Biting Angle

アニメ・マンガ・ホビーのゆるい話題と、SFとか美術のすこしマジメな感想など。

東のエデン 第7話「ブラックスワン舞う」

2009年05月30日 | 東のエデン
『東のエデン』第7羽・・・もとい、第7話。
今週も怪鳥ブラックスワンが大暴れですよ~。

今回はあらすじに入る前に、黒羽社長のテーマソングをお楽しみください。
ちなみに歌のタイトルは「スワン節」。

(前口上)
「その黒い翼が羽ばたく時、闇に男の悲鳴が響き渡る。
 男の心に浮かぶのは、罪の意識か後悔か。
 げに恐ろしきは女の恨み、今となってはおそすぎた。
 それでは世の男性諸君にお届けしましょう、スワン節です!」

“学校出てから 十余年 今じゃやり手の 鬼社長
 モデル稼業の 息抜きに 切ったジョニーが 2万本”
 (サバ言うなこのヤロー)

・・・下品な替え歌で申し訳ない。
ちなみに前口上の部分は、〇置宏さんのイメージでお読みください。

そういえば、伏字のところはジョニーにしなくても歌えますねぇ。
(それだと完全に放送禁止レベルになっちゃいますが。)

その2万人の犠牲者ですが、どうも滝沢の仕組んだニート輸出事件と
カウント数がごっちゃになってしまってるようです。
そのあたりのいい加減さはまさに都市伝説らしいところなのですが、
そんな話が増幅されてあたかも既成事実のように広まってしまうのも
高度情報化社会ゆえの落とし穴だといえるでしょう。
(そして後半では、さらなる落とし穴が・・・!?)

さて、大杉の行方を追っていた春日が先週探り当てたのは、大杉が愛用していた
恋愛相談掲示板「AMORE PADRONE」に送られてきた画像つきのメール。

その画像には、咲を模したらしきマスコットのつけられたカバンが・・・!。

携帯から送ってきた画像をクローズアップしていく場面は、やっぱり
ブレードランナーのESPERシステムに影響されてるっぽいですね。

それにしても、大杉の失恋話を大げさなブンガク的表現で語る春日には
平澤以上に“メガネの遺伝子”が色濃く受け継がれてる気が。

ふと考えたのですが、大杉・平澤・春日と並べてみると、この3者がそれぞれに
メガネというキャラの持つ「3つの顔」を分担しているようでもあります。

咲に対して配慮もなくベラベラしゃべる春日に、キレたおネエの右フックが炸裂!

今石監督のグレンラガンも真っ青の、このデフォルメっぷりを見よ!

この『東のエデン』は「リアルとファンタジー(あるいはバーチャル)の混在」が
ひとつの作品テーマになっているようですが、映像面でもそれを意識した作画や
演出が行われているように感じます。
アニメならではのデフォルメやナンセンスさと、リアル指向でハードな描写を
うまく共存させていると思いますよ。
メディアの特性を実によくわかっているし、何より「アニメであること」に
極めて自覚的なつくり方が、なんとも頼もしいじゃないですか。

アニメを「世界に誇る文化」と豪語するなら、それをつくるクリエイターにも
このくらいのスキルと心意気が求められるべきでしょう。
なにかと実写に走りたがるアニメ作家や、役者をモーションキャプチャーして
リアルなアニメを撮ったと得意げな実写あがりの監督をやたら持ち上げるのは
そろそろ止めにしてもいいんじゃないのかな。

話を戻して、エデンのメンバーは送られた写真をエデンシステムにかけることによって
そこに写ったピアノの型番を割り出し、現場のホテルを突き止めることに成功します。
そして共犯者として掲示板に書き込まれたのは、「ジュイス」という名前。
それを聞いたとき、滝沢にもこの事件に関わる理由と覚悟が産まれます。

でもこれらの情報から黒羽社長に辿り着けたのも、結局はジュイスの働きによるもの。
これではセレソン全員がゲームマスターの手の内で踊らされてるだけにも思えますね。

ホテルへと急ぐ黒羽社長の車が、ア〇ンドの前を曲がっていきます。
おネエのパンチから一転して、リアルすぎるくらいに描きこまれた六本木交差点が見事。

この臨場感が「いま、ここ」で進行中の物語であることを、より強く感じさせます。

ここで滝沢による足止めを食った黒羽、着信音に気づいてノブレス携帯を見ると
そこには自分に対するNo.9からの介入履歴が。


そして黒羽の打った返しの一手が、滝沢を巻き込んだタンクローリーの横転事故。

このへんは互いの布石を読みあうチェスを見ているようで、実にスリリングです。

さらに横転したタンクローリーからは、お約束のオイル漏れ&炎上が発生!
なんともド派手な仕掛けぶりは、まるでハリウッドのアクション映画みたい。
エンターテインメント面でも、定番を抜かりなく見せてくれます。

そしてノブレス携帯によるホテルの買収合戦を経て、先に部屋へ到着したのは
残念ながら黒羽のほうでした。

そこへギリギリで滝沢が乱入し、ノブレス携帯を抜きにしての直接対決へ。

「私は信念を持って、ジョニーをちょん切る人殺しをしているの。
 この携帯をもらう、ずーっと前から。」
そして女性の敵を殺したぶん、異国のステキな男を輸入していると語る黒羽。

「そもそも私、このゲームで上がる気はないの。
 しょせんどんな正義の味方だって、世界の半分しか味方にできないんだもの」

この歪んだ価値観はともかく、発想の根底にある女性ならではの深い諦念には
やはり一目置かざるを得ません。さすがはセレソンに選ばれた人物です。

そんな黒羽に対し「アンタも助けるよ」と言った滝沢の、彼女に対するひとこと。

「ジョニーに愛をもらったこと、ねぇみてえな気がしてさ。」

いやぁ青い。でもホンネでは、男なら誰しもこういうセリフを言ってみたいモノ。
「男による男萌え」を目指す神山監督の面目躍如といったところでしょうか。
(でもよく考えると、こういう主人公って結構ギャルゲーとかに出てるかも。
 たとえば「浩之ちゃん」とか「岡崎さん」とか「ハクオロさん」とか・・・。)

黒羽に誘惑、というより挑まれた滝沢ですが、首都高での負傷であえなく失神。
それを知らずに駆け込んできた咲は、衝撃的なシーンを目にすることに・・・。

そして最後に黒羽が見せたあっと驚くドンデン返しと、エレガントな退場。
ここまでやられると、もはや「敵ながらあっぱれ」としか言いようがありません。

終わってみれば、騙りのウマさに見事翻弄されてました。
結局、黒羽社長はまさに女性版「ダークナイト」ってとこですかね。
(あるいは『科学忍者隊ガッチャマン』へのオマージュかな?)
そしてそれに最後まで気づかせないところも、憎らしいほどにうまかった。
ダマされることの快感も含めて、見事なエンターテインメント篇でした。

そうは言っても、ブラックスワンが残した爪痕はかなり深刻です。
滝沢は今回の事件による多額の出費に加え、かなりの深手も負ったようだし
咲のほうは余計な心配のタネを抱え込んでしまったみたい。
若い二人の明日は、はたしてどうなる!?

せっかく冒頭で「白鳥の歌」を披露したけど、黒羽社長はいまだ健在なり。
ということで、再登場と新イリュージョン(笑)にも期待が持てそうな感じです。
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2 コメント

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うんうん(^^) (shamon)
2009-05-30 13:04:29
まいどでーす

>「スワン節」
すんません、曲名の前に
「その黒い羽が羽ばたく時、闇に男の悲鳴が響き渡る」
ってつけといてください(笑)。
当然PVのOPにはシガーカッターのアップつき(爆)。

>男なら誰しもこういうセリフを言ってみたいモノ。
「ないんだろ?」じゃないのがいいですね。
これを言おうものなら
どんなかっこいい男でも
グーパンチで確実に殴られますから(^^;。
この場合は確実にジョニーがぱっ(以下略)。

とにかくドタバタとハラハラと色香とトリックが絶妙の混醸を見せた回でした。
返信する
オーダーを受理しました(笑) (青の零号)
2009-06-01 00:05:36
shamonさん、まいどでーす。

説明するのもヤボですが、社長ソングの元ネタは植木等の「五万節」です。
それをもじった替え歌が「スワン節」。

あとご注文にあわせて、前口上を追加してみました。
しかしジョニーで玉〇宏とは・・・われながらハマりすぎ(自分で言うな)。

あ、オーダーの代金はそちらのノブレス携帯から落としてあります(笑)。

>「ないんだろ?」じゃないのがいいですね。
さりげない気遣いがニクいですよね。
でもどう見たって、この歳の青年の標準的な言動じゃないけど(笑)。
この年代だと、本当はもっといろんな面でいっぱいいっぱいですから。

>とにかくドタバタとハラハラと色香とトリックが絶妙の混醸を見せた回でした。
女性セレソンの存在意義を強く印象づけたことによって
「正義」の多様さを改めて考えさせたという点でも
見応えのあるエピソードでした。
それでいてギャグとスリルも抜かりなく盛り込んだりと、
神山監督の手腕にはつくづく脱帽です。
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