イザヤ書
◆ティルスの審判
23:1 ティルスについての託宣。泣き叫べ、タルシシュの船よ。
ティルスは破壊され、住む家もなくなった。
キティムの地から帰るやいなや/彼らはそのことを知らされた。
23:2 嘆け、海辺の住人たち/シドンの貿易商たちよ。
お前の使者たちは海を渡り
23:3 大いなる水を越えて行き/シホルの穀物、
ナイルの収穫がお前の収入となり/お前は国々の行き交う場所であった。
23:4 うろたえよ、海の砦シドンよ。海がこう言っている。
「わたしは産みの苦しみをしない。子を産み、若者を育て/おとめらを、
はぐくむことはできない」と。
23:5 この知らせがエジプトに達したとき/人々はおののいた/
ティルスについての知らせを聞いたときのように。
23:6 渡って行け、タルシシュに。泣き叫べ、海辺の住人たちよ。
23:7 これがお前たちの陽気だった海辺の町か。
町の初めは、遠い昔にさかのぼり/足である船は、移住の地を求めて/
遠くへ市民を運んだ。
23:8 ティルスに対してこのように定めた者は誰か。
ティルスは王冠を戴き、その貿易商人たちは貴族。
取り引きする者らは世界に重んじられていた。
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イザヤは、13章からイスラエル周辺国への
神のさばきの宣告を語ってきました。
そして23章は最後のところです。
フェニキヤの主要都市であったティルス(注・01)の審判が
23章で語られています。
注01でありますようにアッシリヤやバビロンのように
広大な土地はない国でしたが、地中海を舞台に
世界中の国々と貿易をして栄え、巨万の富を築いていました。
まさに今日の日本のように資源はない国ですが、
貿易で世界トップレベルの経済成長を遂げたようなものです。
日本も戦後、巧みなモノづくりで自動車、電化製品を中心に
貿易で莫大な富を得ていきました。
その豊かな資金で世界経済を動かし、先進国の仲間入りができました。
しかし、1990年のバブル崩壊で日本経済は失われた30年という
低経済成長時代となりますが、それでも世界ではトップクラスの経済大国です。
日本と同じような経済成長を遂げたティルスへのイザヤの宣告は、
これから急激な円安や人口減少で日本経済は更なる疾走の可能性もあり、
日本への戦後総括としての最終宣告として読むべきところなのです。
ティルス(注・01)
レバノンの南西部、地中海に面する都市遺跡。ユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録された史跡でもある。ティルスの現在の名前はスール(アラビア語: صور)ないしはティール(アラビア語で岩という意味)といわれる。ティルスは、現在小さな漁村であるスールの位置にかつてあった都市である。都市の起こりは紀元前2500年ごろといわれている。ティルスは紀元前1000年頃、ティルス王ヒラムが陸地から1キロメートルほど離れた小島に移した。紀元前332年、マケドニアのアレクサンドロス3世が島へ侵攻するために島との間に突堤を築き、以降半島となった。ティルス付近の地中海の砂浜には自噴井があり、その周辺の野菜、柑橘類、ヤシなどの栽培園の灌漑水源となっている。砂浜にはEuphorbia paralias(英語版)などの植物が生え、アオウミガメとアカウミガメの産卵場となっている。背後の丘陵地には低木林やイグサ属(英語版)の草地がある。1999年にラムサール条約登録地となった。フェニキア人の造った都市国家でも最大級にまで発展し、紀元前1000年頃にはフェニキアの首都となった。また、アレクサンダー大王に対して唯一抵抗したフェニキア国家でもあった。テュロス人は、『エフェソス物語』『ダフニスとクロエ』など多くのギリシア文学にバアル信仰や人身御供などの風習を持つ残忍な海賊として登場し、ローマ時代に至るまで文学の伝統となっていた。