怪道をゆく(仮)

酸いも甘いも夢ン中。

怪道vol.87 ゲゲゲの境港~上巻

2008年04月16日 16時57分13秒 | 怪道
ウフフ、かねてより念願の境港に行って参りました。ここはワタシにとって、機会を逃すとなかなか行けない場所の最たる例で、意外でしょう、実は行ったことなかったんです。なので、誕生日には行きたいところに連れて行ってやろぅという米寿のジジサマのお言葉に、「さかいみなと」と即答しましたわけでス。マンガなんて『正チャンの冒険』しか知らぬというw大正生まれのジジサマですから、ワタシが何にテンションをあげてるかサッパリ承知せんという顔のまま、伯備線と鬼太郎列車を乗り継いで、ついにやって参りました境港ですッ。

ひとまずは、境港というマチについて。「さかいみなと」とワンピースな地名のように思っていたのですが、地元の方とツラツラお話していると、やはり「さかい」「さかいまち」の「みなと」なんですネ。いわずもがな、鳥取県と島根県の県境にある漁港を中心とした弓ヶ浜半島の先端に位置する街。『出雲国風土記』に載る国引き神話では、美保関を引き寄せるのに使った綱がこの弓ヶ浜半島にあたるとされております。当時は「夜見嶋」と書かれておりますこの土地は、「夜見」すなわち「ヨミ」→黄泉なんて発想にいたるわけですが、大先生の生まれ育ったこの場所はまさにあの世とこの世の境界の地とも言えましょう。

大砂州・弓ヶ浜半島を横断する鬼太郎列車ことJR境港線の車窓からは、およそ稲作など不可能であろう砂地の大地が延々と続くのが見えます。畑はあっても水田はない。そんな風景をぼんやり見つつ、そういえば大先生の作品では、あれほど郷愁を誘うような妖怪とそれをつつむ背景画だけれども、青々と水を湛えた水田の風景てのは滅多に見かけないよなぁと思ってみたりなんかして。断ぜん畑の方が多いんじゃないでしょうかね、三平くんが耕しているのも畑ですし(帰宅後ざっと見たら数少ない田んぼの画でも刈入後がほとんど)。ひょっとしたら大先生の幼い頃の原風景には水田がなかったからかなぁ・・・というのは深読みしすぎでしょうね、きっとw そんな畑作ばかりの土地ですから、人々の目は自然と海へ向かうことでしょう、というか海に興味のある人しか住まないでしょう。境港は今も漁獲水揚げ量は日本屈指の港のようです。

ねずみ男駅(米子)から鬼太郎駅(境港)まで約40分。ワタシも小さいサンの頃に仕事に出た親を迎えに行くんだと3駅ぐらい先までテクテク出かけていって警察沙汰を起こしたことがありますがw、小さいしげーさんはこの距離を往復歩いてドーナツ買いに行ったんだなぁと思うと、すごい子だったんだなぁとあらためてしみじみ。


鬼太郎列車こと境港線。

というわけで、到着しました水木ロード。1つ1つのブロンズ像にフハッと鼻の穴をイカらせてヨロコぶワタシと、「・・・こんなところに来るとは思てなかっタ」と絶句するジジさま。が、この3月8日で大先生が86歳になることを知るに及ぶとボクより2歳下なんか、とにわかに親近感を覚えたらしく俄然興味を持ってくれはじめ(イヤ出発前にちゃんと説明したはずなんスけどねw)、これは何やアレは何やと1体1体解説するハメに。訪れた当日4月13日に発売されたばかりの13版「妖怪ガイドブック」のスタンプラリーをしつつ、やってくるねずみ男やネコ娘に突撃しつつ、みやげ物を物色しつつ、そりゃもう目の回るような忙しさで@@;。

さてまずやって参りましたのが、先月30日、妖怪広場に完成したばかりの「河童の泉」。河童の泉と言うからには、さぞかしウジャウジャと河童がいるのかと思いきや。確かに真ん中の小屋にはカン平とタヌキがお話し中、隣の高台にでーんとひかえる三平に・・・悪魔くん、カッパ達の小屋の前で横泳ぎするねずみ男、ちゃんちゃんこを着せてもらった小便小僧な鬼太ちゃん、小豆洗いや岸崖小僧、さざえ鬼までいるシ!まァにぎやかなことです、ハイ。霧が吹くというのでしばらく待ってたんですがシュンともプシュとも言わないので、今度は次なる妖怪神社へゴー。


完成したての河童の泉。


妖怪神社でございます。

「とりあえず楽しく過ごせますように」、「運がよくなりますように」とお願いしました。絵馬とかお守りとか、あくどい商売したはりますなぁw とかいいつつチャッカリ妖怪おみくじなんか引いてみたりして、「ぬらりくらりと暮らしていてもひょんな人から小さな幸せやってくる あぁめでたいな」とありました。いやァなかなか幸先のよろしいことで(´ω`)。神社の隣の妖怪ショップげげげさん・・・ですかね、妖怪フィギュアのお店。なんといいますか、ヒジョーに危険な店でした。金がいくらあっても足りゃシネェ。非売品のコーナーはもぅー、終始垂涎デス。

妖怪バナシに声も枯れそうになってくる頃、ようやくたどり着いた水木しげる記念館。うーん、じゅうじつの展示の数々、うならせますね!ナカの話は皆さんの方がよくご存知でしょうから多くは語りませんが、他のお客さんの邪魔にならないようには気をつけつつ20分ぐらい、しょうけらなキモチで蔵の中をしゃがんで見てましたトモ。中庭には4月9日に出現したばかりの10体の妖怪燈籠が!・・・一度火を灯して夜見てみたいッスねぇ~と館の人にゆうたら閉館時間は17:00だそうで。大変ひつれいいたしました(汗)。1日どっぷり楽しめそうー・・・な勢いだったんですが、この辺りでさすがのジジサマにも疲労の色が濃くなってきましたので、ジックリ観るのはまた次の機会のお楽しみに。

終始うむうむと頷きつつ楽しんでいらっしゃったジジサマの感想は、「せいぞん中にこぅまで立派なものを建てられるとは、かんぷくしたナ!」とのことです、ハイ。

すっかりファンになったらしいジジサマ、ぜひにも作品を読んでみたいぞ、とおっしゃいますので何を見繕おうかなぁと思案中デス。ひとまず貸本マンガ復刻版の『墓場鬼太郎』を貸してあげる予定ですが、ワタシは「河童の三平」とちくま文庫の「妖怪ワンダーランド」シリーズが好きなので、単行本クラスの大きさでないものでしょうかネ、文庫版だと、さすがに年寄りなジジサマには小さすぎてしんどいようなんです。ご存知の方はどうぞご教授お願いしマス。

夜は目玉おやじの入浴剤でご存知の方も多い皆生温泉でユルユル。フグづくしをいただきまして、イヤァ、まことに!楽しい誕生日イヴでございました。



いっぱいいました


・・・フッ。


妖怪スタンプラリーは、ちゃんと完走いたしましたョ。