ガラパゴス通信リターンズ

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思い出の夏休み(小学校最後の夏休み・声に出して読みたい傑作選58)

2008-08-15 08:05:12 | Weblog
 最近は小学校もあまり夏休みの宿題を出さなくなった。それでも何か一つはやってこいということになっている。「統計グラフ」はそのなかでもいわば定番。去年太郎は、仲良しのお友達と一緒にこれをやって、「奨励賞」を取った。お馬鹿な小学校3年生が自分の力で立派な研究が出来るはずもない。結局ママたちが力を合わせて、統計グラフをでっちあげた。太郎たちのものだけではない。賞をとった作品は絶対に子どもたちの力だけではできなかったであろうものばかりである。

 太郎が今年は自力で統計グラフを仕上げるという。グラフを作る材料としてクラスメートにアンケートをとっている。そのアンケートをみてびっくりした。まず回答者の性別を聞いている。1.男、2.おかま、3.女とある。「ちゅうい」として、「おかまと書いたものは、男とみなします」と書かれてあった。「ちゅうい」をするぐらいならはじめから「おかま」などいれるな!「おかま」とだけ答えた者はいなかったが、男の子の約半分は「おかま」にもマルをしていた。

 ボランティアをしたことがあるか。どんなボランティアをやったのか。質問の内容は、まあまともである。はじめてボランティアをやったのは何歳のときですかという質問があった。選択肢は1歳から3歳、4歳から6歳、7歳から9歳。1歳児のボランティアって?0歳というのを入れなかったのは太郎の見識かもしれないが。集計をしてみると、にまるをつけた子は一人しかいなかった。「若い頃にボランティアをやる人はあまりいません」と太郎の「考察」。若い??!

 結局今年も統計グラフは、大人の手がたくさん入ったものになった。いい加減極めるアンケート結果からもっともらしい数値を導き出すのは「専門社会調査士」たるびんちゃんの仕事。デザインの面では母親と骨子の手が入っている。太郎はわきできゃあきゃあ騒いでいるだけで、ほとんど何もしていない。家族総がかりで、丸々一日かけてようやく出来上がり。心底疲れ果てた。もうこりごりだ。統計グラフの宿題のない国に生まれたかった。

2 コメント

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学校教育の貧困では (かつのり)
2008-08-19 10:01:02
>賞をとった作品は絶対に子どもたちの力だけではできなかったであろうものばかりである。

親が手伝わないとできないものばかりって、もしかしたら、日本の学校教育の貧困ではないですか? それに親が忙しい子は可哀相ですね。

余談ですが私が小学生の時の夏休みの発表は、「塩田を見学しました」という言葉に23付け加えただけで終わりでした。先生は、「写真とかないの?」といいましたが、子供が写真を撮らないのは常識じゃないですか。親が手をかけるか、先生が指導するかのどちらか。やはり学校の指導力を向上させないと。。。(小学校の先生の大半は指導できないと思うので、先生向けのマニュアルを充実させることが必要でしょう)。

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憂鬱な宿題 (加齢御飯)
2008-08-19 14:15:33
「親が手伝わないとできないものばかりって、もしかしたら、日本の学校教育の貧困ではないですか? それに親が忙しい子は可哀相ですね」。

 おっしゃるとおりです。忙しくても教育熱心な親は本当によく手をかけています。夏休みの宿題は親の能力の品評会の趣があります。結局学校の先生は、創造的なことは苦手だから、こういうことになるんじゃないでしょうか。読書感想文なんて本嫌い、読書嫌いをつくるだけのもののように思えます。


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