Biting Angle

アニメ・マンガ・ホビーのゆるい話題と、SFとか美術のすこしマジメな感想など。

テオ・ヤンセン展 ~生命の創造~

2010年12月21日 | イベント・観覧レポート
12月12日、お台場・日本科学未来館の『テオ・ヤンセン展~生命の創造~』に行ってきました。


日比谷でヤンセン氏と彼の作るストランドビーストを見たのは昨年1月なので、約2年ぶりの再会です。
ありがたいことに、今回は場内の撮影がOK!ということで、写真を撮りまくってきました。

今回の目玉は最新型のストランドビースト、アニマリス・シアメシス。

双胴型にしてこれまでで最大の巨躯を持つ、世界初公開のビーストです。

公開期間中は1時間ごとに15分程度、歩行のデモンストレーションが行われるみたい。
海に近い会場なので、海風を受けての歩行が見たいところですが、残念ながら今回も屋内展示でした。
(追記:12月23・24日の両日、フジテレビ社屋前の広場で屋外展示&デモがあるようです。)

デモ終了後に不調を見せたビーストの“手当て”をするのは、来日中のテオ・ヤンセン氏。

複雑かつ繊細な構造を持つビーストは、歩行するたびに少しずつ損耗し、いわゆる「死」へと近づいていきます。
動けなくなったビーストは、いわば「化石」ということになり、もはや生き返ることはありません。

さて、ストランドビーストとは何か?ということは昔の記事でも書きましたが、いま要約するならば
「プラスチックチューブを主体にした構造を持ち、自然エネルギーである風を動力にして、自律行動を行う擬似生命」
という感じではないかと思います。

ヤンセン氏の考え方によれば、プラチューブは有機生命における「タンパク質」に相当するものであり、
ビーストの骨格に見える部分は筋肉であり内臓、そして遺伝子構造そのものでもあるとのこと。

プラチューブを経由した空気がビーストの脚部を動かす仕組みは、外骨格がそのまま駆動部を兼ねるという
独創的かつユニークなものです。
その一方で、脚部を構成するチューブの長さは、ビーストの歩行に重要な“聖なる数字”の比率で決められており
この長さは後のビーストにも受け継がれるという意味で「遺伝子」の役割も果たしているのです。
これはビーストが大型化した場合でも同じで、その基礎には必ず“聖なる数字”の倍数が使われています。

今回の展示では、この“聖なる数字”についての解説が冒頭に置かれていました。

これこそ、日比谷で言葉だけは聞いていた“聖なる数字”の真実。

その基本原理をプラチューブに適用すると、下の写真のような構造になります。

左の円は車軸の回転運動で、これがチューブの構造によって脚部の動きへと変換される仕組み。

ヤンセン氏によれば、ビーストの「脚」は、車輪が砂浜などの地形に適応して進化したものということですが、
このチューブの動きを見ると、車輪の代わりに脚がついた、「車」の変種であることがわかると思います。

そしてこの組み合わせを見つけるため、ヤンセン氏はコンピュータによるシミュレーション以外にも、
同じ形の小型ビーストを競争させ、より効率よく歩いた個体の脚部を他のビーストに移植するなど、
ラマルクの用不用説を実践するかのような試行錯誤を繰り返して、ビーストの進化を促してきたのです。

会場内には、そんな「進化」の過程で生まれ、そして化石となった数々のビーストも展示されていました。






立つことのできなかったビースト、縦や横にのたくるだけしかできないビースト、そして木製のビースト
(この種族は進化の行き止まりに達し、もはや絶滅したとのこと)などを経て、やがて立ち上がり、歩き、
呼吸し、単純な頭脳を備えるところまで到達したストランドビーストは、今もなお進化を続けているのです。

そして12月12日には、ヤンセン氏と造形家の高橋士郎氏、写真家の港千尋氏による対談も行われました。

この中でヤンセン氏が話していた内容について、特に興味深かったものをいくつかまとめてみます。

・母は旅館のようなことをやっていて、少年時代は生まれた土地の海辺で過ごすことが多かった。
 だから自分の頭の半分は、いまも海の光景で占められている。

・自分のやっていることは一種のおとぎ話。でも世の中には聖書を含めて、人の想像力から生まれた物語が
 いくつもあり、その中には我々や世界の起源につながることが書かれているかもしれない。

・いずれは自分が死んでも、ビーストが自力で生き続けることを望んでいる。
 しかしそれも、ひとつのおとぎ話だろう。

・ありふれた材料から生物を作るため、オランダにはよくあるプラスチックチューブを使った。
 そしてビーストの形状や機能は、チューブの特性が自ら導き出したものと言える。

・自分は美しい形のものを作ろうとしたのではなく、あくまで機能的で生物に近いものを生み出そうとした。
 完成したビーストを見た人は「よくこんなに美しいものを作った」と私を賞賛するが、私自身もこんなに
 美しいものを作ったとは思えない。ある意味で、この形はチューブが自ら選び取ったものだと言える。

また、トーク終了後にはヤンセン氏によるサイン会が行われました。


会場内では、「大人の科学」1月号の付録を(部分的にですが)いち早く体験できる「ミニ・ビースト」のキットも販売。



併設のショップでは、新作DVDやTシャツ、そして「ミニ・ビースト」の完全版キット(大人の科学はナシ)など、
さらに多数のビーストグッズが出ていました。

私のオススメは“聖なる数字”Tシャツ。左肩にはヤンセン氏の名前ロゴも入ってます。

「テオ・ヤンセン展~生命の創造~」は、2011年2月14日まで開催。
ただし12月28日~元日までは休館となります。
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