fantasia*diapsida

とりとめのないメモの山

thirteen assasins:

2010-10-11 00:00:00 | film・bilder++

『十三人の刺客』(2010年, 日本, 三池崇史:監督) を観に行きました。

最近の邦画の中でも久々に面白かった☆
(最近の邦画、あんまり劇場まで見に行っていないけれど…)
原作の方はこの手の有名どころに関しては珍しくまだ観たことがないんで、またこれから観ます。

概要はシンプルに権力者の悪事に対して、寡兵でも志を共にした漢たちが復讐を果たす!といったもの。
もちろん使い古された月並みなパターンではあるが、これほど映画的で燃えるものはない。
テイストはかなり気合入ったリアル志向。
お歯黒も普通に出てくるし☆首も飛ぶし☆
もちろん時代考証でいけば、それは…?みたいなのもあるが、あくまでエンターテインメントなのでね。


そしてそこに奇を衒ったみたいな余分な捻りもないのがまたいい。
最近の日本映画って、それ直接にストーリーないだろ?みたいなところまで
やたら主人公や仇役の過去のトラウマだの生い立ちだのをうざったいほど具体的に語りたがるんだが、
もうそんなのが増えれば増えるほど誰にも共感できる気がしねぇのよ。
今回くらいで調度いい安心感。
もちろんそれはそういう俳優と演出があらばこそなんだけど、
やっぱりそういうところで役所広司さんはいいね。
「預かったおぬしたちの命、使い捨てに致す!」って言われても、
ああこの人には男が命かけて付いていくだけ価値があるんだなぁという説得力があるもんねー。


今回俳優陣は無茶苦茶ゴージャスで、役所さんはじめ、松方弘樹に市村正親が共演するという渋さ。
チャラい軽ぅい奴がヘラヘラしてるような作品とは全く違う。
松方さんはさすがで、普段は頭も切れるが包容力のありそうなオッチャンだなーと思いきや、
いざ刃を抜くとダントツで強い。
今回設定は江戸後期、太平の世なので、侍でも実際に人を斬ったことのある者は少ない。
であるが故に、武芸としての剣術はしっかりしているが(抜刀の仕方とか)いざ斬り合うと、
そこまで殺陣としては洗練されていない泥臭い殺し合いに発展する。
もちろんそれが本作の特徴で(原作はこういう集団抗争時代劇を初めて取り入れたという)、
ラスト約50分、思う存分血みどろ乱闘劇を見せてくれるのだが、
その中でも松方先生、1人だけ明らかに動きが違う(笑)。
剣筋が乱れない上ちゃんと腰が据わっていて且つ他の人の倍くらいの速度で刀を振るってる(笑)。
実際ベテランの設定だしね。ハマり役だ。

市村さんは敵役なんだけれど、決して悪役じゃない。
悩みながらも、ちゃんと"主君に忠誠を尽くす"という侍の本来の正義を、最後まで徹底して貫いて生きる。
だからこそ役所さん演じる島田新左衛門とは、
同門であり昔ともに研鑽を極めた同士であり、互いに互いを認めながら、
互いの正義のために剣を交えずにはいられない。

『ライオン丸G』で主役を張っていた波岡一喜さんも、そこまで目立たないが13人のひとりとして出ていた。
実は個人的に好きな俳優さん♪
キャシャーンばりの超人っぷりを発揮していた伊勢谷友介も、良い3枚目になっていた(笑)。
彼だけがほとんど完全に現代人の視点だよね。

だが今回特にまた素晴らしいのが悪役の大ボスで、
松平左兵衛督斉韶の狂いっぷりが尋常じゃない(笑)。
だいたい悪役というのは悪ければ悪いほど、それを倒す側に共感が生じる。
今回のこれはどう考えても13人の漢が命を捨てても戦うだけの理由があるよな、と。
しかも周りから見て極悪非道の所業にしか見えないのを、
本人はただ淡々と「で?」ぐらいにしか考えていないのがまた…。
秀逸なのが食事シーンで、あそこで「実はこの人モノノ怪か何かで、ラストで正体現すんじゃ(三池作品だし)…」ぐらいに思わせてくれる。

そんな彼も最期、今際の際の一言が、そのキャラクターのバックグラウンドを全て語っている。
誰も彼も時代が生んだ被害者なのだなぁと…。



何であれ、よかったです☆
昨今ヌル~イ時代劇が多い中で、
ちゃんとお歯黒が出てきたり、首が飛んだりするのが、よかった(笑)。
音楽もね、やっぱりVc,Cbの低弦がガシガシ鳴ってるのはいいねぇ。
『Desperado』、エンドロールとかで鳴るのかと思ってたら、CMだけだったのね。
原作の方は知らなかったんだけど、伊福部昭だってさ!
伊福部先生、あの辺の時代の名作には必ず関わるのねぇ~。
曲も含めて、やはりこんど観てみよう。

「斬って斬って、斬りまくれぇ!!!」

Thirteen Assassins (2010) official trailer
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 ・Sukiyaki Westren Django: スキヤキウェスタン・ジャンゴ。 同じく三池監督也。

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red cliff part II: 『レッドクリフ Part II -未来への最終決戦- 』原題"赤壁下:決戰天下"
 ・guilala strikes back: ギララの逆襲

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