やまなし・まちかど図鑑

山梨県内のレトロなまちかど、面白・珍らし物件を凡苦楽庵が探訪します。

渦中の多仲

2007年08月29日 | 甲府市

甲府市役所の建て替えが大きく動き出した。市議会の委員会で現在地での建て替えが望ましいとの結論に達したとのこと。現在地となると、内藤多仲設計の現庁舎(昭和36年)は取り壊しということか。現庁舎の建て替え問題は過去何度も話題になった。昭和59年(たった23年後!)の市議会の記録にもある。議員が耐震性や雨漏りやスペースの狭さ等を理由に建て替えを問いただしているのに対し、その当時の市側の答弁では、この建物の設計者は構造力学の権威で関東大震災クラスの地震にも耐えられる旨を強調している。同時に構内にある南庁舎(旧甲府郵便局=昭和4年)についても、技術水準が高い郵政省の施設建設局が担当しているので強固な作りであると答えている。今回の建て替えが実現すれば、南庁舎も取り壊しは必至と見られる。

Y字型平面の庁舎

2007年08月27日 | 甲府市

ミレーの絵で有名な県立美術館の目の前にある、県の中北建設事務所。以前は「甲府土木事務所」と言っていて、我々仕事に関連ある者たちは単に「土木」と言えばここを指していた。この建物の平面は“Y字型”をしている。厳密に言えば扁平なY字で、Tに近いが。県庁の別館(旧本館)の平面は“山の字”をしていて、山梨県の“山”をモチーフにしたのは明らかだが、この建物のYがYamanashiからとったとすると、設計者の心意気を感じる。昭和42年の建築だからまだ40年だ。

水源地のデザイン

2007年08月20日 | 甲府市

甲府の水源、平瀬にある旧施設。事務所は昭和10年の建築で、現在は資料館となっている。


こちらは“濾過池整水井”と言われていたもの。要するに井戸のポンプ小屋ということか。ちっぽけなポンプ小屋にも、設計者の意気込みが伝わってくる。大正2年築。どちらも登録文化財となっている。

街角のガソリンスタンド

2007年08月10日 | 甲府市

ガソリンスタンドの設計は住宅の次に難しいのではないかと思うくらい、様々な要素が絡み合っている。それでなおかつ、美しいものとなると至難の業である。この交差点に建つスタンドは、そういう意味では数少ない秀作である。角地という立地を活かして1/4円のキャノピーが描くラインは実に美しい。甲府市中央4丁目。

※2024年9月18日追記 解体を確認

山の郵便局

2007年08月05日 | 郵便局

北社市須玉町東向地区にある旧多麻郵便局。昭和12年の建築だが、外壁が本来は人造石洗い出しなのだが、ご覧のように今風のサイディングが張られている。屋根の独特のデザインといい、おそらく原型は面白い建物だったと思う。現在は個人邸として使われている。
ここから100mほど下った所に、現在の郵便局がある。何年の建築か分からないが、こちらも奇抜なデザインだ。