Bravo! オペラ & クラシック音楽

オペラとクラシック音楽に関する肩の凝らない芸術的な鑑賞の記録

2/3(日)幸田浩子&林美智子デュオ・リサイタル/千葉/二期会の二大スターが美しく楽しい夢の世界を

2013年02月09日 00時46分14秒 | クラシックコンサート
プレミアム・クラシック・シリーズ Vol.15
幸田浩子&林 美智子 デュオ・リサイタル


2013年2月3日(日)14:00~ 千葉県文化会館・大ホール 指定席 1階 1列 26番 4,000円
ソプラノ: 幸田浩子 ♥
メゾ・ソプラノ: 林 美智子 ♦
ピアノ: 河原忠之
【曲目】
ビゼー: 歌劇『カルメン』より「ハバネラ」♦
プーランク: パリへの旅(歌曲集『月並み』より)♦
ヴィアルド: ホテル(歌曲集『月並み』より)♦
ヴィアルド: カディスの娘たち ♦
アーン: わが詩(うた)に翼ありせば ♦
サティ: ジュ・トゥ・ヴ ♦
ヨハン・シュトラウスII: 喜歌劇『こうもり』より「侯爵様、あなたのようなお方は」♥
シュトルツ: 喜歌劇『お気に入り』より「私の心の皇帝」♥
レハール: 喜歌劇『メリー・ヴィドウ』より「ヴィリアの歌」♥
オスカー・シュトラウス: 喜歌劇『ワルツの夢』より「扉を開けて」♥
-----(休憩)-----
ドリーブ: 歌劇『ラクメ』より花の二重唱「おいで、マリカ」♥♦
サン=サーンス: 歌劇『サムソンとデリラ』より「あなたの声に心は開く」♦
ベッリーニ: 歌劇『清教徒』より「あなたの優しい声が」♥
ロッシーニ: 歌劇『セビリアの理髪師』より「今の歌声は」→ ビゼー: 歌劇『カルメン』より「セギディーリャ」♦
オッフェンバック: 歌劇『ホフマン物語』より舟歌「美しい夜、おお、恋の歌よ」♥♦
オッフェンバック: 歌劇『ホフマン物語』よりフィナーレ「お前の心の燃えがらで」♥♦
《アンコール》
 ジーツィンスキー: ウィーン、我が夢の街 ♥
 武満 徹: 小さな空 ♦
 ヨハン・シュトラウスII: 喜歌劇『こうもり』より「シャンパンの歌」♥♦

 千葉県文化振興財団主催の「プレミアム・クラシック・シリーズ Vol.15」は、幸田浩子さんと林 美智子さんによるデュオ・リサイタル。二期会を代表するスター歌手、というよりは日本のオペラ界を代表するスター歌手であるお二人のリサイタルは、過去に何度も聴いたことがあるし、デュオ・リサイタルも何度か聴いているが、今日はちょっと久しぶりの印象だった。林さんのリサイタルに幸田さんが聴きにいらしていたのもお見かけしたことがあるし、お二人は二期会のオペラで共演することも多く、仲良しデュオである。ピアノ伴奏は、もちろん河原忠之さん。

 林さんは、昨年は王子ホールでのリサイタルを2回聴いているので、2012年1月には武満徹の世界をたっぷりと、9月にはベル・エポックのフランス歌曲をたっぷりときかせていただいた。また、<ahref="http://blog.goo.ne.jp/bravo_opera_classica/e/b844352bbe38d6d8aa0fee25860f0696">日生劇場オペラの公演でアリベルト・ライマンさんのオペラ『メデア』の日本初演にも参加されて重要な役柄のクレオサを歌って久しぶりのオペラでも存在感を発揮していた。もちろん、「NHKニューイヤーオペラコンサート」にも連続出演中であるし、読売日本交響楽団の年末の「第九演奏会」も毎年常連なので、1年を通せば、けっこう回数を聴いていることになる。もっとも、昔からファンだったので、ほとんど「オッカケ」に近いといえそうだが…。
 一方の幸田さんはといえば、最近ちょっとご無沙汰してしまっていて、昨年2012年は「NHKニューイヤーオペラコンサート」4月の「二期会創立60周年記念ガラ・コンサート」くらいしか聴いていないのは、いろいろとタイミングが合わなかったからである。余談だが、今年は「NHKニューイヤーオペラコンサート」には出演されなかったが、名古屋で開催された「ニューイヤーコンサート」に出演されていて、現地(中部・東海)ではテレビ放送があったというので、知人を通じて録画を取り寄せることができ、観ることができた。

 プログラムの前半は、それぞれがソロで、まず林さんが6曲、続いて幸田さんが4曲、持ち歌を披露。林さんは、『カルメン』を除く5つのフランス歌曲は、いずれも昨年2012年2月にリリースされたCD「ベル・エクサントリック~林美智子ベル・エポック歌曲集~」に収録されているもの。また、幸田さんのオペレッタからの4曲は、2012年11月にリリースされたばかりのCD「ワルツの夢~幸田浩子・イン・ウィーン」に収録されている。つまり、いま一番旬なプログラムということになる。
 まずは林さん。今日のような、いわば地方公演では、とくに演出もなく、ピアノも河原さんなので、すっかりくつろいだ雰囲気であった。王子ホールでのリサイタルに比べれば、会場は大きいし聴衆も多いが、ピーンと張りつめたようなところがなく、ほのぼのとしたムードが心地よい。歌唱については、もう何もいうべきことはない。人肌の温もりを感じさせるメゾ・ソプラノの柔らかい声で、オペラアリアと違って歌曲では声を張る必要もなく、しっとりと情感の込められた歌唱であった。
 一方、幸田さんの方は、かつて専属で在籍していたウィーン・フォルクス・オーパー時代に培ったオペレッタの世界を存分に聴かせてくれた。ショトルツやオスカー・シュトラウスなど、日本ではあまりお馴染みとは言えないが、ウィーンのオペレッタは多分こんな雰囲気なのだろうな、と思わせる、明るく楽しく、優雅で、ちょっと切ない、ウィンナ・ワルツに乗せられた澄んだ声がとても素敵だった。幸田さんの軽快な声は、ウィーンのオペレッタにピッタリである。

 後半はデュオも聴かせてくれた。『ラクメ』はさすがに上演機会の少ない作品で、私も1回しか観たことがないが、アリア「鐘の歌」とともに有名なのが花の二重唱「おいで、マリカ」である。二人のデュエットは息のあったところをみせ、声質は違うのにキレイにハモっていた。もう10回以上も共演しているというし、この辺りは実力もトップクラスのお二人である。
 林さんの『サムソンとデリラ』は久しぶりに聴いたが、サン=サーンスの美しい旋律と下からせり上がってくるようなメゾ・ソプラノ特有の押し出す感じが、切々としたデリラの心情を歌い上げて、お見事である。
 幸田さんの『清教徒』は、一転して声を張りつめた「狂乱の場」である。伸びのある高音部と、コロラトゥーラの装飾的な歌唱が素晴らしい。オペラで演技付きでぜひ聴いてみたい。
 林さんの次の曲は『セビリアの理髪師』から予定を変えて『カルメン』の「セギディーリャ」。お正月の「NHKニューイヤーオペラコンサート」といい、最近の林さんはすっかりカルメンづいてしまった。もっともメゾ・ソプラノが主役のオペラは少ないから、やむを得ないところだが…。
 最後は『ホフマン物語』から二重唱を2曲。ここでも息のあったところを聴かせてくれた。今年2013年の7~8月に東京二期会のオペラ公演で『ホフマン物語』を上演するが、今回はお二人とも出演はしない。それでも二期会の宣伝のため(?)、プログラムに載せられたということだろうか。

 アンコールは、まず幸田さんのソロで、ジーツィンスキーの「ウィーン、我が夢の街」。ウィーンで暮らした5年間を思い出す…とか。素敵な曲である。続いて林さんのソロで武満 徹の「小さな空」。林さんとしてはすっかりお馴染みのレパートリーだが、河原さんが突然仕掛けて、静かに終わる最後の「いたずらが過ぎて~」のサビの部分を「もう一度」とリピート。ピアノ伴奏で煽ってフォルテで歌わせてしまった。こんなアドリブが効くのも河原さんならではの茶目っ気だ。最後は『こうもり』から「シャンパンの歌」を日本語で。会場の手拍子を巻き込んで、楽しく締めくくった。

 ひとつ付け加えておきたいのは、河原さんのピアノ。オペラ・アリアでも歌曲でも、この人の伴奏は最高に素晴らしい。歌手に合わせたり、煽ったりするのが上手いだけでなく、歌唱の切れ目などにピアノが煌めき、もう伴奏の域を超えて、楽曲をひとまわりもふたまわりも大きくしてしまう。たった1台のピアノで、ヘタな60名のオーケストラよりも多彩な表現を聴かせてくれるのだ。オペラを知り尽くしたコレペティトゥーアの真骨頂である。

 終演後は恒例のサイン会。この「プレミアム・クラシック・シリーズ」では、ほぼ毎回サイン会がある。幸田さん新譜CDは会場で購入し、林さんのCDにはまだサインをいただいてなかったので、列に並び、それぞれにサインしていただいた。林さんには、全開の王子ホールのリサイタルの時に撮らせていただいた写真にもサインをいただいた。
 今年は2月の後半に東京二期会のオペラ公演でヨハン・シュトラウスIIの『こうもり』にお二人とも出演される(2月20日、23日)。役はもちろん、幸田さんがアデーレで、林さんがオルロフスキー公爵である。二期会の総力を結集した日本語公演。これは楽しそうだ。今日の会場でもチケット販売をしていたが、今回はけっこう売れているらしい。私も2月23日の公演に行く予定だ。



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