fantasia*diapsida

とりとめのないメモの山

blood: the last vampire:

2009-06-17 00:00:00 | film・bilder++

『ラスト・ブラッド』"Blood: the last vampire"(2009年/香港・フランス/クリス・ナオン監督)。

元々『BLOOD  THE LAST VAMPIRE』(2000年/日本/北久保弘之 監督)で衝撃を受け、アニメにのめりこんだ口なので、
(あと深夜放送で観た『AKIRA』(1988年/日本/大友克洋 監督)とね)
そりゃあ実写化とあらば観に行きます。
『BLOOD  THE LAST VAMPIRE』って言えば、
要は「1966年のベトナム戦争真っ盛り沖縄米軍基地で、セーラー服おさげの女子高生が日本刀でバッサバッサぶった斬る」話なのだが、
これがまた48分の尺の持つエネルギーというか…技術面はもちろんのこと、
演出とか脚本、あらゆる部分が物凄いクオリティで、とにかく、のめり込んだ。
こいつの公開の後、明らかに影響を受けた作品が量産された(特に、やっぱり『KILL BILL』とか'笑)のも
その衝撃力を示しているだろう。
 Blood  the Last Vampire - Trailer


で、今回やっと正式な実写版、と。
製作国の香港とフランスはノワールの二大巨塔だ、この辺が安易にハリウッドにならなくて正直、よかったと個人的に思う。
(特に『GODZILLA』や『ドラゴンボール』の例があると、ねぇ…)。
俺、アメリカ映画よりも香港やヨーロッパ映画の空気が好きなのよね。
それから「全年齢対象にして少しでも製作費を回収しよう」というのではなく、
R-15の原作のままの、ヴァイオレンス描写を全く躊躇わないR指定はある意味、勲章だ。
ハリウッドだとこういう所で結構モメるんですよね…。
言語は原作同様、英語と日本語です。

映画は約90分。原作の約2倍。
平たく言うと、前半が原作に比較的忠実なリメイクで、後半が全くのオリジナルです。
小雪さんが出るって、なんか雪女みたいな井出達でフワフワしていたCMを見て
ものすごく不安だったのですが、結構前半はよかったです。
というか、中盤、雨降るネオンぎらぎらの歓楽街裏通りでのバトルシーンは最高でした。
ストーリーなんかなくたって、大した台詞もなくたって、アクションで何かを語れてしまう、そんなシーンが映画にはたまにある。
(李小龍(ブルース・リー)先生はそれをほぼ毎度やってのけた点で偉大だと思う。)
今回が久しぶりに、本当に久しぶりにそういうものとの遭遇だった。
ハッキリ言って色々無茶苦茶なことをやってるんですが、その風景はあくまで泥臭く汗臭く、血生臭い。
首刎ね真っ二つ上等!!※注1
その台風の目を演じてのけた小夜役のチョン・ジヒョン!あんたは偉い、よくやった!
(どうでもいいけど、スカートの下に黒のレギンス穿いてましたね。)

でも後半(つまりオリジナルパート)になると急につまらなくなる。
登場人物が身の上を語りだし、ストーリーらしいストーリーが動き始めるや、途端に流れが停滞してしまう…。
舞台もドロドログジャグジャな歓楽街や米軍基地ではなく、ふつーの山中に。
そして最後に小雪さんマトリックス…やっぱアンタのシーン要らないよ…。
つーか英語下手やね…。

1970年の、決して現実ではないが一種ファンタジーとして決して勘違いではない、ウェットな日本の風景。
(ある意味『ブレードランナー』みたいな、ある意味『肉体の門』みたいな)
耐えきれないかのようにボトルに入った血を飲みほし、喉を潤す小夜。
みたいな、個人的にかなり萌えるシークェンスが多くて非常に好きな雰囲気なんだけどなぁ~。


結論。前半はかなり良かった!この前観た『T4』などよりよっぽど面白い!(注: 通好みではあります)
後半は、要らない。
と、いうことで☆


主題歌が、B'zでもラルクでもなくて
GLAYってーのは何となく合っていると思う。
別にどこのファンでもなければ、特にGLAYなんて『ヤマトタケル』の主題歌がデビュー曲だった…ぐらいしか知識無いんだけれどね…。

映画「ラスト・ブラッド BLOOD THE LAST VAMPIRE 」予告編 Trailer


※注1:なにもスプラッター賛美ではないのだが、ありがちな"血の出ない斬り合い"には時々違和感を覚えることがある。
 刀剣の使用目的が人切り包丁である以上、そこには道具の使い手と使われる側の個々別々の主張が鬩ぎ合う。
 それは体を千切られる恐怖であり、血に染まったがための異常な昂揚であり、吐き気であり、カタルシスであり、死と、屍に支えられた生存である。
 死線を双方で共有し、そして一方が最期を迎える以上、斬手はその死を目の前で見届ける宿命が生じる。
 これが刃を振り下ろす一瞬に混在するという点で、武器は、
 ポチっとボタンひと押しで顔も見ないままに殺戮を行う単なる無機質な"兵器"とは一線を画し、
 刀剣や槍、棒、長刀にヌンチャク、サイ、トンファ云々…を扱う術は、"武の道"として人心を鍛え上げることができるのである。
 そんなわけで、"残酷な死"を除いた綺麗な斬り合いは、同時に何とも言えん哀切さや恐怖や、その他数多の感情を省いて見え、
 なんだか逆に、妙な心ない冷酷さを感じてしまうなぁと、たまーに感じるのであるよ。



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