一杯の水

動物であれ、人間であれ、生命あるものなら誰もが求める「一杯の水」。
この「一杯の水」から物語(人生)は始まります。

一杯の水(2)

2005年05月14日 00時55分51秒 | インドの小さな物語
ナーラダは水を求めて、ある家の戸をたたきました。
「水を一杯いただけないでしょうか」。

すると出てきたのは、類無く美しい一人の娘でした。
「聖者様、どうぞおあがりください」と、彼女は尊敬の念をこめてナーラダを家に迎え入れました。
彼女はナーラダをもてなしながら、家のこと、家族のこと、そして自分のことを語りました。ナーラダが相談にのっているうちに、いつしか辺りは夜の帳に包まれていました。
「聖者様、外はもう真っ暗になってしまいました。今夜は家にお泊りになり、明日お立ちなさいませ」。娘の優しい申し出に、ナーラダはうなずきました。

翌朝娘たち家族は、早くから忙しく働いていました。ナーラダは昨晩のお礼にと、畑を手伝うことにしました。ナーラダは汗を流しながら、一日が過ぎました。次の日も、またその次の日も同じように過ぎていきました。

こうして二人の語らいは恋となり、ナーラダは彼女の父に結婚の許しを願い出ました。二人はめでたく結婚し、12年の歳月が瞬く間に流れていきました。

この12年の間に、義父は亡くなり、ナーラダが財産を相続しました。ナーラダはまじめに働いたので、田畑は広がり、家畜もどんどん増えていきました。その上、子宝にも恵まれ、忙しくはあっても、幸せな日々が続いていきました。
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