Bravo! オペラ & クラシック音楽

オペラとクラシック音楽に関する肩の凝らない芸術的な鑑賞の記録

「東京文化会館・大ホール」~世界の超一流音楽ホール

2009年10月11日 23時48分42秒 | 劇場とコンサートホール
 東京文化会館は、JR上野駅の公園口改札を出た正面にある。地の利も良く便利なので、一番行く回数が多いホールである。
 1961年のオープンというから、もう半世紀近くもの間、日本のオペラとクラシック音楽の中心として活用されてきた由緒ある劇場だ。席数は2,303。1階のフロアは正六角形で、上辺をステージとすると、下方3辺の部分に2階から5階までが重層構造で乗っかっている。上の階の方にいくと、左翼・右翼の席でと視覚にケラレる部分ができ、ステージの奥の方が見えなくなったりする。コンサートの時には写真のように反響板を使う。オペラやバレエの時は、ステージの前部分にオーケストラ・ピットが設けられる。音響は、一般的にいってあまり良くない。何といっても最大の欠点は、座席が狭いこと。左右も前後も余裕が全くなく、3~4時間のオペラ鑑賞にはちょっとキツイ(エコノミークラス症候群に注意。f(^ー^;)
 その歴史からみても、日本の音楽界を支えてきた会場であることは間違いない。在京のプロのオーケストラのほとんどが定期公演を開き、海外から招聘されるオーケストラの公演も、多くがこの会場で開催された。しかし、20年前にサントリーホールができ、10年前に新国立劇場と東京オペラシティ・コンサートホールができ、今では東京と周辺にも本格的な音楽専用ホールが数多くなると、それぞれのコンサートが音響のいい新しいホールも多用するようになった。そうなると、余計に古くさく感じてしまうのは否めない。そろそろ建て直す時期に来ているといっても過言ではないだろう。
 一方、オペラの公演となると、事情が変わってくる。東京では本格的なオペラ公演が可能な設備を有しているのは、東京文化会館以外には、新国立劇場、オーチャードホール、NHKホール、日生劇場くらいだが、国内のオペラ主催団体のうち、新国立劇場は劇場を持っているからいいが、東京二期会や藤原歌劇団は、新国立を借りられないらしく(かどうかは知らないが)、ほとんどの公演を東京文化会館で行っている。また、海外のオペラ座の引っ越し公演も、多くが東京文化会館が会場となっている。世界の一流劇場のオペラも、ここで鑑賞することができる(NHKの放送がらみの場合はNHKホールが使われたり、会場が確保できないと神奈川県民ホールに流れたりする)。近年のオペラ・ブームで、東京文化会館は内外のオペラ公演を一手に引き受けてるような状況だ。それはいいのだが、もう一度いうが、座席が狭い!! これだけは我慢できない。
 近年、印象に残った海外オペラ公演を列挙しよう。
●2005年
ソフィア国立歌劇場「オテロ」(アンドレア・ロスト/ウラディーミル・ガルージン)
●2006年
メトロポリタン・オペラ「ドン・ジョヴァンニ」(アンナ・ネトレプコ/マグダレーナ・コジェナー/ルネ・パーペ/アーウィン・シュロット)
ベッリーニ大劇場「ノルマ」(ディミトラ・テオドッシュウ)/「夢遊病の娘」(ステファニア・ボンファデッリ)
フィレンツェ歌劇場「ファルスタッフ」(ズービン・メータ指揮)
●2007年
ベルガモ・ドニゼッティ劇場「ランメルモールのルチア」(デジレ・ランカトーレ)
スロヴェニア国立マリボール歌劇場「ラクメ」(デジレ・ランカトーレ)
ベルリン国立歌劇場「ドン・ジョヴァンニ」(ダニエル・パレンボイム指揮)
プラハ国立歌劇場「椿姫」(西村智実指揮/ノラ・アンセレム)
ドレスデン国立歌劇場「サロメ」(ファビオ・ルイージ指揮/カミッラ・ニルンド)
●2008年
プラハ国立歌劇場「フィガロの結婚」
ザルツブルク音楽祭制作「フィガロの結婚」(クラウス・グート演出)
ウィーン・フォルクス・オーパー「こうもり」
ローザンヌ歌劇場「カルメン」(マリーナ・ドマシェンコは来日しなかった)
ウィーン国立歌劇場「コジ・ファン・トゥッテ」(リッカルド・ムーティ指揮/バルバラ・フリットリ/アンゲリカ・キルヒシュラーガー/イルデブランド・ダルカンジェロ/ミヒャエル・シャーデ)
●2009年
ボリショイ・オペラ「エフゲニー・オネーギン」
ミラノ・スカラ座「ドン・カルロ」(ダニエル・パレンボイム指揮)

 実際に観に行ったオペラを列挙してみたが、いかに世界的なクラスの公演がこの東京文化会館で行われているかがわかるだろう。もちろん、来日オーケストラのコンサートやリサイタルも数多く開催されている。考えてみれば、オペラにもコンサートにも使用されて、世界の一流アーティストをこれだけ集めている劇場は、世界でも珍しいのではないだろうか。

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