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ベルリン放送交響楽団 2011年日本公演
Rundfunk-Sinfonieorchester Berlin Japan Tour 2011
2011年10月14日(金)19:00~ 東京オペラシティコンサートホール S席 1階 1列 24番(会員招待)
指 揮: マレフ・ヤノフスキ
管弦楽: ベルリン放送交響楽団
【曲目】
ブラームス: 交響曲第3番ヘ長調 作品90
ブラームス: 交響曲第4番ホ短調 作品98
《アンコール》
シューベルト: 劇音楽「ロザムンデ」より間奏曲
今週3度目のベルリン放送交響楽団のコンサート。ベルリン放送響にそれほど特別な思い入れがあったわけではないのだが、結果的には、横浜みなとみらいホール、NHKホールに続いて今日は東京オペラシティコンサートホールでオール・ブラームスのプログラムだ。結局、ベルリン放送響が今回の日本ツアーに持ってきた曲を全部聴くことになった。
もともとこの日は行く予定にはしていなかったのだが、招聘元のJAPAN ARTSさんが夢倶楽部会員に対して、数種類のコンサートやバレエの公演に招待してくれることになり、申し込んでおいたら今日のコンサートが当たったというわけ。希望の席位置を伝えたわけでもないのに、どういうわけかまたまた1列目(少し右寄りではあるか)。最終的に、ベルリン放送響の3回のコンサートをすべて1列目で聴くことになった。
さすがに3度目なので演奏について簡単にレビューするのに留めることにする。
マレク・ヤノフスキさんの音楽は、今回のツアーを聴いてすっかり好きになってしまった。基本的にスコアに忠実、速めのインテンポ、リズム感が明快で鋭く、音のダイナミックレンジは広い。躍動的でダイナミックだが、豪快というのではなく、繊細にして緻密である。音楽の構造を堅牢に打ち出し、しっかりした枠組みの中で、作曲家のロマンを描き出す。極めて洗練された芸術表現でありながら、職人的なかたくなさでオーケストラをドライブしている。…というような印象だった。
ブラームスの交響曲2曲では、ベートーヴェンよりは構造感にフレキシブルさを持たせているようだ。古典派には古典派の、ロマン派にはロマン派の枠組みがあるのだろう。ベートーヴェンよりは豊かになる抒情性を、しなやかに表現していたと思う。第3番の第3楽章などは、目の前1メートルくらいのところにチェロのセクションがあったため、振動が伝わってくるように豊かに主題が響いて嬉しかった。第4番の第1楽章の枯れた主題も、速めのインテンポでいくと瑞々しく感じられて、ぐっと若返る感じがしたのも新発見だった。主題のフレーズを大きく歌わせていたのも、ベートーヴェンとは違ったバランス感覚の現れだろう。
やはりドイツのオーケストラだけあって、ブラームスによく合う音色を出していた。ガラス細工のように繊細だが無色透明ではなくやや翳りのある音色の弦楽、森の中の鳥の鳴き声のようなオーボエ、ゆっくりと吹き抜ける風のようなクラリネット、狩人の角笛のようなホルンなどが特に印象に残った。完全無欠のベルリン・フィルと違って、ドイツ・ローカルに感じられるところが、あたたかみがあってとても好ましく感じられた。
ヤノフスキさんによれば、ベルリンにはオーケストラがたくさんあって、それぞれが特徴を出さなければ生き残っていけない競争社会なのだという。彼はオーケストラを厳しく育て上げ、技術を高めただけではなく、ここにしかない特徴を育てようとしているらしい。その試みはどこまで完成したのかは解らないが、今回のベルリン放送響のすべての演奏を聴いてみて言えることは、このオーケストラはドイツ的な伝統的な音色と現代的な高度な水準の技術を持った素晴らしいオーケストラだということだ。演奏している姿を見ていると、全員の目が輝き、また指揮者をよく見ている。何より本気で演奏しているのが伝わってくるのである。私も会員になっている日本のオーケストラ(読響、東京フィル、新日本フィル)も、このような特徴が感じられるようになると良いのだが…。技術論ではなく、精神論みたいなものなのだろうか…。
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Rundfunk-Sinfonieorchester Berlin Japan Tour 2011
2011年10月14日(金)19:00~ 東京オペラシティコンサートホール S席 1階 1列 24番(会員招待)
指 揮: マレフ・ヤノフスキ
管弦楽: ベルリン放送交響楽団
【曲目】
ブラームス: 交響曲第3番ヘ長調 作品90
ブラームス: 交響曲第4番ホ短調 作品98
《アンコール》
シューベルト: 劇音楽「ロザムンデ」より間奏曲
今週3度目のベルリン放送交響楽団のコンサート。ベルリン放送響にそれほど特別な思い入れがあったわけではないのだが、結果的には、横浜みなとみらいホール、NHKホールに続いて今日は東京オペラシティコンサートホールでオール・ブラームスのプログラムだ。結局、ベルリン放送響が今回の日本ツアーに持ってきた曲を全部聴くことになった。
もともとこの日は行く予定にはしていなかったのだが、招聘元のJAPAN ARTSさんが夢倶楽部会員に対して、数種類のコンサートやバレエの公演に招待してくれることになり、申し込んでおいたら今日のコンサートが当たったというわけ。希望の席位置を伝えたわけでもないのに、どういうわけかまたまた1列目(少し右寄りではあるか)。最終的に、ベルリン放送響の3回のコンサートをすべて1列目で聴くことになった。
さすがに3度目なので演奏について簡単にレビューするのに留めることにする。
マレク・ヤノフスキさんの音楽は、今回のツアーを聴いてすっかり好きになってしまった。基本的にスコアに忠実、速めのインテンポ、リズム感が明快で鋭く、音のダイナミックレンジは広い。躍動的でダイナミックだが、豪快というのではなく、繊細にして緻密である。音楽の構造を堅牢に打ち出し、しっかりした枠組みの中で、作曲家のロマンを描き出す。極めて洗練された芸術表現でありながら、職人的なかたくなさでオーケストラをドライブしている。…というような印象だった。
ブラームスの交響曲2曲では、ベートーヴェンよりは構造感にフレキシブルさを持たせているようだ。古典派には古典派の、ロマン派にはロマン派の枠組みがあるのだろう。ベートーヴェンよりは豊かになる抒情性を、しなやかに表現していたと思う。第3番の第3楽章などは、目の前1メートルくらいのところにチェロのセクションがあったため、振動が伝わってくるように豊かに主題が響いて嬉しかった。第4番の第1楽章の枯れた主題も、速めのインテンポでいくと瑞々しく感じられて、ぐっと若返る感じがしたのも新発見だった。主題のフレーズを大きく歌わせていたのも、ベートーヴェンとは違ったバランス感覚の現れだろう。
やはりドイツのオーケストラだけあって、ブラームスによく合う音色を出していた。ガラス細工のように繊細だが無色透明ではなくやや翳りのある音色の弦楽、森の中の鳥の鳴き声のようなオーボエ、ゆっくりと吹き抜ける風のようなクラリネット、狩人の角笛のようなホルンなどが特に印象に残った。完全無欠のベルリン・フィルと違って、ドイツ・ローカルに感じられるところが、あたたかみがあってとても好ましく感じられた。
ヤノフスキさんによれば、ベルリンにはオーケストラがたくさんあって、それぞれが特徴を出さなければ生き残っていけない競争社会なのだという。彼はオーケストラを厳しく育て上げ、技術を高めただけではなく、ここにしかない特徴を育てようとしているらしい。その試みはどこまで完成したのかは解らないが、今回のベルリン放送響のすべての演奏を聴いてみて言えることは、このオーケストラはドイツ的な伝統的な音色と現代的な高度な水準の技術を持った素晴らしいオーケストラだということだ。演奏している姿を見ていると、全員の目が輝き、また指揮者をよく見ている。何より本気で演奏しているのが伝わってくるのである。私も会員になっている日本のオーケストラ(読響、東京フィル、新日本フィル)も、このような特徴が感じられるようになると良いのだが…。技術論ではなく、精神論みたいなものなのだろうか…。
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