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Biting Angle

アニメ・マンガ・ホビーのゆるい話題と、SFとか美術のすこしマジメな感想など。

東のエデン 第10話 「誰が滝沢朗を殺したか」

2009年06月18日 | 東のエデン
東のエデン、第10話。
最終回に向けた種明かしの回かと思わせて、急転直下の大転回へ・・・。

京都駅で咲たちを送り出した滝沢の前に現れたのは、セレソンNo.1の物部。


彼は滝沢の記憶を消したプログラムの提供元であり、さらには事件の核心である
播磨学園都市へと向かい、そこでゲームをあがるつもりだと言います。
そして滝沢に対しては「どうだい、一緒に来ないか。そのふざけた携帯の正体や、
君がなんで記憶を消したのかも、一緒に教えてやるよ。」という怪しげな誘い。

滝沢がそれを聞かされた時、車中の咲から携帯電話がかかってきました。


電話越しに黒羽社長との会話を聞いたこと、ノブレス携帯の力やセレソンの存在に
気づいていたことを明かした後、「教えて、滝沢君・・・あなたは誰?」と訊ねた咲に
滝沢はこんなふうに答えます。


「そっか、そうだよな。確かに、自分でも怪しいと思うもん。
 でもオレ、本当に自分が誰なのかわかんないんだ。
 それは信じてよ。

 でさ、今からオレのこと知ってるってやつと話すことになったんだ。
 なんで、 咲はこのままオレたちの話聞いててくんない?電話切らないでおくから。
 それでもしオレが犯罪者だったときは、オレのことは忘れて。
 オレもこのまま咲の前から消えるからさ。」


これを聞いた咲は、自分の言葉が招いた思いがけない事態に動揺を隠せません。

この一瞬ゆれる表情の作画が絶妙。
心の揺れが表情の動きへと、見事に転写されています。
特に目の泳ぎ方、このタイミングがすばらしいですね~。

しかし今の滝沢にとっては、咲だけが唯一の精神的な拠りどころ。
彼女が聞いているからこそ、物部のふところに飛び込む覚悟も決まったのでしょう。
会話の持つ重さや深さ、そしてすれ違いの難しさが凝縮された、静かだけれど
すごく濃密なやりとりだったと感じました。

ここでまた例の「noblesse oblige」のマークが、アタマに浮かんできました。



このデザインが意味するもののうち、ひとつはやっぱり「耳」ですよね。
そしてもうひとつは「脳」。さらに「日の丸」と「血」も連想されます。

聞くこと、考えること、この国のために血を流すこと、そして誰かに血を流させること。
『東のエデン』のテーマが、このマークひとつにどれだけ隠されていたのでしょうか。
いまごろになって、それが少しずつ見えてきた感じです。

播磨学園都市へと飛ぶヘリのテールには「ATO」の文字。
その機中で、物部は滝沢にMr.OUTSIDEの正体を語ります。

その名前の由来は、このゲームの首謀者である大物政商「アトウ サイゾウ」を
もじったものだということ、そのアトウ氏が自分の築き上げてきた戦後日本の姿に
行き詰まりを感じ、再びこの社会を激変させる演出家になろうと目論んだことなど。
さらにこの人物、すでに末期がんでこの世の人ではないはずだということも・・・。

そして物部はこのゲームをあがるために、自分がMr.OUTSIDEになりかわることで
アトウの力を継承し、さらには優秀なジュイスまでまるごといただいてしまうという
なんとも不敵な計画を進めていました。


官僚を辞めてATOに関わる商社へと接近し、そのコネクションを使ってATO財団の
執行役員に登りつめ、ついに播磨脳科学研究所長の座を手にした物部の真の目的。
それはアトウ氏の権力および財力、そして彼が研究してきた「大いなる遺産」の奪取と、
二人のセレソンたちとの共謀による「戦後日本のやりなおし」です。

それを実現するための手段こそ、「日本のダウンサイジングと既得権益の再分配」を狙った
トマホークミサイル60発による日本全土の空爆でした。


社会に搾取され蔑まれ続けた返礼として、この国を空爆しようと画策した結城。
そしてこの空爆で老害と怠け者を排除するため、結城を仲間として引き込んだ物部。
自己責任の足りない人物と、自己責任に絶対的な自信を持つ人物が結託したときに
ここまで他人を省みない決断ができるというのが、なんとも怖い。
弱者の恨みの声すらも新たな権力者の養分として吸い上げられているのに、
結城自身がそれに気づいていないところが情けなく、また哀れでもあります。

弱い者が他人を見下すことで救われるとすれば、権力者にとってはこれほど
コントロールが容易なものはありません。
仮想敵を作って大衆の目をそらし、互いに妬ませて足を引っぱり合わせれば
手を汚さなくたって楽勝ですからね~。
そういう工作に長けてるあたりは、さすが元エリート官僚というところ。

そして一度は空爆をチャラにした滝沢も、救ったはずの人々と仲間によって裏切られ
その記憶を消す羽目になったという、あまりにも厳しい真実を知らされます。

これってイエスが人間の罪を全て背負って、ゴルゴダの丘に登った時みたいですね。

ここで自分の軽率な言葉を悔やんで泣き崩れる咲の姿をインサートするという演出も
嘆きの聖母を連想させて、実に心憎いものでした。

手にしたバッテリー切れの携帯に落ちる涙と、しぼり出すような咲の声。

「そんなのって、ないよ。
 それじゃ、滝沢君にあんまりだ。
 でも私もおんなじだ。滝沢君を裏切ったみんなとおんなじだ。
 
 でも、私も言っちゃったもん。
 ミサイルが落ちたとき、“もっとすごいことが起きればいいのに”って。」

目の前の平和に慣れて、それを守ることや維持し続けることに無関心な人々。
そしてむしろ、世界がぶっ壊れてしまうことを進んで期待するような人々。
迂闊だったのはテロリストではなく、咲も含めた全ての日本人のほうだったのでしょうか。
そしてその迂闊さが、かつての滝沢朗を“殺した”といえるのでは。

しかし神(山監督)は、まだ滝沢(と日本国民)を見捨ててはいないようです。
最後にMr.OUTSIDEが仕掛けた、エレガントなイリュージョンとは。

中身がカラッポなのは、物部の頼んだボランジェだけなのかな?

苦さのあとにやってくる思わぬ爽快感、そして物語は
いよいよ最後の1コマへと進みます。


心優しき救世主を待つのは再びの磔刑か、それとも歓喜の歌なのか。
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東のエデン 第9話 「ハカナ過ギタ男」

2009年06月16日 | 東のエデン
東のエデン、第9話。

京都の鬼才・板津豊、英雄として死す。

世間コンピューターの予測は、まさにハカナ過ぎました。

話の流れや真相への性急な迫り方、そして「ハカナ過ギタ男」という副題から
ある程度の覚悟はしてたけど、その死にざまはやはり衝撃的なもの。

そして彼を殺したのは、滝沢を追ってきたセレソンNo.1の物部と
京都在住のセレソンNo.10である結城の腹黒コンビです。

その板津が最後にデータを送信した先は、どうやらみっちょんの
ノートパソコンみたいですね。

(6/18訂正:この記事を書いた後で10話を見たら、転送先は
 エデンのサーバだったと判明しました。)

データの内容は「日本をミサイル攻撃」とか「先制攻撃を誘発」、
さらに「60発のトマホーク」など、なんとも不穏なモノばかり。


「迂闊な月曜日」は、やはりもっと大きな陰謀の序章に過ぎなかったようです。

そして以前のミサイル事件が「迂闊」で片付けられた影には、
やはり(記憶を失う前の)滝沢朗の活躍がありました。

自ら警官に化けた滝沢、爆心地付近での避難誘導に従事中。
やはりコイツ、根っからのクラウン気質じゃなかろうか。

話は少し戻って、板津がノブレス携帯を解析している場面。
携帯のロック解除に成功し、メモリーに残された履歴にアクセスしてみると
そこには滝沢の指示による「救助作戦」の経過が、はっきり残されていました。

この見事な段取りは、滝沢のオーダーにあわせてジュイスが組んだプランでしょうね。

一連の命令を実行するパターンは火浦医院長のときに、セレソン同士の駆け引きは
黒場社長のときに経験済み。
視聴者の経験値もしっかりと上げてからネタを割ってみせるところに、神山流の
周到な演出作法を垣間見た気がします。

さらにノブレス携帯の履歴を探っていくと、「迂闊な月曜日」のミサイル発射を
引きおこしたのは、セレソンNo.10のオーダーが原因だと判明。
どうやらこの結城という青年、自作自演の戦争で今の日本をリセットした後に
改めて「奇跡の復興」を再現しようと目論んでいるようです。


しかしそんな結城も、自分の手を汚すハメになるとてんで役立たず。
板津の轢き逃げも、彼の車を強引に発車させた物部によるものでした。



机上のシミュレートならどれだけ人を殺しても気にしないくせに、目の前の一人を
手にかけることもできない意志の弱さと、ご都合主義のヒロイズム。
たとえどんな理由であれ、この程度の人間に数百万の人々の命を左右されるのは
まっぴらごめんですね。
まして日本の将来なんて言葉、間違っても口にしないでもらいたい。
器の大きさでも火浦医院長や黒羽社長とは比較にならないし、比べること自体が
他の二人に失礼な気もします。

それに比べて、とっさの判断で板津を轢いた物部はさすがに腹が据わってました。
その覚悟、素早い判断力、そしていざとなれば手段を選ばないだけの冷酷さ。
どんな形であれ、やはりこいつこそ滝沢にとって最大の敵となりそうです。
いまのところ結城と組んでいるのも、彼を利用して自分の計画を実現しようという
狙いがあるのでしょう。

その物部が成そうとしている計画については、今もなおハッキリしないまま。
ノブレス携帯の使用履歴にも彼の記録は出てこなかったし、滝沢を探すときも
あえてジュイスに頼もうとしませんでした。
その行動の隠蔽ぶりについては、他のセレソン以上に徹底しているようです。
(ヘタすると、自分では一度もジュイスにオーダーしてないとか?)
あるいは板津が最後に見た「政府の中枢に相当近い」痕跡こそ、物部の秘密に
直結しているのかもしれません。

板津を轢いた後で「人殺しにはなりたくない」という結城に対し、
厳しく一喝する物部。

「これから何十万、何百万という人間を、ミサイルで消滅させんとする英雄が
 人ひとり轢いたくらいでビビってるんじゃないよ!」

さすがは黒羽社長をして「リアリストのNo.1」とまで言わしめた男。
結城の陳腐な英雄気取りを吹っ飛ばすタフネスぶりを、強烈に見せつけました。
しかし、かたや「ロマンチストのNo.9」と評された滝沢がこんな考えを認めるとは
とうてい思えません。

机上の理屈で数百万人を虐殺しようとする夢想家と、見も知らぬ人たちを救おうと
ひとり奮闘するロマンチスト。そして目的のためならば英雄どころか、女子供や
年寄りさえもその手にかけるであろうリアリスト。
この三者が会したとき、どんなクライマックスが訪れるのでしょうか。
そして社会の敵、真のテロリストと呼ぶべき人物は、いったい誰なのでしょう?


さらに、板津からの危険なデータを受け取ったみっちょんと咲を待つ運命は・・・!
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エンブレムつくってみました

2009年06月14日 | 東のエデン
先日、shamonさんBPさんと『東のエデン』のコメントをやりとりしている時に
適当に「セレソンNo.0」と書いたのですが、後ほど「この際ありあわせの素材で
ゼロ番のエンブレムでもつくってみようかなー」と思いつきました。

とはいっても、デザインセンスはないしツールもノウハウも皆無なので
いい加減なものをつくるだけでも結構な時間と手間を食っちゃいました。

デザインもパーツの精度もまだまだですが、いちおうは苦心の作なので
番組が終わっちゃう前に公開させていただきます。
大きく載せるには難アリのため、自己紹介欄の写真代わりに貼ってみましたので
ネタだと思って笑ってやってください。

あ、「ローマ数字にはゼロがない」という指摘はカンベンしてください。
そこも承知した上でのパチモノですから(^^;。

さて、エンブレムをいじっていて今さら気づきましたが、この上部のマークって
王冠でもあり、ピエロのクラウンでもあるようですね。
これって、かつて西欧の祝祭で「道化やよそ者に王冠を被せて、まつりの間の
仮の王にした」という民俗学的エピソードをふまえたものなのかな?

王=道化という図式は、滝沢や黒羽社長の資質にもぴったりあてはまるように
思います。あるいは救世主=トリックスターという表現に置き換えたほうが、
イメージ的にはもう少し伝わりやすいかもしれませんね。
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東のエデン 第8話「あらかじめ失われた道程をさがして」

2009年06月06日 | 東のエデン
東のエデン第8話、プロローグでブラックスワンが再臨!。


・・・と思ったら、これは滝沢の悪い夢でした。

目覚めた滝沢は彼を看病していた咲から、大杉の無事を知らされます。

前回の事件については、黒羽社長のほうでいろいろと後始末をしたみたい。
もちろん本人の保身も理由でしょうけど、失神していた滝沢たちが警察に
捕まらずに済んだのも、結果的には社長のおかげですね。

かたや大杉のほうは、自分が騒動の原因だったことは棚に上げて
滝沢とエデンが組むなら自分は抜けると宣言します。

確かに器の小さい男ではありますが、むしろ滝沢の器のデカさのほうが異常。
ふつーの男なら、だいたいはこんなモノでしょう。
ただしつきあってるわけでもない女の子を振り向かせられなかった腹いせの
「オレにもプライドがある」発言は、さすがにイタすぎましたね。

不信と嫉妬に駆られる大杉は、平澤たちと会うためにやって来た滝沢を
(女子学生に失笑されつつ)携帯で隠し撮り。

さらにエデンシステムにアップして「正体求む!」と書き込み、
彼に関する情報を得ようとします。

前にも書きましたが、このエデンシステムは仕組みが単純なぶんだけ恐ろしい。
携帯のカメラ機能とネット検索を組み合わせた、比較的簡単なシステムによって
市民が市民を評価して相手を値踏みするためのタグをつけあい、それを無差別に
公開できる、手のつけられない相互監視社会が実現できるのですから。
いわばネット技術がもたらした“禁断の果実”が、人々を幸福な無知という
“楽園”から追放する、といった図式になるでしょうか。

そこに基本原則も管理者もなく、千差万別の個人の言い分と利害関係者による
勝手な言い訳ばかりが横行する、情報の荒野が広がっています。
さらに言えば、一部のネットサービスでは既にこれらの機能が部分的に稼動中。
あとは誰かがそれを関連付けするだけ、というのが今の実情でしょう。

全体主義的監視社会といえば、かつては統治権力のお家芸と思われてましたが
『東のエデン』では、その既成概念をきれいにひっくり返してみせました。
すでに整備されたテクノロジーとインフラにちょっとしたシステムを付加すれば
あっというまに全社会的監視ネットワークのできあがり。
それをつくるのがビッグブラザーではなく、学生サークルのベンチャーなのが
なおさら恐ろしいところです。
悪意がないから規制も難しいですし、「技術革新」と「利便性」という言説が
全てを正当化してしまうことで、使う側の責任が見過ごされてしまう可能性も
極めて大きいですからね。

その末に得た果実がこんな画像だとしたら、それってあまりに虚しいのでは?

あなたの背後の誰かが、あなたをカメラで撮っているかもしれません。
そして悪意を持った誰かが、その映像をどこかで見ているかも・・・。

この場面、攻殻SACで繰り返し取り上げた「視覚に枝をつける」という問題を
よりわかりやすく表現しなおしたものにも思えます。

「民主主義」という名の下に容認される、拡大する悪意と抑圧のネットワーク。
その究極として実現するのは、民意の名で行われる相互告発と自警活動でしょう。
いわば「人民の、人民による、人民のための監視社会」というところですかね。
自由と権利のみが声高に主張され、自制と義務が置き去られた公共空間の恐怖が
公序良俗と便利さの美名でまかり通る、そんな世の中の到来です。

そんな時こそ、市民一人ひとりにとっての「noblesse oblige」の意味が問われるはず。


それがなにかを想像してみるのも、視聴者に与えられた課題なのかもしれません。


さて、エデンシステムに登録された滝沢の画像には次々とタグが
貼られていきますが、書かれている名前は人によってバラバラ。

どうやら彼は多くの偽名によって、手広く活動していたようです。
今回の大杉の行動も、そもそもは彼自身の感情のもつれが原因なわけですが、
ネットの情報は滝沢への不信を増幅し、疑念は果てしなく暴走していきます。

かたや平澤たちと「東のエデン」の法人登記を相談していた滝沢のほうは、
話のついでにノブレス携帯のデータ復旧について相談します。
これはさすがに電脳妖精のみっちょんにもムリな話でしたが、咲の提案で
エデンシステムの開発を手伝った京都の天才にして奇人、「パンツ」こと
板津豊に頼んでみることになりました。

この「パンツ」、一張羅のズボンを無くしたという理由でひきこもってから
ずっと外に出ていないという変態ですが、一方では世間の動きを予測できる
「世間コンピューター」という画期的システムを開発中とか。

さらにはニート失踪や迂闊な月曜日、ぎゃふん発言からジョニー狩りまでの
一連の繋がりをつかんでいる上、セレソンの存在まで知っているようです。

そんな男の興味を引くべく、滝沢はノブレス携帯を見せながらこう言います。

「オレがセレソンなんだって言ったら、お前、どうする?」


今回の脚本には神山監督に加えて、やはり佐藤大の名がありました。
攻殻SACでもそうでしたが、ひきこもりネット話とくれば大体この人ですね。
ノリがややダウナー系で、説得力はあるけど机上の議論じみた展開になるのも
「ネットの闇に潜む男」と似ている気がします。

説教じみた感想を書く自分が言うのもアレですが、この人の手がける脚本って
ほんのりサブカル臭がするのがちょっと苦手なところ。
今回も強迫観念じみたサスペンスを煽る一方で、話のほうはあまり進みません。
物語としては転回点なのですが、そのわりには動きが少なくて地味な感じです。
うーむ、この前の黒羽イリュージョンがあまりに強烈すぎたかも・・・。

とはいえ、次回は滝沢の過去とセレソンたちの行動理由が明かされそう。
物語はいよいよ、その核心部分へと迫っていきます。
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OASIS「Falling Down」初回生産限定版

2009年05月31日 | 東のエデン
『東のエデン』のオープニングに使用されている「Falling Down」が
日本国内でもシングルカットされたので、さっそく買ってきました。


初回生産限定版はDVDつき2枚組で、2種の映像特典が収録されています。



CDの裏面には、プロダクションI.GのCG作画によるワイドステッカーつき。

さて、まずCDの中身について、収録曲順に紹介していきます。

01. Falling Down
いわずと知れた『東のエデン』の主題歌。
ざっくりと弾かれたギターのフレーズと、ノエルによるちょっとざらついた感じの
一人がたりを思わせるようなボーカルが印象的。
それらが歌詞の内容と合わさって、神への呪詛とも祈りともとれるような
ストイックな感触の作品になっています。

曲だけ聞けば、これまでのオアシス作品と比べてとりわけ耳に残るというほど
鮮烈なものではないけれど、その抑制された感じが『東のエデン』という作品と
うまくかみ合っていて、互いの存在感をより強めている感じかな。
オアシスらしからぬ控えめさが、ここではいいほうに働いていると思います。

でもこの曲をリアムが歌ったら、かなり違って聞こえるんでしょうね。
できることなら、そっちのバージョンでも聞いてみたいものです。

02. Those Swollen Hand Blues
2曲目はビートルズの「アクロス・ザ・ユニバース」と、オアシスの代表作
「ドント・ルック・バック・イン・アンガー」をミックスした感じの新曲です。
こちらもやはりノエル・ギャラガーがボーカルをとってますね。
この曲も劇中で使えそうな佳曲ですけど、許諾関係はどうなのかな。

3曲目以降は、Falling Downのアレンジバージョンが続きます。

03. Falling Down (A Monstrous Psychedelic Bubble Mix)
こちらのアレンジはアジア風でサイケデリック。個人的にはやや冗長に感じました。
長さも22分超あるので、この手の曲が好きな人以外にはややツラいと思います。

04. Falling Down (The Gibb Mix) by Twiggy/Sardy
4曲目のGibb Mixはベースラインを主体に、ややスピード感を高めたアレンジ。
ベース担当はマリリン・マンソンのベーシストでもあるトゥイギーらしいです。
オリジナルよりもドライブ感が強まり、ロックっぽさが前面に出ている代わりに
ストイックな味わいはやや薄まりました。
そのぶん、『東のエデン』のイメージからはやや距離がある感じ。
でも終盤で入ってくる、ノエルのしみじみしたギターは好きですねぇ。

05. Falling Down (The Prodigy Version)
さてこのCDのもうひとつのウリは、アグレッジブなテクノ・ロックで知られる
ザ・プロディジーが参加した5曲目。
こちらはUS版の「The Shock of the Lightning」にカップリング済みですが
国内版では初のリリースとなるものだそうです。

このバージョンでは原曲とボーカルがすっかりプロディジー色に塗りかえられて
ハードなビートとノイジーな味つけを加えられ、力強く押してくるスタイルへと
生まれ変わってます。
オリジナルとの差が際立つという点も含め、たしかに「プロディジー版」らしい
独立した作品になっていると思いました。
『東のエデン』らしいかどうかは別にして、これはこれで楽しかったですよ。

DVDには「Falling Down」のオリジナルバージョンのPVとプロダクションI.Gによる
『東のエデン』バージョンの新作PVが収録されてます。

・Falling Down ビデオクリップ( Original Ver.)
オリジナルのPVは、明らかにダイアナ妃とわかる女性の二重生活の日々を
ドキュメント風に描いた作品。オアシスのメンバーも本人役として出ています。
エルガーの「威風堂々」から「Falling Down」へ繋がる導入部が、特にカッコいい。
ところで黒羽社長のミドルネームって、月の女神とこのビデオの両方にちなんで
つけたものなんでしょうか?


ちなみにこの場面で走っているランドローバーは、自動車メーカーの中では唯一
4つの王室紋章(女王、エディンバラ公、皇太后、皇太子)の全てを冠することが
許されている、英国王室御用達の代名詞ともいえるブランドだとか。
そういう部分も、たぶん登場人物の素性をわからせるための仕掛けなのでしょう。
これって、神山監督の映像作法にも通じるものがありますよね。

・Falling Down ビデオクリップ(「東のエデン」 Ver.)
『東のエデン』バージョンは、アニメのOPで使われている映像素材から
実写とCGの部分を中心にリミックスし、そこに「Falling Down」の歌詞と
それにちなんだ新作映像などを組み込んだもの。
ジャケット裏のイラストは、PVの大まかなイメージを伝えるものとなっています。
なお滝沢と咲については、シルエットだけの登場です。


ビデオの初めのほうで登場する、歌詞に重ねたシンボルマークが一瞬のうちに
次々と切り替わるシーン。ここで完全にハマっちゃいました。
この内容なら、OASISのメンバーにも胸を張って見せられるんじゃないでしょうか。

きちんと「Falling Down」のPVに仕上がってるのはもちろん、『東のエデン』の
イメージビデオにもなってるので、OPのカッコよさにやられた人は必見です。
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東のエデン 第7話「ブラックスワン舞う」

2009年05月30日 | 東のエデン
『東のエデン』第7羽・・・もとい、第7話。
今週も怪鳥ブラックスワンが大暴れですよ~。

今回はあらすじに入る前に、黒羽社長のテーマソングをお楽しみください。
ちなみに歌のタイトルは「スワン節」。

(前口上)
「その黒い翼が羽ばたく時、闇に男の悲鳴が響き渡る。
 男の心に浮かぶのは、罪の意識か後悔か。
 げに恐ろしきは女の恨み、今となってはおそすぎた。
 それでは世の男性諸君にお届けしましょう、スワン節です!」

“学校出てから 十余年 今じゃやり手の 鬼社長
 モデル稼業の 息抜きに 切ったジョニーが 2万本”
 (サバ言うなこのヤロー)

・・・下品な替え歌で申し訳ない。
ちなみに前口上の部分は、〇置宏さんのイメージでお読みください。

そういえば、伏字のところはジョニーにしなくても歌えますねぇ。
(それだと完全に放送禁止レベルになっちゃいますが。)

その2万人の犠牲者ですが、どうも滝沢の仕組んだニート輸出事件と
カウント数がごっちゃになってしまってるようです。
そのあたりのいい加減さはまさに都市伝説らしいところなのですが、
そんな話が増幅されてあたかも既成事実のように広まってしまうのも
高度情報化社会ゆえの落とし穴だといえるでしょう。
(そして後半では、さらなる落とし穴が・・・!?)

さて、大杉の行方を追っていた春日が先週探り当てたのは、大杉が愛用していた
恋愛相談掲示板「AMORE PADRONE」に送られてきた画像つきのメール。

その画像には、咲を模したらしきマスコットのつけられたカバンが・・・!。

携帯から送ってきた画像をクローズアップしていく場面は、やっぱり
ブレードランナーのESPERシステムに影響されてるっぽいですね。

それにしても、大杉の失恋話を大げさなブンガク的表現で語る春日には
平澤以上に“メガネの遺伝子”が色濃く受け継がれてる気が。

ふと考えたのですが、大杉・平澤・春日と並べてみると、この3者がそれぞれに
メガネというキャラの持つ「3つの顔」を分担しているようでもあります。

咲に対して配慮もなくベラベラしゃべる春日に、キレたおネエの右フックが炸裂!

今石監督のグレンラガンも真っ青の、このデフォルメっぷりを見よ!

この『東のエデン』は「リアルとファンタジー(あるいはバーチャル)の混在」が
ひとつの作品テーマになっているようですが、映像面でもそれを意識した作画や
演出が行われているように感じます。
アニメならではのデフォルメやナンセンスさと、リアル指向でハードな描写を
うまく共存させていると思いますよ。
メディアの特性を実によくわかっているし、何より「アニメであること」に
極めて自覚的なつくり方が、なんとも頼もしいじゃないですか。

アニメを「世界に誇る文化」と豪語するなら、それをつくるクリエイターにも
このくらいのスキルと心意気が求められるべきでしょう。
なにかと実写に走りたがるアニメ作家や、役者をモーションキャプチャーして
リアルなアニメを撮ったと得意げな実写あがりの監督をやたら持ち上げるのは
そろそろ止めにしてもいいんじゃないのかな。

話を戻して、エデンのメンバーは送られた写真をエデンシステムにかけることによって
そこに写ったピアノの型番を割り出し、現場のホテルを突き止めることに成功します。
そして共犯者として掲示板に書き込まれたのは、「ジュイス」という名前。
それを聞いたとき、滝沢にもこの事件に関わる理由と覚悟が産まれます。

でもこれらの情報から黒羽社長に辿り着けたのも、結局はジュイスの働きによるもの。
これではセレソン全員がゲームマスターの手の内で踊らされてるだけにも思えますね。

ホテルへと急ぐ黒羽社長の車が、ア〇ンドの前を曲がっていきます。
おネエのパンチから一転して、リアルすぎるくらいに描きこまれた六本木交差点が見事。

この臨場感が「いま、ここ」で進行中の物語であることを、より強く感じさせます。

ここで滝沢による足止めを食った黒羽、着信音に気づいてノブレス携帯を見ると
そこには自分に対するNo.9からの介入履歴が。


そして黒羽の打った返しの一手が、滝沢を巻き込んだタンクローリーの横転事故。

このへんは互いの布石を読みあうチェスを見ているようで、実にスリリングです。

さらに横転したタンクローリーからは、お約束のオイル漏れ&炎上が発生!
なんともド派手な仕掛けぶりは、まるでハリウッドのアクション映画みたい。
エンターテインメント面でも、定番を抜かりなく見せてくれます。

そしてノブレス携帯によるホテルの買収合戦を経て、先に部屋へ到着したのは
残念ながら黒羽のほうでした。

そこへギリギリで滝沢が乱入し、ノブレス携帯を抜きにしての直接対決へ。

「私は信念を持って、ジョニーをちょん切る人殺しをしているの。
 この携帯をもらう、ずーっと前から。」
そして女性の敵を殺したぶん、異国のステキな男を輸入していると語る黒羽。

「そもそも私、このゲームで上がる気はないの。
 しょせんどんな正義の味方だって、世界の半分しか味方にできないんだもの」

この歪んだ価値観はともかく、発想の根底にある女性ならではの深い諦念には
やはり一目置かざるを得ません。さすがはセレソンに選ばれた人物です。

そんな黒羽に対し「アンタも助けるよ」と言った滝沢の、彼女に対するひとこと。

「ジョニーに愛をもらったこと、ねぇみてえな気がしてさ。」

いやぁ青い。でもホンネでは、男なら誰しもこういうセリフを言ってみたいモノ。
「男による男萌え」を目指す神山監督の面目躍如といったところでしょうか。
(でもよく考えると、こういう主人公って結構ギャルゲーとかに出てるかも。
 たとえば「浩之ちゃん」とか「岡崎さん」とか「ハクオロさん」とか・・・。)

黒羽に誘惑、というより挑まれた滝沢ですが、首都高での負傷であえなく失神。
それを知らずに駆け込んできた咲は、衝撃的なシーンを目にすることに・・・。

そして最後に黒羽が見せたあっと驚くドンデン返しと、エレガントな退場。
ここまでやられると、もはや「敵ながらあっぱれ」としか言いようがありません。

終わってみれば、騙りのウマさに見事翻弄されてました。
結局、黒羽社長はまさに女性版「ダークナイト」ってとこですかね。
(あるいは『科学忍者隊ガッチャマン』へのオマージュかな?)
そしてそれに最後まで気づかせないところも、憎らしいほどにうまかった。
ダマされることの快感も含めて、見事なエンターテインメント篇でした。

そうは言っても、ブラックスワンが残した爪痕はかなり深刻です。
滝沢は今回の事件による多額の出費に加え、かなりの深手も負ったようだし
咲のほうは余計な心配のタネを抱え込んでしまったみたい。
若い二人の明日は、はたしてどうなる!?

せっかく冒頭で「白鳥の歌」を披露したけど、黒羽社長はいまだ健在なり。
ということで、再登場と新イリュージョン(笑)にも期待が持てそうな感じです。
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東のエデン 第6話「東のエデン」

2009年05月24日 | 東のエデン
『東のエデン』第6話。
先週のラストで黒羽に目をつけられた大杉、今週は初っ端から高級ホテルの
特別スイートで、着衣のまま拘束プレイの餌食にされてます。
しかもセレソンNo.11の黒羽の手にはパイプ切り・・・もとい、葉巻切りが。

ひぇえ、これは怖い。男としては生理的に怖すぎる!

そして黒羽からは「アナタもジョニーとお別れね。」と、無情なお言葉が。
大杉くん大ピンチ!なところにかかってきたのは、急ぎの仕事についての電話。
これを受けた黒羽は大杉を置いて外出し、ジョニー断絶はひとまず延期です。

一方、咲のほうも滝沢の誘いをひとまず保留して一時帰宅することに。
といっても義理の兄さんに世話してもらった就職先を落とされた手前もあり
やっぱり家にも帰りづらい・・・ということで、今度こそ本当にみっちょん宅へ
転がり込むことになります。
やたらもの分かりのいい良輔兄さんも根が善人なのか、単に関心が薄いのか?

一夜明けて、大学のサークル(名称は「東のエデン」!)にやってきた咲は
メンバーに滝沢とのこれまでのいきさつを話します。
東京学生革命連盟?というダサい看板の上に書かれた「東のエデン」の文字は
どうも咲の字みたいに見えますが。
(5/27追記:BPさん情報によると、看板表記は「東方革命学生連盟」。感謝です!)

ひょっとすると彼女には、ある対象の持つイメージをより的確、かつ印象的に
置き換えて表現する才能(というか能力)があるのかも。
てっとり早くいえば、現代の“言霊使い”って感じでしょうか?
情報伝達が地域に限定されていた時代ならともかく、マスメディアの発達した
現代において、この能力の持つ意味は思った以上に大きいように思います。

個性的な部室に集うのは、これまた個性的なメンバーたち。

毒でドライな発言が刺さるみっちょんはもちろん私のお気に入りですが(^^;、
他のメンバーも全員イイ感じにイカレ気味です。
でも振り返ってみれば、学生時代って多かれ少なかれ誰しもこんな感じなんだけど。

shamonさんが「ひねもすのたりの日々」で『うる星やつら』を例に挙げてましたが、
私も『うる星』や『めぞん一刻』のギャグのノリを思い出しながら見てました。
「日常のくだらなさや不条理さを拾って、それを過剰なギャグに昇華する」というのが
(私見では)高橋留美子の最も得意としている作風なわけですからね。
日常レベルの共感とシュールさが絶妙に混在する高橋作品の持ち味は、今回の
サークル話とも共通するものだと思います。
(だからこそ、そこを意図的にブチ壊してしまった押井さんの『BD』について
 原作者が不快感を示したのは、ある意味でうなずける話なのですが。)

大杉が消えたことを懸念した平澤は、後輩の春日に対して探索を指示します。
そしてひとり監禁された大杉自身は、普通の携帯で写メを送ろうと奮闘の真っ最中。
ここでも携帯電話は「生存のための重要ツール」としての機能を発揮しています。

そして滝沢宅のショッピングモールに踏み込んだ、エデンのメンバーたち。
(まあ本人も「仲間も連れておいでよ」と言ったので、招かれざる客ではないけど。)
それでドーナツ店の看板に書かれた「オールドヨーク・シティ」って、一体どこですか(笑)?

並んだノーパソを見てときめくみっちょんは、これまでで最高の笑顔を見せてくれます。

このリアクションと表情にグッときちゃったITボーイも多いハズ。
神山さんもいよいよアキバ層を狙い撃ち?とか思ったりして(^^:?

まあそんな彼女も、後で滝沢王子の天然ジゴロぶりに翻弄気味なワケですけどね。


さて、モール内の監視システムを見た平澤は大いに動揺、メンバーに撤退を宣言するも、
そこに黄色の熊に乗った(^^;滝沢本人がゆる~く登場し、緊張感を台無しに(笑)。

咲を救ったことと、自分たちを支援したいと持ちかけてきた理由を問う平澤に
「いきなり牛丼かけるようなおっさんたちのために働く必要なんかない。
 咲だけじゃなく、日本中がニート化すれば、状況はひっくりかえる。」
と答えた滝沢は、「東のエデン」が開発したネットシステムに関心があるようです。


このシステムに繋げて携帯のカメラで画像認識すると、それに応じてターゲットの
情報が、画像上にタグとして貼られるみたい。

でもこれって使い方によってはものすごく強力で、そして怖いモノですよね。
このタグの情報を誰が提供して誰が利用し、そして全体を誰がどう管理するのかという
大きな責任と義務がのしかかってくるワケですから。
そこを無視して法的正当性ばかりを主張する某巨大企業の実例もありますが、本来なら
ここで最も問われるべき問題も、実は「noblesse oblige」なのでは、とも思います。


突出した能力を持たない自分をわかった上で、得意な才能を持つニートを支援することに
全力を傾けてきたという平澤も、やはり「覚悟」を持つ男。
形は違えど同じ覚悟を持つ者として、「持てる男」滝沢と手を組むことに同意します。
祝宴ムードで盛り上がる中、春日からの通報によって大杉の監禁事件が判明します。

この猟奇殺人、世間では「ジョニー狩り」と呼ばれ、なんと犠牲者はすでに2万人!
黒羽社長は何を考えているのか。そしてこの行為は「救世主」としてのものなのか?
いよいよ滝沢と黒羽、そして「東のエデン」による戦いが始まろうとしています。
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東のエデン 第5話「そんなこと考えてる場合じゃないのに」

2009年05月13日 | 東のエデン
『東のエデン』第5話。
オッサンばかり続いたので、そろそろ色っぽいセレソンが出ないかなーと
密かに念じていたら、今週はドンピシャでした。
しかも冒頭からいきなりエログロまつりで、個人的には大盛り上がりです。


しかし都会で鳥葬(?)ってのは、確かにエレガントかも。

別にキツいのが好きというわけでもないんですが、この手の過激な描写って
お話だからこそ許される自由さの表れでもありますからね。
万一こんなのまで規制されたら、アニメ表現なんてもはや死んだも同然です。

場面は変わって、前回から一夜明けた後の滝沢。
Mr.OUTSIDEの勝手なやり口にブチ切れ気味ですが、そこに通りかかった男は
なんとかつての彼のことを知っているようです。
こちらはこちらで、滝沢からの仕打ちに対しかなりブチ切れ気味なご様子。
「消費の楽園に連れて行くと言って、砂漠のド真ん中に置き去りにしやがって!」と
なにやら意味深なことを口走ります。


つらかった日々を思い出して、ついには滝沢の前で泣き出すありさま。
その後はどうやら、ドバイでインド人の現場監督にこき使われていたとの話ですが
おかげで現地女性との結婚も決まり、なんとか社会復帰を果たせたとか。

これと前回で火浦が漏らした言葉から、滝沢が2万人のニートをうまく丸め込んで
コンテナに詰め込み、ドバイへと輸出したらしいことが伺えます。
仕事のない国なんかは無視して、仕事をくれる所へ行けばいいという考え方は、
ある意味で理にはかなってますよね。
たぶん記憶を失う前の滝沢も、口八丁手八丁の相当なやり手だったのでしょう。
そして今回出てきた男を見た感じでは、彼のたくらみは見事に成功した模様です。

一方の咲は、会社面接の直前というのにパン屋を手伝っているまっ最中。
顔はいかにも羽海野チカなんですが、身体つきやしぐさはすごくリアルなので
そこが奇妙なズレに感じられます。それもまた独特のおもしろさなんですけど。


そんな彼女に対して姉さんのダンナが見せるやさしさは、いわば鈍感さの裏返し。
これって確かにマズいんだけど、男って誰しもこういう間抜けなところがあるのも
同性として思い当たるフシがあるような気もします。
世の女性のみなさん、鈍い男ばかりでホントにすいません(ペコリ)。

落ちこみつつ電車に乗った咲に弱気な表情で声をかける啓発くん、もとい大杉くん。
同窓生を批判して自分の不安を打ち消そうとする彼の話と、それに共感できない
咲との温度差が、これまたイタすぎます。
そういうところが、やっぱり啓発くんどまりなんだよなぁ。

そして電車の吊り広告には、不穏な社会情勢を写す週刊誌の記事がズラリ。
高校球児が起こした「サイコロステーキ殺人」とか、なんかスゴそうですよ。

ふたたび場面が滝沢へと戻ると、コイツがまた鋭いことを言い出します。
「100億まで使える携帯を配れる人間って、そうはいないだろ。例えば総理大臣とか」
ちなみに某総理大臣はノブレス携帯を持ってないようですが、今度は100億円使って
お台場にマンガ博物館を作ろうと考えてるらしいですね。
こんな使い方でサポーターに消されないのか、誰か私にこっそり教えてください(^^;。


「・・・ぎゃふん」

これ一発(正確には二発)で、内閣支持率10%アップ。かかったお代は60円なり。
これが安っぽい政治に安易な支持率、そしてそれ以上に安い民意の相場なのかな。
あー政治家の皆さん、これはあくまでアニメですからね。
特にマンガ太郎さんは、間違ってもこんなことしちゃいけませんよ。

そんな沈みかけの政権を横目に、いよいよセレソンNo.1が姿を見せました。


しかもこの男、どうやら米軍か自衛隊と強いパイプを持ってるみたいです。
ミサイル発射事件のカギとなるのは、やはりこの人物なのか?
No.1とNo.9、リアリストとロマンチストとして対比される二人のセレソンの対決が
この物語のヤマとなるのは、ほぼ確実と思われます。

面接でミサイル事件に対するお悔やみを述べたら「杓子定規な正論」と一蹴され、
さらに面接官から食事の待ち合わせをすっぽかされても律儀に待ち続ける咲。


あげくの果てにわざと牛丼をかけられ、OLには陰で嘲笑されてしまいます。
そんな彼女の愚直さが今は道化に見えたとしても、実は「王子」にふさわしい
「姫」となる者にこそ、この資質が必要なのかもしれません。
迷える王子に選ぶべき道を示すのは、いつだって姫の純真な選択なのですから。

そして薄汚れたシンデレラの前に現われた滝沢は、やっぱり王子様なのでした。


さりげなく励ますような感じで唇を奪ってみせる滝沢、男前ですなぁ。
気の毒ですが、啓発くんでは逆立ちしてもかないません。

・・・そんな傷心の大杉へと忍び寄る女セレソン、白鳥・ダイアナ・黒羽の魔手!
彼を待つ運命は鳥葬か、はたまたサイコロステーキなのか?
それとも一発逆転で、セレブ子飼いのペット少年の仲間入り?

来週の彼がどうなってるかは、神(山監督)のみぞ知るということで(^^;。
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東のエデン 第4話「リアルな現実、虚構の現実」

2009年05月04日 | 東のエデン
東のエデンも第4話。物語も全体の1/4を超え、新たな動きを見せはじめます。
TVは全11話ということですが、映画を加えるとちょうど12話になりますね。

自宅へ朝帰りした咲ですが、姉夫婦の仕事は朝早くから働くパン屋さん。
案の定、玄関に入ったところで姉のダンナさんに見つかってしまいます。
そんな咲を叱りつつ、アタマをなでてくれるダンナさんですが、彼の背後には
咲が“好きだった人と見た映画”と言った「コールド・ブルー」のポスターが。


一方で滝沢は、ニート2万人失踪事件の真相とセレソンの選抜理由について
ジュイスに尋ねてみたものの、当のジュイスは知らぬ存ぜぬで受け流します。
サポーターについては「救世主に不適格な存在を排除する者」と説明しますが
自分がそれなのかと聞く滝沢に対しては、またもはぐらかし。

このテキパキとしたジュイスの声を担当しているのは、攻殻SACのファンには
タチコマ役でおなじみの玉川紗己子さんですね。
ここまでタチコマとは比べ物にならないほどの有能ぶりを発揮してますが、
実は今回もAIだったりして?

答えを全然くれないジュイスをあきらめた滝沢は、近藤が言い遺したとおりに
他のセレソンと接触することを考えます。
ノブレス携帯でセレソンNo.5の動向をチェックしてみたところ、こいつはどうやら
医療方面の政治的工作に奔走してる様子(ちなみにこの時点で残高は13億円弱)。
この人物に接近するためジュイスに調査を命じたところ、No.5は火浦総合病院の
医院長であると判明します。

病院に到着した滝沢は火浦医院長と携帯電話で接触し、直接会うことを要求。
しかし滝沢をサポーターと疑う医院長は、直接会うかわりに自分が用意する薬を
飲めと要求し、これを飲んだ滝沢は昏倒してしまいます。

目覚めた滝沢の前には、小型ロボット。その中に入っていたノブレス携帯に
“Mr.OUTSIDE”と名乗る人物からの電話が入ります。

薬によるフラッシュバックで呼び起こされた記憶の中で語られる、ゲームの発端。
電話の主は「この国を救うため」滝沢を含む12人を独断で選んだこと、そして
そのうち1人が救世主たり得ないセレソンを処分するサポーターだと明かします。
なんらかの強い理想と意志を持つ人物としてMr.OUTSIDEの眼鏡に叶い、そして
与えられた100億円によってこの国を救う義務を強制的に背負わされたのが、
このゲームのプレイヤーであるセレソンたちなのでした。

ところで、このゲームを始めたMr.OUTSIDEも確かに身勝手な人物とは思いますが、
たぶん金のない時の彼らも、身勝手な正義感や義憤に駆られていたのでしょう。
“では金と力を与えたら、君たちに何ができる?”と我々が誰かに問われた場合、
そんな覚悟が本当にあるのでしょうか。

正直自分にはそんな覚悟も能力もないし、それで十分だとも思います。
しかし“王子”と呼ばれる者には、それに見合った力を行使する大きな義務が
課せられているはず。
それこそまさに“noblesse oblige”の意味するものでしょう。



“王子”という敬称が気安く使われ、マスコミも視聴者もこぞってそれを持ち上げる
この国の空気に対し、この作品はあえて“王子”という呼称を使うことによって
その意味するものを問い直しているように感じます。
まあこんなの抽象論ですが、どこかのアニメでやってた「紛争根絶」に比べれば
知的シミュレーションとしてよっぽどマシじゃないかと思いますよ。

そしてついに姿を現した火浦医院長が語る、彼の“独善”と“理想”のかたち。
その達観したいさぎよさは、先に退場した近藤刑事と実に対象的です。
たぶんこの人の人生って、ここまでとても充実してたんだろうな。
その最後に足りないものを叶えるための道具こそ、ノブレス携帯だったんでしょうね。
だから彼にとっては、これも立派な「あがり」だったのではないでしょうか。

二人のセレソンの生きざまと死にざまを見た滝沢は、この国を救うことによって
生きてMr.OUTSIDEの元にたどり着けるのでしょうか。
そしていったん線が切れてしまった咲との再会は?
絶望と希望を交互に明滅させながら、物語は第5話へと続きます。

ところで私はやってませんが、番組の携帯サイトではこんなゲームを開催中。

★携帯ゲームJUIZ CALL~セレソンになって100億円を使い切れ!~開催中!★
100億円を消費した人には総額110万円ほか豪華賞品をプレゼント!

私利私欲で使い切ったら、サポーターに消されるんじゃないの(笑)?
それよりホントに「100億円でこの国を救う方法」とか募集すればいいのでは?
何しろ政府が「この国のために」およそ15兆円以上をバラまくほどですからね。

・・・よく考えるとこのバラマキすら予見してたのか、ネ申山監督は!
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東のエデン 第3話「レイトショーの夜に」

2009年04月29日 | 東のエデン
『東のエデン』第3話。

羽をつけた犬の登場に、こいつの名前はガブリエルだろうと勝手に想像した人は
きっと押井ウイルスに汚染されていると思います。
かくいう私も、やっぱりウイルス保持者らしいんですが・・・。

滝沢と咲の到着した住所は、湾岸の巨大な複合ショッピングモールでした。
(ここでチラリと見せる荒廃ぶりに、またも攻殻SACとのつながりを感じます。)
シネコンで思い出の映画を見たいという咲のリクエストに応える滝沢ですが、
彼を追ってきたセレソンNo.4である刑事の近藤勇誠に襲われ、ノブレス携帯を
奪われてしまいます。
しかしそこはしたたかな王子様、その際に近藤から警察手帳を掠め取ってました。

映画館に姿を見せない滝沢に失望し、メモを残して去ってしまう咲。
一方、滝沢から奪った携帯の残金をアテにした近藤は自分の持ち金の一切を
使い果たしてしまいますが、そこには大きな落とし穴が・・・。
手帳を持って駆けつけた滝沢が見た近藤の姿、そして彼が漏らした新たな謎とは。
前回の流れを受けてスタートした第3話ですが、またもや衝撃的な展開によって
物語はさらに謎を深めてしまいました。

それにしても恐ろしいのはノブレス携帯であり、それを管理する謎の組織。
ゲームのプレイヤーであるセレソンさえ、その巧妙かつ絶対的なルールからは
逃れられないということが、今回のエピソードで明らかになりました。

「オレだって最初は・・・正義を成そうと、してたのに・・・よ。」
とつぶやく近藤の言葉が、耳に重く残ります。
その名前の由来だろうと思われる新撰組も、幕府お抱えの治安部隊が転じて
反政府的テロ組織と見なされるようになってしまった集団ですからね。
ノブレス携帯の絶対的な力は、いつしか人の道を誤らせてしまうのでしょうか。

「敗者」を待つ非情な結末を、滝沢は回避することができるのか?
そして滝沢以外のセレソンはどこの誰で、何のために動いているのか?
セレソンたちが「強制的にゲームに参加させられている」という近藤の言葉も
気になるところです。
さらに、滝沢が関わっていたかもしれない「ニート大量失踪事件」の顛末も
これから徐々に明かされていきそうですね。

第1話からずっと気になっていた点で、第3話ではっきり取り上げられていたのが
記憶におけるリアルとフィクションの関係です。
自分の経験の代用として映画で見た場面を例に引きたがる滝沢の行動などには
記憶の中で並列化された場合、実体験と擬似体験の間に差はないのではないか?
という問いが隠されているように感じました。
咲のリアルな失恋と、好きだった相手と見た映画の記憶がリンクしていることも
「経験としてのフィクション(物語)」という側面を意識させるものだと思います。
今後もストーリーのおもしろさを損なわずに、こういう思索的な部分もきっちりと
盛り込んでいって欲しいものですね。

それにしても、劇中映画の「コールド・ブルー」には笑っちゃいました。

オープニング映像なんか、まんま『グラン・ブルー』じゃないですか。
(劇中作品は英語版だったので、この場合は『グレート・ブルー』か?)
そういえば近藤の暴力シーンも『レオン』のゲイリー・オールドマンが
入っていたように思います。神山監督、ベッソン好きなのかな。
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東のエデン 第2話「憂鬱な月曜日」

2009年04月23日 | 東のエデン
この番組の第1回をレビューしたとき、ちょうど話題になっていた北朝鮮の
ミサイル問題に触れて「シンクロニシティめいたものを感じる」と書いたら
なんと翌々週には裸の王子様が本当に出現してしまいました。
これぞまさしく「痴デジ大使」、赤坂でもJohnnyが一矢報いてしまったようです。
地上波デジタル移行前に、まさか本人が画面から消えちゃうとはねぇ。
しかしここまでズバズバ当てるとは、もう「ネ申山監督」と呼ぶしかないかも。

さて、気を取り直して本題のアニメの話へ。
第1話でいきなり「世界の中心」ことホワイトハウスからはじまった物語ですが、
ヒロインの咲は「ここは世界の中心じゃない、私たちとは何の関係もない場所」と
あっさり見切りをつけ、日本へと帰国の途に着きます。
成り行き上それにくっついて来る感じで、本家ジョニーの滝沢王子も日本へ。
第2話はそんな二人が、日本に帰ってきた飛行機の機上からミサイルの着弾跡を
見下ろすというシーンから始まりました。

11発目の着弾ではじめて犠牲者が出たという、このミサイル攻撃の真意とは?
いったい誰が何を意図しているのかわからないまま、新たなセレソンも登場して
物語はさらに謎と複雑さを増していきます。
オーダーすれば人も殺せるノブレス携帯は、どこまで万能なのか。
そしてそれを持つセレソンたちに与えられた「持てる者の義務」とは何か。
そして、彼らの行動は本当に救世主たりえるものなのか。

表と裏を使い分けるセレソンNo4のアクの強さに対し、如才のなさと素直さを
自然体で切り替える滝沢の柔軟さが好対照。若者らしい爽やかさを感じます。
もっともこの姿が本物なのかは、今後を見ないとわからないですが・・・。
それにしても洗脳プログラムの代金が900円とは、なんとも安い!

世界が静かにその闇をのぞかせる中、滝沢と咲は互いの境遇を語ることによって、
その距離を少しずつ縮めていきます。
万能携帯を持ち80億を超える金を動かせる滝沢ですが、缶コーヒーを飲みながら
500円の大切な思い出を語るひと時のほうが、よっぽど幸せそうに見えました。

今回は咲のクルクルと変わる表情もよかったです。

I.Gのキャラは時としてあまりにフラットで硬質に見えるときがありましたが、
今回の作品ではいい感じの柔らかさが出ていると思います。
ふわふわしたタッチの羽海野キャラを森川聡子氏がリデザインすることによって
柔らかい中に芯が通ったキャラクターが完成したのでしょうね。

そしてミサイル事件からのつながりで咲が語った「9.11」に対する感覚。
1話の流れと対比させると、この日以降「世界の中心」はホワイトハウスでなく、
グラウンド・ゼロであったことを、暗に示唆しているみたいです。
物語の中では跡地に新たなビル「フリーダム・タワー」が建てられていますが、
その傷跡を物理的に埋めてしまった後も、人々の心に開いた大きな穴までは
やはり埋められなかったようですね。

そんな違和感を「なんかぺろんとキレイで」と表現してみせた咲のセリフには、
鋭い感受性と表現力の豊かさを感じました。
このセンスこそ、彼女が「POPの達人」である理由なのかも?

映像の美しさだけでなく、セリフでも魅せてくれるこの作品。
やっぱり今期一番の注目作だと思います。今晩の第3話にも期待大。
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神山監督が放つ最新ミサイル、『東のエデン』

2009年04月11日 | 東のエデン
ノイタミナ枠で、神山健治監督の新作『東のエデン』がスタートしました。

東のエデン公式サイト

おりしも世間では飛翔体とかミサイルとかでちょっとした騒ぎも持ち上がり、
不謹慎ながらタイムリーというかシンクロニシティめいたものを感じました。
時代の空気に敏感なフィクションに、リアルの側が歩調を合わせたかのようです。

OASISの『Falling Down』に乗って流れるオープニング映像は、スタイリッシュで
テンポの速いカッコいいものでした。
でもロゴとCGと携帯の組み合わせには、ちとシャフト某作品を連想しましたが(笑)。
5月に出るシングルCDにこんな感じの映像特典がつくなら、買わない手はありません。
てことで、忘れないうちに速攻で初回限定版を予約してしまいました。

ペーパーアニメっぽい映像にハイトーンの女性ボーカルとドライブ感のある楽曲が
うまくかみ合ったEDも、作品のイメージに合っていると思いました。
でもエンディングテーマのタイトルが『futuristic imagination』、バンドの名前が
school food punishmentってのは、どっちも長すぎるし言いにくいんだよなぁ。

羽海野チカのやわらかいキャラデザに全裸の青年というギャグっぽい幕開けは
女性視聴者を意識したようなとっつきやすさですが、その背景に見えているのは
ホワイトハウスとワシントン記念塔。
他ではたわいもない行動でも、ここでやった途端にテロ行為と見られかねません。
個人の意思とは無関係に世界がその行動を規定し、人間性を決め付けることの
危うさが、この導入部から既に見え隠れしています。
それがヒロイン・咲の語る「閉塞感」へと通じる流れは、地味ながらも巧妙。
おとなしそうに見えて実は切れ味バツグン、のっけから神山演出が冴え渡ります。

アメリカの街をリアルに描いた作画、丁寧に動かされたアニメーションなどは
ビジュアル的に見ても一級品。
でもそれ以上に魅了されたのは、携帯電話やパスポートなどの小道具を通じて
「アイデンティティ」と「記憶」の関係を問い直すストーリー展開でした。
記憶のない朗がまず頼る携帯電話、咲にとって荷物より大切なパスポートなどは
モノに託された「自我」の形であり、監視カメラや携帯のメモリーに残った姿は
外部化された記憶のリプレイです。
『攻殻SAC』で追求されてきたテーマは、確実に『東のエデン』という作品へと
引き継がれているようですね。

だれかに自分の未来をナビゲートされるという便利さと、裏返しの不安。
安全なはずの世界に張り巡らされた監視の目と、息苦しいほどの閉塞感。
キレイな映像にくるんだ鋭い切っ先はこれらを切り裂いてみせるのでしょうか、
あるいはあえて切り裂くことなく、さらに違った結末を見せるのでしょうか?
すべり出しは上々、あとは全11話プラス劇場版の中で、どこまで深く物語を
語りつくせるかというところ。神山監督の手腕に期待が高まります。

余談ですが、警官が朗を「ジョニー」と呼んだのは、名前がわからないので
アメリカで氏名不詳の男性をあらわす「John Doe」にかけたのだと思います。
そこを切り返して、朗が自分の「ジョニー」を見せたというわけ。
記憶はないくせに、妙なアメリカンジョークは使いこなせる王子様なのでした。
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テロや、これは神山はんのテロやで(笑)!

2009年02月13日 | 東のエデン
もっぱら女性ファンを意識した作品を次々と発表しつつ、『墓場鬼太郎』などの
異色作も放映し、いまや深夜アニメ枠における重要な一角を占める勢力となった
フジテレビの「ノイタミナ」。
4月からはいよいよ神山健治監督のオリジナル新作『東のエデン』が始まりますが
その公式ブログの中で、おもしろいブログパーツが配信されてます。
作品の中で重要な役割を果たす携帯電話をクリックすると、同ブログパーツを
貼ってるサイトの記事が無作為に選ばれて、ものすごく大変なことに・・・!

私の場合、究極映像研究所のパーツをクリックしてみたところ、着弾地点は
こんな大惨事になっちゃいました。



見事shamonさんのワインコレクションにヒット(笑)。
下の数字が総被害額だとしたら、ご本人卒倒モノですね。

ちなみにshamonさんのところから飛んだ分は、たいむさんの記事に当たりました。
知ってる人のところばかりぶっ飛ばして、なんかもうしわけないっす(^^;。

しかし、実害のない(?)サイト攻撃って発想自体が、なんともユニークですね。
『東のエデン』本編のキャプションにある
「日本各地に10発のミサイルが落下、しかし犠牲者はゼロという奇妙なテロ事件」
という設定にも符合するのが、実にうまいところです。
このパーツ、いまのところgooブログには対応してないのが何とも残念。

携帯電話、電子マネー、ミサイルテロ、そして少年と少女が織り成す物語。
それらを繋ぐキーワード“noblesse oblige”を、神山監督はどのようにして
現代の日本と、そこに住む我々視聴者に突きつけてくるのでしょう。
羽海野チカの柔らかい絵と神山監督のトリッキーで皮肉に満ちた作劇の融合が
2009年のアニメ界にどういう波紋を巻き起こすのか、今から楽しみです。
コメント (8)
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