍。そこに日本の人口の2/5が住んでいる。アメリカとの国境になる、北緯49度にそのほとんどが住んでると言うのだから、大部分が過疎医療となる。

過疎地での医師不足は深刻だ。誰もが都会に住みたがる。過疎へ行けば行くほど医師の給与は高額になるが、それでも不足は続く。

アウトポストナーシングと言う仕事がある。無医村地にスペシャルトレーニングをした看護師(ナースプラクティショナーとは違う)を医師の代わりとして送るのだ。看護師と医師は電話でつながり判断がつかないときにいつでも相談できるようになっている。期間は2ー4週間。代わる代わる看護師を送り込むのだ。政府機関や政府と契約を結んでいるエージェンシーなどがその母体となっている。
ナースプラクティショナーになりたい看護師は経験を積むためにこの仕事を短期間するものもいる。私のクラスメイトも2人がそうだ。ナースプラクティショナーになったあと、仕事が見つからない時にこの仕事で食いっぷちをつなぐ人もいる。ナースプラクティショナーの仕事が生まれた背景には過疎地での医師不足と言う社会状況があるからだ。

そんな過疎地での実習。回数を重ねて行くうちに、常連者、家族全員を知るようになった。100年前はゴールドラッシュで栄えた街。産業が後退して仕事がなくなった街。街のほとんどの人が年金受給者か失業保険をもらっている。昔からその地に住む人がほとんどだが、土地の高騰で安価な土地を求め、退職後に移動する人もいる。年々生徒数が少なくなって行く学校。空き家が目立つ街。

先週、患者数が少なかったので医師がレジデントと私を連れてローカルツアーに連れて行ってくれた。歴史をしっかり把握している彼のガイドは楽しかった。救急隊を訪れたり、ドライブインで昼ご飯を食べながら、いろんな話を聞いた。彼は言っていた、過疎医療には都会では味わえない面白さがある。しかし家族のことを考えるとここに住むことはできないと言う。

自然の美しさ、広々とした土地、空気の綺麗さは抜群だ。しかし高校の卒業率は都会に比べて低く、就職先のなさ、文化やスポーツの中心とは遠く離れと家族にとっては魅力に欠けるのも事実。

私は島根県の出身。過疎化の激しいところだ。出雲地方はそうでもないが石見地方は医療難民と呼ばれだしたとか。日本の過疎医療も深刻だと思う。しかしここカナダではそのスケールの大きさから、過疎が本当の過疎なのだ。日本はまだ国が小さいので過疎といってもヘリで飛べば何分の話だが、こちらは何時間のスケールなのだ。どんなに遠くても人が住んでいる限り、医療は必要だ。

来月ウイスラーである過疎医療のカンファレンスへ行くことにした。大きな医療施設が遠いところで、何ができるのか学んでみたいと思ったからだ。3日間の内容はとても充実している。カナダワイドのカンファレンス楽しみだ。

それから、来週末はクラスでファンドレイジング目的のマラソンイベントにも参加する。

なにやら過疎医療が身近に思える今日この頃。

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ショッキングな日々

2012年03月06日 | NP大学院
ブログの更新もせず一ヶ月がたとうとしている。毎日学校でとにかく忙しいの日々で、嵐のように進むこのターム。しかししっかりサバイバルしています。このブログも数週間前に下書きしたままでした。

実習で行っているところにはユースクリニックというものが併設されている。主に避妊についての教育や避妊薬の処方と管理、と言っても自分で買うことができない子がほとんどなので、無料で配布をしている。
13,14,15,16才…と若い子が多い。それなのに中絶の経験がすでにあったり、とこれが現実なのだと、カルチャーショックの日々。

先日も悩んだ末中絶を決心し、中絶直後にIUDをいれた17歳。三週間たっても出血が止まらないと。可能性は感染、破裂、中絶が完全でなかった、などなど。たった一人でクリニックに来た。きっと親にも秘密なのだろう。だが彼はどうなのだ?彼ならば付き添ってくるぐらいのことはできないのか?と思ってしまった。こんな若さでこういう痛みを1人で感じなければならないのかと。自分の行動がもたらした結果とはいえ、、、、だからこそ性教育の大切さ。自分の行動に責任を持てるようになるのには時間がかかるものだと、親として子供に伝えて行きたいと思った。

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