人間、没頭する何かを持っていると、必然的にそれによるヤマイのようなものを併発することがございます。ワタシのように歴史をやっている者の場合、その症状の一つといたしまして、3桁後半から1000番台の数字全般が西暦に見えてしまうということがママあるわけで。ホラそこのアナタ、身に覚えがありますでしょ?
歴史人間の中でも専攻している時代によっては、時間・時代の捉え方が様々に違っております。ワタシなんぞのように比較的古代の辺りを重点的にやっていたものにとっては江戸時代なんて「つい最近」と感じてしまいますが、その江戸時代をやっている人には鎌倉時代でもずいぶん「古い」と感じることでしょう。
発掘調査事務所などにおりますと、文献の人間から見れば相当古い時代をやってらっしゃる方によく出会います。最近でこそ考古学は近世や中世にも地平を開きつつありますが、遺跡や遺物をベースに時代を把握しようとする学問である以上は、古墳~弥生時代以前が花形となるのは当然のことです。さらに考古学には旧石器時代という途方もない過去を扱う領域まである。石器を専門とされる方は「石屋」さんなんて呼ばれ方をするわけですが、彼らは基本的に縄文時代以前を主に扱います。中には、人類ではないモノ達を相手にしてらっしゃる方もいたりする(わがドリフ大のM藤先生なんかはその一人)。
現在職場で仲良くさせていただいているテシモリさんは、この旧石器でマスターを出られた方。そういう方は上記のような時代の古い新しいについてどういった歴史感覚を持ってらっしゃるのかナァとたずねてみたら、「わぁもうお米食べてる~(ほど最近)」という具合になるんだそうで。この方々にとってみたら、近代なんてもう、24時間経ってないぐらい最近、な勢いなんでしょうね。
テシモリさん相手に石器トークをおうかがいするのを楽しみに毎日職場に通っています。石器はその割れ方から過去を復元しようと試みられるわけですから、実験とは縁が深いらしい。つまり、石器に適した石を拾ってきては実際に作ってみることがよくあるそうなのですね。自宅のベランダには石や自家製の石器が転がっている、という石屋さんは大多数にのぼると思っていいようです。また、石ではわかりにくいので板チョコやチーズを使って、力の入る方向と割れ目の関係をみたりもするのだそうで。
石器と言うのは、遺構を伴って発掘される場合ももちろんありますが、狩などで回収されなかった鏃などがそのまま残るのでしょう、山中に突然落ちているなどのこともあるようです。ですから、遺構や遺物の関係から時代を特定していくという手法がとられない・・・というより、旧石器時代となるとそもそも土器がありませんから、石のみで時代を判定していくことになる。また、サヌカイトのように風化していく石器ならば比較的問題はなくても、黒曜石のように数千年ほぼ原形のままという石もある。なので、実験で作った石器の処理も、慎重にならざるを得ないそうで。つまり、現代に実験で作られた石器が数百年後発掘された際に、彼らが時代をよみ誤る可能性がある、と。
遺構を伴う出土遺物を扱っている者にしたら、「撹乱」遺構といって、新しい時代のものが混ざっていると判断しちゃいますけどもね。なるほど、これは石屋さんならではの考え方だなぁと感心しまして、じゃあ、使用済みの実験石器はどんなふうに処理されるんですか?とおうかがいしたら。
・・・ビニール袋に入れて「燃えないゴミ」に出すんだそうでw
それは・・・ただ捨てる場所が変わるだけの話ですね。しかもそんなことしたらゴミ収集車の方がお困りになるじゃないですか。とまぁ、すってーん、と転んでしまったわけですがw、これはテシモリさんのうっすらとした記憶の中にある話ですので、多分もうちょっと違う方法があるのかもしれません。
いずれにせよ、ワタシ共が某貴族邸を発掘調査しておりました際も、後世の人間がここを掘ったら「撹乱」扱いされるのかナァなんて冗談半分で話すことはありますが、数百年後の人々のことなど、こうも真剣に考えることはないわけです。はるか遠い時代を探ろうとされる方々は、彼ら自身が歴史の中に生きておられるのだなぁと思わずにいられませんでした。
ちなみに、石屋さん以上に悠久の時の流れに身をゆだねてらっしゃるナァと感心したのが、地質学を専攻されている方々。ワタシ共の調査現場は鴨川の洪水層を見る必要性もあり、特に地質の方面からの検証を要請するんですが、もう・・・ねw 約束の時間にピッタリにいらっしゃった試しがございません。というか、約束にまず時間をおっしゃいませんw 「お昼ぐらい」とか言うてくれはるだけラッキーな感じなんではないかしらと思ってしまいます。
彼らとお話した後は、・・・つい空を見上げて、フッと微笑んでしまいます。時間の流れがゆったりとするんですよね。・・・あともう1年、ゆったり変わって行こうかナァと、気づけば笑ってる自分がおりました。
どうでもいいことですが、以前考古学を専門にする学生アルバイト達をひきつれてカラオケに行った際、最近話題になっていた「創聖のアクエリオン」のテーマ曲を歌ったヤツがおりましたんですが。「1万年と2千年前から愛してる~♪」で、
「縄文時代か・・・」
と全員がマッタク同じタイミングでつぶやいたのには爆笑しました。
ステキな職場で働かせていただいております。
歴史人間の中でも専攻している時代によっては、時間・時代の捉え方が様々に違っております。ワタシなんぞのように比較的古代の辺りを重点的にやっていたものにとっては江戸時代なんて「つい最近」と感じてしまいますが、その江戸時代をやっている人には鎌倉時代でもずいぶん「古い」と感じることでしょう。
発掘調査事務所などにおりますと、文献の人間から見れば相当古い時代をやってらっしゃる方によく出会います。最近でこそ考古学は近世や中世にも地平を開きつつありますが、遺跡や遺物をベースに時代を把握しようとする学問である以上は、古墳~弥生時代以前が花形となるのは当然のことです。さらに考古学には旧石器時代という途方もない過去を扱う領域まである。石器を専門とされる方は「石屋」さんなんて呼ばれ方をするわけですが、彼らは基本的に縄文時代以前を主に扱います。中には、人類ではないモノ達を相手にしてらっしゃる方もいたりする(わがドリフ大のM藤先生なんかはその一人)。
現在職場で仲良くさせていただいているテシモリさんは、この旧石器でマスターを出られた方。そういう方は上記のような時代の古い新しいについてどういった歴史感覚を持ってらっしゃるのかナァとたずねてみたら、「わぁもうお米食べてる~(ほど最近)」という具合になるんだそうで。この方々にとってみたら、近代なんてもう、24時間経ってないぐらい最近、な勢いなんでしょうね。
テシモリさん相手に石器トークをおうかがいするのを楽しみに毎日職場に通っています。石器はその割れ方から過去を復元しようと試みられるわけですから、実験とは縁が深いらしい。つまり、石器に適した石を拾ってきては実際に作ってみることがよくあるそうなのですね。自宅のベランダには石や自家製の石器が転がっている、という石屋さんは大多数にのぼると思っていいようです。また、石ではわかりにくいので板チョコやチーズを使って、力の入る方向と割れ目の関係をみたりもするのだそうで。
石器と言うのは、遺構を伴って発掘される場合ももちろんありますが、狩などで回収されなかった鏃などがそのまま残るのでしょう、山中に突然落ちているなどのこともあるようです。ですから、遺構や遺物の関係から時代を特定していくという手法がとられない・・・というより、旧石器時代となるとそもそも土器がありませんから、石のみで時代を判定していくことになる。また、サヌカイトのように風化していく石器ならば比較的問題はなくても、黒曜石のように数千年ほぼ原形のままという石もある。なので、実験で作った石器の処理も、慎重にならざるを得ないそうで。つまり、現代に実験で作られた石器が数百年後発掘された際に、彼らが時代をよみ誤る可能性がある、と。
遺構を伴う出土遺物を扱っている者にしたら、「撹乱」遺構といって、新しい時代のものが混ざっていると判断しちゃいますけどもね。なるほど、これは石屋さんならではの考え方だなぁと感心しまして、じゃあ、使用済みの実験石器はどんなふうに処理されるんですか?とおうかがいしたら。
・・・ビニール袋に入れて「燃えないゴミ」に出すんだそうでw
それは・・・ただ捨てる場所が変わるだけの話ですね。しかもそんなことしたらゴミ収集車の方がお困りになるじゃないですか。とまぁ、すってーん、と転んでしまったわけですがw、これはテシモリさんのうっすらとした記憶の中にある話ですので、多分もうちょっと違う方法があるのかもしれません。
いずれにせよ、ワタシ共が某貴族邸を発掘調査しておりました際も、後世の人間がここを掘ったら「撹乱」扱いされるのかナァなんて冗談半分で話すことはありますが、数百年後の人々のことなど、こうも真剣に考えることはないわけです。はるか遠い時代を探ろうとされる方々は、彼ら自身が歴史の中に生きておられるのだなぁと思わずにいられませんでした。
ちなみに、石屋さん以上に悠久の時の流れに身をゆだねてらっしゃるナァと感心したのが、地質学を専攻されている方々。ワタシ共の調査現場は鴨川の洪水層を見る必要性もあり、特に地質の方面からの検証を要請するんですが、もう・・・ねw 約束の時間にピッタリにいらっしゃった試しがございません。というか、約束にまず時間をおっしゃいませんw 「お昼ぐらい」とか言うてくれはるだけラッキーな感じなんではないかしらと思ってしまいます。
彼らとお話した後は、・・・つい空を見上げて、フッと微笑んでしまいます。時間の流れがゆったりとするんですよね。・・・あともう1年、ゆったり変わって行こうかナァと、気づけば笑ってる自分がおりました。
どうでもいいことですが、以前考古学を専門にする学生アルバイト達をひきつれてカラオケに行った際、最近話題になっていた「創聖のアクエリオン」のテーマ曲を歌ったヤツがおりましたんですが。「1万年と2千年前から愛してる~♪」で、
「縄文時代か・・・」
と全員がマッタク同じタイミングでつぶやいたのには爆笑しました。
ステキな職場で働かせていただいております。