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『納屋を焼く』

2022-10-23 | 村上春樹

 



薄くて持ち運びがよろしいこの一冊
登山リュックにしのばせた毎度の『納屋を焼く』

 

山小屋の夕暮れまでのひととき。
窓際の部屋だったこともあり自然光で読む。
たまにチラリと窓の外を見ると安曇野の街が雲間から見渡せた。
時間を持て余してお散歩している人もちらほら
「平和だなぁ」

主人公と彼女とそのボーイフレンドの平和な週末みたい。
飲み終わったビールの缶が山のようになってゆく様
ローストビーフのサンドイッチ
冷えた白ワイン

やはり彼女がするすると服を脱いでゆく場面が印象的

わたしもその自然な流れで受け入れられている関係性に居心地のよさを感じる。
セクシャリティな場面は皆無 必要ない。
裸だろうが何だろうが気にもしていない目線
人として個として景色の一部であるかのようなすり抜けてゆく視線

どう行動しようが嫌がられることはないし、受け入れてくれるのは分かる。
拒否されない関係
反面表面だけの関係

もっと内面を知ってほしいと切望した時期もあった。
何を知ってほしいのだろう?
分かってくれる人を求めて彷徨うも結局は一緒にいる。

「好み」であり何年一緒にいても高揚する気持ち。

 

***

 

過去に書評やらで消えた彼女は殺された的考察を目にしたことがある。
そこに違和感を感じ、現実的に「殺す」とかそういうことじゃない世界観の中にいる気がした。

若くして成功したボーイフレンドを春樹が好きなギャッツビーと重ねてみたり。

納屋を焼く行為を訥々と語るカレに対しておもしろみを感じ、
主人公が綿密に計画を立ててどの納屋が焼けるかを一緒に見守る。
しかしチェックしていた納屋は焼けなかった。
後日偶然再会して「どこかの納屋」が焼けたことが判明するわけだけど、
身近であればあるほど見過ごしてしまうということ。
それは日常の色々な事柄にも言えることなんじゃないかなと。
気づかなかった、気づけなかった。
「ある」か「ない」か、存在に対して彼女が言った言葉が浮かんでくる。

 

本人曰く「冷たい話」とのこと。
わたしは冷たい話に惹かれているってこと!?

 



読み終わって外に出たら夕暮れが始まっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2022/8/10 
想い出ショット 本日四十九日

 

 

 

(予約投稿)

本日北高尾山稜を歩いて、そのまま温泉コース(^▽^)/


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