Biting Angle

アニメ・マンガ・ホビーのゆるい話題と、SFとか美術のすこしマジメな感想など。

第13回文化庁メディア芸術祭に行ってきた

2010年02月15日 | イベント・観覧レポート
国立新美術館で2月14日まで開催の「第13回文化庁メディア芸術祭」を見てきました。

先にご覧になったshamonさん
の事前情報である程度様子はわかってましたが、
入場無料のうえに最終日というせいもあってか、予想以上の混み具合。
「ベアリング・グロッケンⅡ」など、リピーターが来ている展示も多そうでした。

こんな調子なので、「Nemo Observatorium」等の体験型展示はハナから断念して、
とにかく目に付くものを片っ端から見ていこうという方針に変更。
そして会場に入ると、いきなりエンタメ部門の優秀賞「電気グルーヴ/Fake It!」が
延々とループ上映されてるのに遭遇しました。

電グルのシンセ音にあわせて階段を上り、飛び込み台から延々と飛び込む選手たち。
一見シンプルなアイデア勝負に見えるけど、音と絵の計算されつくしたタイミングや
アナログな手法でデジタル的なループ性を見せる感性はさすがです。

そして映像を見ていてふと思ったこと・・・これってエッシャーの作品の実写化なのでは?
階段を上る同じ格好のスイマーが飛び込み台から次々と落下する様子は「上昇と下降」と
「滝」のイメージをくっつけたものに見えました。
しかし、エッシャーを飛び込み台と競泳パンツで再現するとは・・・その発想はなかった!

マンガ部門では読んでる受賞作がなかったものの、「へうげもの」には思わずニヤリ。
実はここに来る前、五島美術館「茶道具取り合わせ展」で古田織部や千利休の茶道具やら
自筆書簡やらを、ガッツリと見てきたばかりなのでした。
さらにカバンの中には、お土産に買ったぐいのみまであるし。(織部茶碗「わらや」の写し)

アニメ部門では奨励作「アニマルダンス」が、原初的で強烈なイメージを残しました。
洞窟壁画と影絵と墨絵が合体した、暴風雨のようなイメージの数々が走り抜けていきます。
大賞の「サマーウォーズ」では、栄ばあちゃん亡き後の長い横パンで使ったレイアウト図が
展示されてましたが、これは長く貼り合わされた見た目からして、完全に絵巻物でした。
この場面、やはり異時同図法のアニメにおける実践だったのでは・・・ってのは考えすぎ?

人形アニメは、不条理性とユーモアが同居する「屋根裏のポムネンカ」と、ほのぼの作品
電信柱エレミの恋」が好対照。どちらも撮影に使った人形が飾られてました。
東京マグニチュード8.0」では、迫真のレイアウト画に描かれたディテールの情報量に
驚かされます。滝クリ出演と聞いて萎えてしまった私ですが、やはりきちんと見るべきか。
推薦作の中では「CANAAN」「東のエデン」「亡念のザムド」短編だと「センコロール」が、
私の見ていた作品ですね。どれも受賞に至らなかったのがちょっと悔しい。
(悔しいので、会場内で声を出さずに各作品のテーマ曲を歌ってきた・・・意味はないけど。)
そして「とらドラ!」は長井龍雪だったのか・・・来年はレールガンが猛威を奮うんだろな。

そして「東京マグニチュード8.0」の向かいには、特別功労賞「金田伊功」の展示が・・・。

展示原画やレイアウトは「半熟英雄シリーズ」「FFⅨ」「すばらしきこのせかい」など、
スクエニのゲーム関係ばかりでしたが、どれをとっても金田氏らしいものばかり。
映像は「大空魔竜ガイキング」も流してましたが、やはり感動したのはスクエニゲームの
OPアニメたち、そして中でも特に名高い「武蔵伝Ⅱ」のものでした。
この時組んだのが、かの今石洋之監督!アタマっからグレンラガンのテイスト全開の絵が
これでもかと言わんばかりに、金田的なパースと動きを見せてくれます。
・・・というか、ここに出てくるレイアウトってグレンのOPと相当カブってますね(笑)。

そして展示ケースの中には、金田氏自筆のノートが2冊。
そのうち1冊は御本人の信条や作画心得を箇条書きで記したものでした。
含蓄に富んだ言葉が並ぶこの内容は、今後何らかの形で世に出して欲しいと思います。

そしてもう1冊のほうは何かのアイデアノートでしょうか、ロスチャイルドやらダボス会議やら
フリーメーソンといった言葉が書かれており、これらの権力がどのようにして今日の社会を
築いてきたか、その根本思想はなにかといった興味深い記述が見られました。
どうやら金田さんの頭の中には、壮大な骨組みを持つ近現代史の物語ができていたらしい。
それにしても、なぜ誰もそれを映像にしてあげられなかったんだろう。それが一番悔しいです。

他には中身がぎっしり詰まっている「半熟英雄」の筆箱や、第7開発事業部の名札なども。
名札も手作りなのか、下部には「お酒もおねえちゃんも大好き、合コン呼んでね」といった
笑える自己紹介が(ローマ字で)書かれているというお遊びもアリ。

そして伝説となった金田エフェクトの源である「魔法の」円定規なども置かれてました。
これを見ながら、金田さんがどんな効果も円定規で描いてしまった逸話を読んでいると
失った才能と残された作品への思いがさらに強まりました。

金田氏の紹介ではやや不手際も見られた(詳細は今後「究極映像研究所」で書かれるはず)
今回のメディア芸術祭ですが、今後は死後追贈や功労賞の規定についても整備が進むのを
強く願いつつ、今回の受賞者たちの産み出す作品に期待していきたいと思います。
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