Bravo! オペラ & クラシック音楽

オペラとクラシック音楽に関する肩の凝らない芸術的な鑑賞の記録

9/25(火)林 美智子 Player Vol.4/温かく優しい歌声のベル・エポック・フランス歌曲の夕べ

2012年09月27日 00時38分11秒 | クラシックコンサート
林 美智子 Player Vol.4 ~ à la Française ~

2012年9月25日(火)19:00~ 王子ホール 指定席 A列 16番 5,000円
メゾ・ソプラノ: 林 美智子
ピアノ: 河原忠之
バンドネオン: 三浦一馬*
【曲目】
ストラヴィンスキー: アヴェ・マリア                  
プーランク    : 歌曲集「月並み」より パリへの旅/ホテル
         : おまえはこんな風なのだ(ルイーズ・ドゥ・ヴィルモラン詩)
ヴィアルド    : カディスの娘たち
         : アイ・リュリ(グザヴィエ・ドゥ・メストル詩)
ショーソン    : ハチドリ
         : リラの花咲くころ
ドリーブ     : カディスの娘たち
ドビュッシー   :「みやびやかな宴1」
           ひそやかに/あやつり人形/月あかり
ラヴェル     : イタリアの唄
アーン      : 星のない夜は
         : 我が詩(うた)に翼ありせば
マスネ      : エレジー
オーリック    : ムーラン・ルージュ
サティ      : ジュ・トゥ・ヴ*
《アンコール》
 橋本國彦    : お菓子と娘

 メゾ・ソプラノの林美智子さんが年に1回のペースで開催している王子ホール主催の「Player」シリーズのVol.4。前回のVol.3がもともと昨年2011年の3月31日に予定されていたため、東日本大震災の影響で延期になり今年の1月31日に開催された。そこで少々間隔がずれてしまい、今日のVol.4となった。とはいえ、今年の2月にリリースされた林さんの3枚目のCDアルバム『Belle Excentrique 林美智子ベル・エポック歌曲集』の内容をほぼ踏襲したのが今日のリサイタルである。あらかじめCDを聴いていれば良かったのだが、今回はどういうわけか未購入のまま今日に至り、あわてて会場で購入した。そのため、上記のプログラムを見ても分かるように、あまり一般的でない曲ばかり。聴いたことがない曲ばかりだったのは私だけではないだろう。ピアノ伴奏は、お馴染みの河原忠之さん。今日はゲストにバンドネオンの三浦一馬さんも参加された。

 ステージが暗転し何も見えなくなると河原さんがそっとピアノの椅子に座る。開いたままの下手(しもて)の扉から明かりが漏れていて、やがて無伴奏で歌声が聞こえてきた。ストラヴィンスキーの「アヴェ・マリア」。小さな声がだんだん大きくなってきたところで曲が終わった。ステージに明かりが点り、林さんが登場、ピアノがガツンとフォルテで弾き始めた。プーランク…ヴィエルド…ショーソン…ドリーブ。う~ん、初めて聴く曲ばかり。フランス語もほとんど分からないし、プログラムには対訳が載っていたが、暗くて読めないし、第一最前列にいて、林さんが目の前で歌っているのに対訳を読みながら、なんていうのも失礼だし…。というわけで、心地よく聞こえてくる近代フランスの洒脱な歌曲を、ただ漠然と聴いていた。人肌の温もりを感じさせるメゾ・ソプラノという声域は、普通に会話するように、自然で優しく聞こえる。もちろん林さんのお人柄も、また歌唱の方も一段と大人の風情で、気持ちの良い歌声が続いた。ショーソンの2曲だけは、彼女のCDにも収録されていない曲だった。またドリーブは19世紀の人というイメージだが、フランス音楽は何となく似ていて、ロマン派も印象派も近代も、独特のエスプリがいっぱい。とくに歌曲はそのような色彩が強く感じられる。

 後半はドビュッシーから。ステージにアンティークな木製の机と椅子が置かれていた。机の上には古めかしい本の山がある。林さんは椅子に腰掛け、おもむろに歌い出す(実は机の本の山は譜面台の代わりになっている)。ラヴェル…アーン…マスネ…オーリックと続く。プログラムを見ていないとどの曲をうたっているかも分からなくなってしまい、拍手するタイミングもよく分からず…。今日来ていた聴衆も似たり寄ったりの感じで、けっこう戸惑っていた。CDの発売からは半年以上が経過していたが、曲目を見れば分かるように、あまりポピュラーなプログラムではないようだ。
 ゲストの三浦一馬さんが参加したのはサティの「ジュ・トゥ・ヴ」の1曲だが、こちらは一般的にも知られた曲だ。実はバンドネオンの生演奏を聴いたのは初めてのような気がする。ノスタルジックな音色は、ベル・エポック時代の雰囲気をよく醸し出していた。
 林さんの歌声は、メゾ・ソプラノの温かく優しく感じる面がよく出ていた。フランスの歌曲というのも、ベル・エポックという、アンティークとコンテンポラリーの混ざったような、近代音楽的な色彩感も、ぴったり合っている。オペラのアリアのように、強烈に自己主張するのとは違って、日常の暮らしの中にある音楽は、あくまで自然で、優しく響く素敵なものだった。
 アンコールは、橋本國彦の「お菓子と娘」。同時代のパリの風情を歌った日本の歌曲だ。この曲もCDに収められている。こうして聴いてみると、日本の歌曲もとても良いものだとしみじみ思う。

 本シリーズの次回、「Player Vol.5」の開催も決定している。正確に日付は聞き逃したが、1年後の来年の秋で、今度はフランスもののオペラ・アリアを中心に、ということだ。また楽しみが増えたが、1年後ですか…。



 終演後は恒例のサイン会。王子ホールでのサイン会はあまり人数も多くならないので、和気藹々としたムードの中で行われる。今回はCDは購入したが、こちらの方はパスして、前回の「Player Vol.3」の時のサイン会で撮らせていただいた写真にサインしていただいた。もちろんこの写真は林さんにもプレゼント。多少は喜んでいただけたと思う。サイン会では、河原さんと三浦さんも参加されていたので、プログラムにサインしていただいた。林さんと河原さんのコンビのサイン会ももう何度目だろう…。



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