都民芸術フェスティバル 参加公演
オーケストラ･シリーズ No.50《東京フィルハーモニー交響楽団》
2019年2月5日（火）19:00〜 東京藝術劇場コンサートホール A席 1階 B列 27番 2,800円
指 揮：角田鋼亮
ヴァイオリン：神尾真由子*
管弦楽：東京フィルハーモニー交響楽団
コンサートマスター：依田真宣
【曲目】～ファンタジーな世界～
ニコライ：歌劇『ウィンザーの陽気な女房たち』序曲
ブルッフ：スコットランド幻想曲 作品46*
ベートーヴェン：交響曲 第7番 イ長調 作品92
《アンコール》
アンダーソン：『アイルランド組曲』より「夏のなごりのバラ（庭の千草）」
「都民芸術フェスティバル」のオーケストラ･シリーズで東京フィルハーモニー交響楽団の公演を聴く。やはり目玉となるのは、ゲストの神尾真由子さんが弾くブルッフの「スコットランド幻想曲」だろう。実はつい先日（1月22日）、大阪フィルハーモニー交響楽団の東京公演の際、神尾さんのソロでブルッフの「ヴァイオリン協奏曲 第1番」を聴いたばかり。同じソリストでブルッフの名曲2曲を続けて聴けるのはかなり貴重な体験で、うれしい限りだ。ただし今日のコンサートは、チケット発売日を失念していたため良い席が取れなかった。したがって珍しく2列目の右ブロックになってしまったが、この辺までくるとやはり音響の感じが変。つまりバランスが良くない。まあ、仕方のないことだけれども。
「スコットランド幻想曲」は、ハープが重要な役割を果たすため、指揮者を挟んでヴァイオリンのソリストの対向位置奥に置かれていた。通常の配置でチェロの前辺りである。私の位置からだとヴィオラの人たちの向こう側になり、近い割りにはあまり音が聞こえて来なかったのが残念だった。逆に立って演奏する神尾さんのヴァイオリンの音はリアルに聞こえる。ねっとりと濃厚なロマンティック･サウンドとでもいうべきか、質感たっぷりの演奏であった。この曲はヴァイオリン協奏曲の形態になっているけれども、ソリストは美しい旋律主体であって超絶技巧を披露するような曲ではない。また表現力の面から見ても、旋律自体が聴きやすく美しいので、まあ、普通に演奏すれば普通に素敵に聞こえるはず。ところが、そこが神尾さんの素晴らしいところで、音符のひとつひとつに濃厚なニュアンスが込められ、深いヴィブラートを効かせて、豊かなフレージングで旋律を歌わせる。元の旋律がスコットランド民謡を集めたものなので、その歌謡的な演奏は見事であった。
ベートーヴェンの「交響曲 第7番」は、全体的に速めのテンポ設定で、スッキリとした推進力があり、角田鋼亮さんはいかにも若手指揮者らしい溌剌とした演奏をしていた。この演奏自体には好感が持てる。気になったのは、東京芸術劇場コンサートホールの豊か過ぎる音響（残響音が長くおとが濁りがち）の中でこの手の曲を速く演奏すると、ヴァイオリンなどの速いパッセージが残響に飲み込まれて全く聞こえなくなってしまう。第4楽章などが顕著だ。おそらくは後方席や、2階･3階などでは音の分離が悪いから、モワーッとした音の塊になってしまうはず。ホールの響きも計算に入れた演奏が望まれる･･･のだろうか。
アンコールでは、アンダーソンの『アイルランド組曲』より「夏のなごりのバラ（庭の千草）」が演奏された。ヴァイオリンのソロはコンサートマスターの依田真宣さんが美しい音色を聴かせてくれた。ハープは第2ヴァイオリンの後方で演奏していた。後半のプログラムがベートーヴェンの7番なのにステージにハープが置いてあったわけで･･･笑。
この曲が選ばれたのは、「スコットランド幻想曲」からの流れとハープがある、という辺りだろうが、ならばついでに、神尾さんのソリスト･アンコールで弾いて欲しかったと思ったのは私だけではないだろう。
ちなみに、芸劇のアンコールのお知らせには「ロンドンデリーの歌」となっていたが、これは間違い。そもそも『アイルランド組曲』に「ロンドンデリーの歌」は入っていない。それにしても誰も気が付かなかったのかな･･･。
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オーケストラ･シリーズ No.50《東京フィルハーモニー交響楽団》
2019年2月5日（火）19:00〜 東京藝術劇場コンサートホール A席 1階 B列 27番 2,800円
指 揮：角田鋼亮
ヴァイオリン：神尾真由子*
管弦楽：東京フィルハーモニー交響楽団
コンサートマスター：依田真宣
【曲目】～ファンタジーな世界～
ニコライ：歌劇『ウィンザーの陽気な女房たち』序曲
ブルッフ：スコットランド幻想曲 作品46*
ベートーヴェン：交響曲 第7番 イ長調 作品92
《アンコール》
アンダーソン：『アイルランド組曲』より「夏のなごりのバラ（庭の千草）」
「都民芸術フェスティバル」のオーケストラ･シリーズで東京フィルハーモニー交響楽団の公演を聴く。やはり目玉となるのは、ゲストの神尾真由子さんが弾くブルッフの「スコットランド幻想曲」だろう。実はつい先日（1月22日）、大阪フィルハーモニー交響楽団の東京公演の際、神尾さんのソロでブルッフの「ヴァイオリン協奏曲 第1番」を聴いたばかり。同じソリストでブルッフの名曲2曲を続けて聴けるのはかなり貴重な体験で、うれしい限りだ。ただし今日のコンサートは、チケット発売日を失念していたため良い席が取れなかった。したがって珍しく2列目の右ブロックになってしまったが、この辺までくるとやはり音響の感じが変。つまりバランスが良くない。まあ、仕方のないことだけれども。
「スコットランド幻想曲」は、ハープが重要な役割を果たすため、指揮者を挟んでヴァイオリンのソリストの対向位置奥に置かれていた。通常の配置でチェロの前辺りである。私の位置からだとヴィオラの人たちの向こう側になり、近い割りにはあまり音が聞こえて来なかったのが残念だった。逆に立って演奏する神尾さんのヴァイオリンの音はリアルに聞こえる。ねっとりと濃厚なロマンティック･サウンドとでもいうべきか、質感たっぷりの演奏であった。この曲はヴァイオリン協奏曲の形態になっているけれども、ソリストは美しい旋律主体であって超絶技巧を披露するような曲ではない。また表現力の面から見ても、旋律自体が聴きやすく美しいので、まあ、普通に演奏すれば普通に素敵に聞こえるはず。ところが、そこが神尾さんの素晴らしいところで、音符のひとつひとつに濃厚なニュアンスが込められ、深いヴィブラートを効かせて、豊かなフレージングで旋律を歌わせる。元の旋律がスコットランド民謡を集めたものなので、その歌謡的な演奏は見事であった。
ベートーヴェンの「交響曲 第7番」は、全体的に速めのテンポ設定で、スッキリとした推進力があり、角田鋼亮さんはいかにも若手指揮者らしい溌剌とした演奏をしていた。この演奏自体には好感が持てる。気になったのは、東京芸術劇場コンサートホールの豊か過ぎる音響（残響音が長くおとが濁りがち）の中でこの手の曲を速く演奏すると、ヴァイオリンなどの速いパッセージが残響に飲み込まれて全く聞こえなくなってしまう。第4楽章などが顕著だ。おそらくは後方席や、2階･3階などでは音の分離が悪いから、モワーッとした音の塊になってしまうはず。ホールの響きも計算に入れた演奏が望まれる･･･のだろうか。
アンコールでは、アンダーソンの『アイルランド組曲』より「夏のなごりのバラ（庭の千草）」が演奏された。ヴァイオリンのソロはコンサートマスターの依田真宣さんが美しい音色を聴かせてくれた。ハープは第2ヴァイオリンの後方で演奏していた。後半のプログラムがベートーヴェンの7番なのにステージにハープが置いてあったわけで･･･笑。
この曲が選ばれたのは、「スコットランド幻想曲」からの流れとハープがある、という辺りだろうが、ならばついでに、神尾さんのソリスト･アンコールで弾いて欲しかったと思ったのは私だけではないだろう。
ちなみに、芸劇のアンコールのお知らせには「ロンドンデリーの歌」となっていたが、これは間違い。そもそも『アイルランド組曲』に「ロンドンデリーの歌」は入っていない。それにしても誰も気が付かなかったのかな･･･。
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