ホスピス、緩和ケア看護覚書*カナダ編

ホスピス看護をカナダから。2013年大学院を卒業しました。カナダ人の夫とは14年たっても熱愛中。

予防接種

2012年01月10日 | NP大学院
絵里佳の予防接種は全て遅らせた。その上水疱瘡とB型肝炎は断っていた。生後2ヶ月から始まる予防接種のスケジュール。こんな小さい体に一度に何種類もの病原菌を持ち込むなんて、大丈夫なのだろうか、実際に感染する可能性はどれくらいなのだろうか、と思ったからだ。断ると必ず、どうして?と理由を聞かれる。次にはパンフレットを読んでくださいと、安全性を謳った紙を渡される。あのころは自閉症と予防接種の関係を疑っていた頃だし、政府の言っていることを鵜呑みにするものかと、読みもしなかった。周りに同じような考えの親もいたしこれで良いかな、と思っていた。

で、NPコースを始めて、ライセンスをとれば接種をする側になるのだから、もちろん勉強することになり、知識と言うものは本当に大切なのだと思った。

最近の医療はEBPと言い、科学的な根拠(証明) に基づいた医療を提供することに務めている。個人の経験やたった一つの研究結果だけでは、根拠にならない。研究のやり方でその結果の信憑性が評価され、システムレヴューといって、同じことを研究しているものを比較研究したものがEBP につながるのだ。
自閉症と予防接種の関連性はランセットというとても格の高い医学雑誌に研究が掲載されたために、研究自体が信頼性の低いものにもかかわらずあっという間に公共の知識となったのだ。
その後予防接種率は減っても自閉症の発生率は上昇し、公共のプレッシャーから関連性が推測される物質を取り除いた後も発生率は伸び続けた。掲載からすでに23の研究結果が報告されどれも関連性を否定する結果だった。

私が心配していた、一度にたくさんの接種を行うこと。なんと赤ちゃんの時から人間の体は一度に一万種類の予防接種に対応することができるのだ。

予防接種に混合されている他の物質。たとえばアルミニウム。粉ミルクに同じ比率で入っている。粉ミルクを不信に思う人は少ない。

一番注目したいのが、予防接種をせず病気に感染することだ。例えばポリオ。WHOによると、インド、パキスタン、アフガニスタン、ナイジェリアの4カ国での発生率は高い。母国の家族を定期的に訪れる移民は多い。移民の国カナダ。移民者を訪れる家族。ということはカナダでポリオ菌に接触する可能性は高いのだ。
バンクーバーオリンピックの後83件の麻疹ケースが報告された。国際的なイベントで感染症の輸入がおこる。昨年はフランス、ベルギーを初めヨーロッパ各国でも麻疹のアウトブレイク(6500件以上)があった。年末年始にホープで30件の百日咳が報告されている。すべて予防接種をしていない人だったとか。

百日咳といえば70年代に絶滅したと8国でで予防接種が中止されたその結果、イギリスでは1万件の感染ケースそして36人の死亡ケース。日本では1万3千件の感染ケース、113人の死亡となった。

水疱瘡は子供のころに罹患すると無症状の場合が多いが、青年期以上に罹患すると肺炎など合併症が起こるのだ。他の子供達は接種をしているので、カナダで絵里佳が罹患すると可能性は低い。大きくなって、海外へ行った時に罹患する可能性が高いのだ。このことを考え絵里佳に接種をすると決めた。B型肝炎も感染した時のダメージと予防接種の危険性を天秤にかけて接種を決めた。


破傷風、錆びた釘から感染することはだれもが知っていることだろう。では土はどうだろう。ガーデニング、土遊び、菌は土の中に隠れているのだ。北米の土や埃のサンプルの3分の1から破傷風菌が検出されている。

予防接種をしなかったために罹らなくてもよい病気に罹患して、死亡もしくは後遺症を一生残すような事態になるのだ。予防接種が安全だとは言っていない。しかし副作用で死亡する率は、罹患して死亡する率に比べると断然に低いのだ。(ちなみに予防接種が作られた理由はとても感染力の強い菌で接触があれば必ず感染するから、その対策で作られた)

インターネットで検索するといろいろな意見がでている。大事なのは情報の信憑性を見極めることだ。それをせず、なんとなく絵里佳の予防接種を拒否していた私。反省させられた。

ちなみにBC州では1970-1996年生まれの人にはMMRの2度目の接種がフリーで行われています。破傷風は10年毎に打たなければなりません。質問等は地域の保健所かプライマリーケアーにお気軽に聞いてくださいね。子供だけではなく大人も定期的に予防接種を受ける必要があるのでお忘れなく。

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