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オペラとクラシック音楽に関する肩の凝らない芸術的な鑑賞の記録

10/28(金)読響「深夜の音楽会」公開収録/沼尻竜典+ミシェル・ダルベルトのオール・ブラームス・プロ

2011年10月30日 22時34分02秒 | クラシックコンサート
読売日本交響楽団「深夜の音楽会」公開収録

2011年10月28日(金)19:00~ すみだトリフォニーホール 1階 5列 15番(無料招待)
指 揮: 沼尻竜典
ピアノ: ミシェル・ダルベルト*
管弦楽: 読売日本交響楽団
【曲目】
ブラームス: ピアノ協奏曲 第2番 変ロ長調 作品83*
《アンコール》
 ブラームス: 3つのインテルメッツォ 作品117-1*
ブラームス: 交響曲 第4番 ホ短調 作品98

 日本テレビ系の音楽番組『深夜の音楽会』の公開収録のためのコンサート。読売日本交響楽団が珍しくすみだトリフォニーホールにやって来て、オール・ブラームス・プログラムである。指揮者も読響には珍しい沼尻竜典さん。ゲストはフランス人のダンディなピアニスト、ミシェル・ダルベルトさんだ。読響は、サントリーホールで定期演奏会と名曲シリーズ、東京オペラシティコンサートホール(2012年10月以降は東京芸術劇場に戻る)で名曲シリーズとマチネーシリーズ、横浜みなとみらいホールで名曲シリーズがあり、東京・横浜の定期ものだけで年間52回、8月のサマーフェスティバルや年末の第九特別コンサート、音楽祭への参加などを合わせると、60回を優に超えるコンサートがある。それにもかかわらず、月に1度のテレビ番組『深夜の音楽会』のためにわさわざコンサートを開催し、視聴者とも限定していない不特定の人々を無料招待する理由がどの辺にあるのかは解らない。クラシック音楽の普及に役立つとも思えるが、テレビを通じて派手に来場希望者を募集している訳でもなさそう。私も知人に教えてもらい、ホームページで内容を確認してハガキで申し込んでおいたら、無事2名分当選(?)し、当日、チケットと交換できる整理券が2枚郵送されてきた。
 という訳なので、今日は完全にタダのコンサートである。チケットとの交換は午後4時からだったので、知人に早めに行ってチケットを確保しておいてもらったら、1階 5列 15番という、ピアノ協奏曲のあるコンサートには最高のポジション、S席相当である。読響のコンサートのS席は定価7,000円だから、何とも得した気分。読響さん、または日本テレビさん、太っ腹である。喜び勇んで錦糸町に出向いた。
 ちなみに、今日のコンサートはテレビ放映の2回分ということらしい。当日チケットと交換しているから、会場は満席になる。完売のコンサートでも空席はあるのに、タダの魅力はたいしたものだ。

 沼尻さんを聴くのは昨年2010年6月の新国立劇場委嘱オペラ『鹿鳴館』以来、コンサートとしては同年5月の「NHK交響楽団in市川」以来である。やはり沼尻さんといえばオペラのイメージが強く、びわ湖ホール・神奈川県民ホール共同制作の『ラ・ボエーム』『ばらの騎士』が記憶に残っている。今日の演奏はといえば、シンフォニックな中にもオペラ的な歌わせ方があったように思う。

 1曲目のピアノ協奏曲第2番は、ミシェル・ダルベルトさんのベテラン的な味わいに終始した。全体的にしっとり系の演奏で、なだらかな節回しかつエレガント。打鍵が柔らかい。音色としてはフランス風の色彩感豊かなものを期待していたのだが、ブラームスということもあってか、やや渋めで湿りがちの印象だった。ペダルを多用(?)してレガートを効かせた流れるような演奏で、ダイナミックレンジは狭く押さえ、曲の枠組みの中に自ら抱え込んでしまったような印象だった。「枯れた」というほどのものではないが、最近、若い演奏家のイキの良い演奏を聴く機会が多いので、ダルベルトさんのような「大人」の演奏には物足りなさを感じてしまうのはやむを得ないことだろうか。
 一方で沼尻さんのオーケストラ・ドライブもかなり控え目な印象。ピアノの音量が大きくないので、オーケストラを大きく鳴らすことなく、終始抑制気味。後半の交響曲とは全く違う音楽作り立ったので、これは敢えてそうしていたのだと思う。ピアノ・ソロを引き立てようとしてのことだと思うが、お互いに控え目なので…。

 後半は交響曲第4番。たまたま偶然ではあるが、最近、バイエルン国立管弦楽団(ケント・ナガノ指揮)ベルリン放送交響楽団(マレク・ヤノフスキ指揮)というドイツのオーケストラで聴いたばかり。どいうても比較してしまうことになってしまい…。まあ、今日はタダのコンサートなので、あまり多くは語らないようにしよう。沼尻さんの指揮は、第1楽章の冒頭から、レガートを効かせた歌うようなオーケストラ・ドライブ。ピタリと拍を刻むような演奏ではないので、弦楽のアンサンブルも曖昧さを残しつつ、厚みのある音はいつもの読響である。金管楽器には若干の問題あり。木管も調子がやや一本的。弦、金管、木管のバランスも、どこか曖昧でまとまりが感じられず…。何かいつもの読響らしからぬ感じだった。前半に比べれば、馬力のあるオーケストラ・サウンドに戻ってはいたし、沼尻さんも全身を大きく使って精一杯の指揮をしているのだが…。「笛吹けど踊らず」。いや「指揮すれど笛吹かず」。いやいや、フルートはうまかったので、「指揮すれどオケ踊らず」といった印象だった。

 今日の公開収録の様子は、2012年1月11日(水)、2月8日(水)の2回に分けて日本テレビ系『深夜の音楽会』で放送される。テレビの収録ものは現場の印象とは違って感じられることが多いのは、聴いている席の位置の影響や、あるいはマルチトラックで録音され編集されるからだと思える。いずれにしても今日は最良の席で聴いた訳だから、放送と比較してみたいものだ。

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2 コメント

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チケット (ありえった)
2011-10-31 08:22:07
チケット当たったのね~。私はネットで申し込んでおいたのですが全く音沙汰なしでした。読売さんとはとことん相性悪そうです(笑)
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私は相性良いです(?) (ぶらあぼ)
2011-10-31 22:21:44
アリエッタ様
私は逆に読響さんとは相性が良いみたい。エヴァ・メイさんのサイン入り写真が当たったこともありました。いっぱい会員になっているからかなァ?? 来期もまたシリーズ増やしちゃいました…。行く時間があるかなァ。
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