鬼神の秘密

'05~'06オセロ世界チャンピオン 為則英司のブログです。

オセロイベントに参加しました

2006-05-01 10:26:25 | NHK京都放送局
一昨日と昨日の二日間に渡り、NHK京都放送局の春の会館公開イベントの目玉とし
て、オセロイベント「オセロ世界チャンピオンに挑戦」が開催されました。
二日間とも大盛況で、NHK京都支局の副局長さんから「我々としてはオセロイベントは
成功だったと思っています。来年もお願いできますか?」とのお言葉まで頂戴しました。

土曜日のお昼前には、NHKニュース(京都府のみ放送)でオセロイベントが生中継されました。
私からイベントの方式について「10面打ちをやってま~す。方式は・・・」といった感じで説明し、
その後、私に勝った岡本一樹二段(名人戦少年の部4位)へのインタビュー
「うれしいです。」が入りました。

二日間のイベントで合計42局打ち、イベントが終わった後も数十局打ちました。
若い頃はこれくらい何とも無かったのですが、齢37の私にはこたえました。
イベントに参加してくれた有段者には結構負けましたね。
返し忘れ、ポカ等大サービスしてしまいました。

その中で印象に残った試合を紹介しておきます。
黒が岡本二段、白が私です。
私は32手目で痛恨の返し忘れ(斜め二石)をしてしまい、勝負が決まった感がありますが、
その後も岡本君のそつの無い攻めを受けて敗れてしまいました。

C4E3F6E6F5C5F4G6F7G5D6D3F3C3H4H5G4H3E2F2D2D1E1F1G3C1B6H2B4A4H7E7B5A5C2G2A6
B3C6D7A3B7D8C7A8A7B8C8E8B2A1H6H1G1
/ A B C D E F G H
1●+○○○○◇●
2+●○○○○○●
3●●●●○●○●
4●●○●●○○●
5●●○●●○○●
6●●●○○○○●
7○●○●●●+●
8●●○●●+++

55手目次黒番ですが、どこに打ちますか?
私は55B1 56A2 57G7 58H8 59G8 60F8の進行を予想し、白少し足りないかな~
と思っていましたが、この局面で岡本君はG7! これが実にうまい手です。
白に56でF8を強制させて、下辺を黒のものにできます。
結果は黒の岡本君の8石勝ちでした。

私もそうでしたが、55B1と上辺を取ってから57でG7に打つとG列が黒のものになるので
一見得するように見えたのですが、この進行だと下辺とホワイトラインが白のものになるので、
実は黒2石勝ち(55G7に対して6石損)の進行でした。

岡本君の終盤力に感心しました。全日本での活躍を期待しています。

NHK京都放送局のオセロイベント

2006-05-01 08:44:48 | NHK京都放送局
今週の土曜日(29日)と日曜日(30日)に、NHK京都放送局にてオセロのイベントを行
います。「オセロ世界チャンピオンに挑戦」というイベントで私が一般?の方十人
と十面打ちを行います。両日ともに午前(10:30AM~)と午後(13:30PM~)の二回で
合計四回、十面打ちを行うことになります。

今日、NHK京都放送局の方と電話で打ち合わせを行いましたが、土曜日の二回と日
曜日の午前の部は対戦相手がほとんど子供だということですが、日曜日の午後の部
は大人のツワモノを集めたそうです。おそらく、顔見知り(有段者)が何人か登場す
るのだと思います。

NHKの話では、オセロイベントの模様が土曜日(29日)の11:40AM~と12:40PM~の
NHKニュースで放送されるそうです。残念ながら、全国放送ではなく、京都府下の
ローカルニュースの中で取り上げられるそうです。京都府民の方は是非、当日の
ニュースをご覧になってください。

ベンと連戦しました

2006-05-01 08:42:12 | kurnik
先週土曜日にKurnikでBen Seeley氏と出会ったので、持ち時間三分のブリッツを連戦しました。
私は年初以来の不調から脱してないためか、ベンに6勝8敗で負け越してしまいました。
確か、×××××○○○○××○○× の星取りだったと思います。
最初の五連敗が痛すぎます。。。

その中で面白い終盤があったので紹介しておきます。

/ A B C D E F G H
1++++++++
2+●◇○++●+
3○●○○○●●●
4●●○●●●●●
5●●○●●●●●
6●●●●●●●●
7●●○○○●+●
8●●●●●●●+  
Black 私 White Ben  

次黒番(47手目)ですが、どこに打ちますか? 
黒を持ってがしがし確定石を取っていく私好みの進行でしたが、私は次の47手目で
敗着を打ってしまい、ベンに逆転負けを喫しました。

実は私はこの局面でC1と打ってしまいました。
A1を阻止しつつ確定石を増やすのが狙いだったのですが、48D1が冷静な好手で
49以降どう打っても白にA1とH1の両方の隅を取られてしまいます。
最後はH8とG7に白に連打されて負けました。

後から考えると、この局面ではブラックラインの通しを維持して、
白にH1の隅を取られないようにすることだけに腐心すればよかったのでした。
白に上辺を与えてもブラックラインだけ切られないようにすれば、黒からG7に
打てないので白G7→黒H8の形で終局するはずでした。

47の正解はA2です。
48A1 49F2 50E2 51B1(E4の白石を消してブラックラインの通しを維持する好手)
52C1 53F1の進行の後(下記盤面)は白がブラックラインを切る手段はありません。

/ A B C D E F G H
1○○○++◆++
2●●○○●●●+
3●●○●○●●●
4●●○●●●●●
5●●○●○●●●
6●●●●○●●●
7●●○○○●+●
8●●●●●●●+

最初の局面では白に上辺を与えるがブラックラインだけは守るという考え方が重要でした。
非常に勉強になった試合です。

2手目に勝負手を打った試合

2006-05-01 08:39:43 | WOC2005
昨年の世界選手権で何度か勝負手を打ちましたが、2手目に勝負手を打った試合があります。
それは、準決勝のTakuji Tashiwabara戦第二局です。
(私の中では、柏原さんはTakuji Kashiwabara=外国選手です。)

その試合は私が白番でしたが、昨年の世界大会で唯一斜め取りを選択しました。
通常、公式戦では縦取りしか打たない私にとっては、斜め取りは勝負手なのです。
斜め取りを打った理由は準決勝第一局にあります。
第一局で黒を持った私は、予選でTakuji戦で勝利した試合と同じ定石を選択しました。

F5D6C3D3C4F4F6F3E6E7D7G6D8
/ A B C D E F G H
1++++++++
2++++++++
3++●○+○++
4++●●○○++
5+++●○○++
6+++●●●○+
7+++●●+++
8+++◆++++

結果はご存知の通り引き分けでしたが、長考を繰り返す私に対して、
Takujiはほとんどノータイイムで打っていました。
Takujiはいわゆる"Draw line"を研究していて、その研究通り打っていただけなのです。

私が第二局で縦取りを打つことを想定して、おそらくTakujiは黒番でもDraw line
を準備していると考えて、相手の意表を突くために斜め取りを選択したわけです。
斜めを打った瞬間、Takujiは「エ~」と声を出して驚いていました。

この作戦は成功し、序盤で優位に立ち終盤47手目まで勝勢だったのですが。。。
48手目の大悪手で掌中にしかけた勝利が転げ落ちてしまいました。

試合に負けた直後、観戦していたSagiriさんに「俺、どこが悪かったのかな?」と
聞いたところ、Sagiriから「大だ~い失着がありましたよ」と憮然とした表情で、
しかもドスの利いた低い声で言われ、激しく落ち込みました。

その失意のどん底で第三局を迎え、第三局では三手目で勝負手(兎→ローズオープ
ニング)を打ってしまうのでした。
(続く)

世界選手権で最も迷った局面

2006-05-01 08:32:54 | WOC2005
昨年の世界大会18試合の中で私が最も迷った局面を紹介致します。
それは、決勝戦三番勝負の第一局 49手目(下記局面)でした。
白は韓国のLee選手、黒が私です。
序盤~中盤は黒(私)は全くいいところがなく白優勢で進んだ試合でしたが、白42手
目の悪手により大接戦になりました。そして、48手目まで進んで下記の局面を迎え
ました。

F5D6C3D3C4F4F6B4F3E6E3F2D2G5G6G4H4H5H6G3H3C1F1E2E1D1C2G1A5F7B5B1C5B3C7D7C6
E7G2B8A2B6A6H7G8B7H8G7

/ A B C D E F G H
1+○○○○○○+
2●+○●●●●+
3+●○○○●●●
4+●●○○○○●
5●●○○○○●●
6●●○●●○○●
7+○○○○○◇●
8+○++++●●
次、黒番

この局面で私の第一感はF8。
以下50E8→51D8→52C8→53A8と、がしがし確定石を稼いでいくつもりでした。
しかし、この展開だと白に左下と左上で手どまりを打たれてしまうので、偶数理論
で黒が負ける典型的なパターンではないか?と思い、49F8を却下しました。

次に浮かんだのが、実戦で打ったA8です。
A8の隅を取ることで左辺のウイングを早々と白に取られるため、A8を打つのにかなり
勇気が要りましたが、この手を採用した理由は二つあります。

一つ目は、49A8 50A3 51A4 52A7の後、53C8 54D8 55E8 56F8と下辺を詰めたとする
と、56で白に右下で手止まりを打たれることになりますが、57でB2と打てばホワイトライ
ンを根元から黒石に出来るので、結構、確定石を稼げそうだと思ったこと。(実際に
引き分けの進行であった。)

二つ目は、49A8の後、白が間違えて50A7と打ってくれたら、51B2で左辺が黒のもの
になるので勝てる可能性があると思ったことです。

実戦では白Lee選手は49を見た後、あまり時間をかけずに50でA7に石を置こうとし
ましたので、私は内心とても喜びました。しかし、Lee選手はA7に石を置くのをや
めて長考に入りました。(がっかり。。。)
長考中のLee選手の視線が下辺に集中していたので、もしや51B2を見落としている
のでは?と期待していたところ、やはりLee選手は50をA7に打ちました。

50A7 51B2以降の展開は、オセロニュースで読まれた方も多いと思いますが、52A4
53A3 54A1 55C8 56D8 57E8 58C8 黒パス 59H2 60H1の進行で黒の私が2石勝ちしました。

はじめまして

2006-05-01 08:30:43 | WOC2005
先月名人戦に出場したとき、村上九段から「為則君のオセロの思考方法を書物で残
したらどうか」とのアドバイスを頂きました。一気に本を書き上げるほどの時間と
気力がありませんので、ブログ形式で少しずつ書いてくことにしました。ただし、
序盤、中盤、終盤と系統だった解説書的なものではなく、最近の試合や過去の試合
について普通に書いていくつもりです。皆さんの棋力向上に少しでもお役立てれば
光栄です。