鬼神の秘密

'05~'06オセロ世界チャンピオン 為則英司のブログです。

WOC2006予選R1-4(天才の片鱗)

2007-01-31 06:51:58 | WOC2006
予選第1ラウンドのCaroline戦は28手目D8、29手目C7、30手目A4、31手目E1まで進んで、下記の局面を迎えました。当然ながら、32手目はB5が見えていましたが、なぜかB5を却下して、H5に打ってしまいました。なぜB5に打たなかったのか?この辺りの思考過程を思い出すことができません。実戦の勘が鈍っていたとしか思えない着手です。

/ A B C D E F G H
1++++◆+++
2++++●●++
3+○○○●●+○
4○○○○●●●●
5++●○●○●+
6+●●●○○○+
7++●○○+++
8++●○○●++
次、白番(32手目)

下記局面で、私は黒D2、白B5、黒C2、白A5と進行すると白やや有利と読んでいました。しかし、天才少女Carolineは私の意表を突く絶好手B5を放ったのでした。「相手の打ちたいところに先に打つ」セオリー通りの好手です。

実戦(白が悪手H5を打った局面)
/ A B C D E F G H
1++++●+++
2++++●●++
3+○○○●●+○
4○○○○●●●○
5++●○●○○◇
6+●●●○○○+
7++●○○+++
8++●○○●++
次、黒番(33手目)

Carolineに絶好手B5を打たれて、私は動揺してしまったのでしょうか。次の34手目で、大悪手を打ってしまうのでした。

実戦(黒が絶好手B5を打った局面)
/ A B C D E F G H
1++++●+++
2++++●●++
3+○○●●●+○
4○○●○●●●○
5+◆●○●○○○
6+●●●○○○+
7++●○○+++
8++●○○●++
次、白番(34手目)

WOC2006予選R1-3(着手が委縮)

2007-01-30 01:10:10 | WOC2006
当初の予定では26手目をH5に打つつもりでした。この場合、G3に余裕手が残るため、白十分でした。しかし、右下の白壁が厚くなるので、後々の負担にならないだろうか?と考えてしまい、26手目で右辺を取るのを躊躇してしまったのでした。

参考図(26手目をH5に打った場合)
/ A B C D E F G H
1++++++++
2++++○+++
3+○○○○○+○
4+●○○●●○○
5++●●○○○◇
6+●●●○○○+
7+++●●+++
8++●++●++
次、黒番

結局、26手目ではE8に当ててしまいました。黒に27でD8に打たせた後、H5に打つ構想でした。しかし、Carolineが27手目を考えている時、黒D2が絶好手であることに気付いて、動揺してしまいました。明らかに読み落としです。

実戦
/ A B C D E F G H
1++++++++
2++++○+++
3+○○○○○+○
4+●○○●●●●
5++●●○○●+
6+●●●○○○+
7+++●○+++
8++●+◇●++
次、黒番(27手目)

もし黒が27手目をD2に打っていたら、白はD8に入ることもできず、打つ手に窮したところでした。反対に黒はB5、G3等に余裕手があり、打つ手に困りません。

参考図(27手目をD2に打った場合)
/ A B C D E F G H
1++++++++
2+++◆○+++
3+○●●●○+○
4+●○●●●●●
5++●●○○●+
6+●●●○○○+
7+++●○+++
8++●+○●++
次、白番(28手目)

少考の末、Carolineは27手目をF2に打ちました。このF2を見て、私は内心ホッとしたのでした。しかし、この後、白がとんでもない悪手を打って、敗勢に陥ることになるのでした。

実戦(27手目F2)
/ A B C D E F G H
1++++++++
2++++○◆++
3+○○○●●+○
4+●○●●●●●
5++●●○○●+
6+●●●○○○+
7+++●○+++
8++●+○●++
次、白番(28手目)

WOC2006予選R1-2(私の読み)

2007-01-28 10:13:57 | WOC2006
Carolineは定石にも詳しいようで、23手目(下記盤面)まで、ほとんどノータイムで進行しました。おそらく彼女のbookの範囲だったのでしょう。

私の第一印象では24手目はE8でした。黒が25でD8に打って下辺を取ってくれたら白優勢と読んでいました。しかし、黒が25で下辺を取らずにF7に打ってきた場合、26D8→27C7となり、白はH3に打てなくなります。つまり、白は右辺の手が制約されることを意味します。私はこの進行が嫌だったので、24手目で先にH3にA打ちすることに決めました。

C4E3F4C5D6F3E6C3D3E2B6F5G5G6B4F6G4D7C8B3C6E7F8
/ A B C D E F G H
1++++++++
2++++○+++
3+○○○○○++
4+●○○●●●+
5++●●○●●+
6+●●●○○○+
7+++●●+++
8++●++◆++
次、白番(24手目)

私が嫌った進行(24E8 25F7 26D8 27C7)
/ A B C D E F G H
1++++++++
2++++○+++
3+○○○○○++
4+●○○●●●+
5++●○●●●+
6+●●●●●○+
7++◆●●●++
8++●○○●++
次、白番(28手目)

実戦では24手目H3、25手目H4となり、下記の局面を迎えました。当初の予定では、26手目をH5に打って右辺を取るつもりだったのですが、迷ってしまいました。次の一手を境に大混戦に進んでしまうのでした。

実戦
/ A B C D E F G H
1++++++++
2++++○+++
3+○○○○○+○
4+●○○●●●◆
5++●●○○●+
6+●●●○○○+
7+++●●+++
8++●++●++
次、白番(26手目)

WOC2006予選R1-1(解説再開)

2007-01-27 10:46:24 | WOC2006
本日から心機一転して、昨年の世界選手権の予選から何局か取り上げて、自戦解説することにしました。まず、予選第1ラウンドのスウェーデン代表のCaroline Sandberg Odsell戦を振り返ってみます。

世界選手権の前夜祭で第1ラウンドのペアリングが行われました。一昨年の世界選手権では第1ラウンドから、WOC常連の実力者で、後藤七段を破ったこともあるGeoff Hubbard選手(当時、オーストラリア代表)に当たってしまい、肝を冷やしました。私はペアリングで第1ラウンドの相手がCaroline Sandberg Odsell選手と決まったときは、名前を聞いたことが無い選手だったので、正直言って今年は少しついているかな?と思いました。しかし、Ben Seeley氏にCarolineについて何か知っているか聞いたところ、「彼女は強いよ!」と言ったので驚きました。試合後、他のスウェーデン代表選手が教えてくれたのですが、Carolineはオセロ歴僅か数ヶ月でスウェーデン代表の座を射止めた天才少女(17才)だったのです。その言葉の通り、第1ラウンドは私にとって悪夢のような展開が待ち受けていたのでした。

さて、試合はローズオープングで始まりました。17手目まではローズオープニングからよく打たれる進行ですが、18手目で白の応手がH4かD7かに分かれます。私の棋風では18手目はD7です。私は試合が終わるまでCarolineが天才少女であることを知らなかったので、どこで間違えてくれるかな?と甘い期待を持ちながら黒の着手を待っていたのでした。

C4E3F4C5D6F3E6C3D3E2B6F5G5G6B4F6G4
/ A B C D E F G H
1++++++++
2++++○+++
3++○○○○++
4+●●●●●◆+
5++●●○●●+
6+●+●●○○+
7++++++++
8++++++++
次、白番(18手目)

18手目をD7に打った局面
/ A B C D E F G H
1++++++++
2++++○+++
3++○○○○++
4+●●○●●●+
5++●○○●●+
6+●+○●○○+
7+++◇++++
8++++++++
次、黒番(19手目)

小学校のオセロクラブ2

2007-01-22 22:48:35 | Weblog
昨日のブログで、ある小学校のオセロクラブにゲスト参加させて頂いた事を書きましたが、その続きを書かせてもらいます。

その小学校の先生から「なぜ、競技オセロの世界に入ったのですか?」という質問を受けました。普通の人は家庭でオセロを楽しむ、いわゆる「遊び」の領域でオセロを楽しむことはあっても、競技オセロの世界に踏み込む人はそれほど多くないので、なぜ?と思われたのだと思います。

私は「私がオセロと出会ったのは中学三年の時です。最初は家族でオセロを楽しんでいたのですが、やがて家族の中で私が一番強くなりました。父親としては父の威厳にかけて、家庭で一番強くなりたかったようで、強くなるために日本オセロ連盟に入会しました。私は、オセロ連盟から父親宛に送られてきたオセロニュースによって、オセロにも全国大会や世界大会があることを知りました。そして、競技オセロの道を歩むようになったのです。」と答えました。

その先生は教育者の観点から「あなたの父親は素晴らしい方です。あなたがオセロという得意分野を見つけるきっかけを与えてくれたのです。あなた自身は、ご自分の子供にも、きっかけを与えられていますか?」と仰いました。

そう言われて絶句してしまいました。我が家の子供達の得意分野か~ 「きっかけ」は与えていると思うのですが、なかなか、適性に合ったのが見つからないのですよね~ まだ焦る必要は無いと思いますが、あらためて、子供にきっかけを与えることの重要性を認識してしまいました。 

小学校のオセロクラブ

2007-01-21 12:31:08 | Weblog
先日、ひょんなことから、ある小学校のオセロクラブにゲストとして参加させて頂きました。オセロの世界チャンピオンが来た!ということで、子供達は興味津々で、「世界大会は毎年あるのですか?」「世界大会は、どこであるのですか?」「テレビに出たことはありますか?」等、いろんな質問を受けました。

オセロ盤が3台あったので、子供達と3面打ちを3回打ちました。何局かはパーフェクトになりましたが、パーフェクトを見たのが初めてだったそうで、子供達は大変喜んでいました。また、子供同士でオセロを打っていても、打てる場所が無くなって「パス」になることも無かったようで、私と打っていて「パス」になることも面白かったようです。

私自身もオセロを打つことで子供達に喜んでもらえたのが、とても嬉しかったです。世界選手権、全日本選手権等、オセラー同士で打つオセロとは違う楽しさを感じました。世界選手権の翌日に水戸で開催された天下一オセロ大会に参加した時にも、これに近い感覚でした。一般の方とオセロを打つ機会をもっと増やせたらな~と思っています。

週報(電波置時計を頂きました)

2007-01-20 11:40:12 | Weblog
先週、我が家に宅急便で荷物が届きました。家族一同が見守る中、箱を開けたところ、中身は見るからに高級そうな「電波置時計」だったのです。昨年の世界選手権で優勝したお祝いに、日頃私が大変お世話になっている方が、時計を贈って下さったのでした。あまりの嬉しさに写真まで載せてしまいました。

時計の両サイドにはブルーのカラーガラスが使われています。説明書によりますと、時計の上部に使用されているホワイト大理石は、漢白玉(はんばいゆ)と呼ばれる希少価値の高い大理石であるそうです。時計の下部には、スワロフスキー社製オーロラクリスタルガラスとガラス枠のカラーに合わせたカラークリスタルガラスの2種を組み合わせた豪華な回転飾りが付いています。

ますます、今年もヤル気になってきました。春の名人戦に向けて、その前に2月25日のオセロ特別講座に向けて、頑張りたいと思います。

ベンと連戦2(私の失敗手順)

2007-01-14 13:05:47 | kurnik
今日は子供達と一緒にお留守番をしています。
さて、49手目H7~54手目G1までは、実は私も陥った失敗手順なのです。私は55手目を打つ段になって、1分程度の時間を投入してカウンティングを行ったのですが、黒がどこに打っても足りないことに気付いて愕然としたのでした。

/ A B C D E F G H
1○●●○○●54+
2○●●○○+++
3○●○●○○+●
4○●●○●○○+
5○●●○○●○○
6○●●○○○○◇
7○52○●●●5149
853○○○○○○50

この局面では黒はどこに打っても勝てません。例えば、55H1、白パス、黒56G2、白57F2、黒58H4ですと、白59G3の後、Cライン(G3~B8)が白の通しになっているため黒はH2に打てません。白にH2に打たれて終局します。(白+8)

/ A B C D E F G H
1○●●○○○◇+
2○●●○○+++
3○●●●○○+●
4○●●●●○○+
5○●●●●●○○
6○●●○○●●○
7○●○●●●●○
8●○○○○○○○
次、黒番 (55手目)

私は白にG1を強制することで黒は勝てると誤信したため、上記手順を選択してしまいました。49手目を打つ前にカウンティングを行っていれば、間違いに気付いたかもしれません。数えることの重要性を再認識した試合です。

ちなみに、49手目以降、黒が最も簡明に勝てる手順は、49H4→50H2→51G7です。
/ A B C D E F G H
1○●●○○●++
2○●●○○++50
3○●○●○○+●
4○●●○●○○49
5○●●○○●○○
6○●●○○○○◇
7○+○●●●51+
8+○○○○○○+

白が52手目をH8なら、黒はG3で必勝となります。
/ A B C D E F G H
1○●●○○●++
2○●●○○++○
3○●○●○○+○
4○●●○●●●○
5○●●○○●●○
6○●●○○●●○
7○+○●●●◆+
8+○○○○○○+
次、白番 (52手目)

ベンと連戦2(必勝手順は?)

2007-01-13 19:51:06 | kurnik
ベンとの連戦の続きです。
49手目は普通にB3に打ち、次にF1を狙って、逆偶数で黒必勝となります。白から右下の奇数空きに打てませんので、白は右上と左上の偶数空きに着手するしかありません。黒にとっては苦しい中盤を一手の差で凌いだ甲斐があった試合でした。

/ A B C D E F G H
1+++◇●51●+
250+○○○●●+
3○49○○●○○○
4○○○●○○○○
5○○●○○○○○
6○●○○○○○○
7○●○○○○+○
8○●○○○○++

/ A B C D E F G H
1+++○●◆●+
2○+○○●●●+
3○○●●●○○○
4○●○●○○○○
5○●●○○○○○
6○●○○○○○○
7○●○○○○+○
8○●○○○○++
次、白番 (52手目)

それでは、新しい終盤問題です。今回も先週末にベンとブリッツを打ったときに出現した局面です。白がベンで、黒が私です。最善手順で黒必勝となります。必勝手順を考えてみてください。

/ A B C D E F G H
1○●●○○●++
2○●●○○+++
3○●○●○○+●
4○●●○●○○+
5○●●○○●○○
6○●●○○○○◇
7○+○●●●++
8+○○○○○○+
次、黒番 (49手目)

ベンと連戦(消去法で選択)

2007-01-12 22:44:27 | kurnik
先週末にベンと打った試合の続きです。
まず、43手目は第一印象でA7が浮かびました。しかし、白に44でB3と打たれると黒はA4に入れないので困ることに気づいたので、A7を却下しました。

/ A B C D E F G H
1++++●+++
2+++●●○●+
3○44●●○○○○
4+●●○○○○○
5●●●○○○○○
6○○○○○○○○
743○○○○○+○
8◇+○○○○++

/ A B C D E F G H
1++++●+++
2+++●●○●+
3○◇○○○○○○
4+○○○○○○○
5●○●○○○○○
6●○○○○○○○
7●○○○○○+○
8○+○○○○++
次、黒番 (45手目)

そこで、4列に黒石をのせるには、どうすれば良いか?と考えた結果、G1が目に付きました。43手目でG1に打った後に45でA7に打てば、白B3も怖くありません。それに、43はG1以外に他に良い手がありません。例えば、43でG7に打つのは、左下の「白から打てない奇数空き」に着手してしまうことになります。つまり、この後、白を逆偶数で攻めることができなくなるので、あまり得策とは思えません。

実戦では43手目G1以降、以下の進行となりました。黒が一手の差で凌ぐ展開です。
/ A B C D E F G H
1+++48●+◆+
2++44●●●●+
3○+●●●○○○
446●●●○○○○
5●●●○○○○○
6○○○○○○○○
745○○○○○+○
8○47○○○○++

次、黒番です。右辺と下辺を黒のものにして、勝ちきる手順を考えて下さい。
/ A B C D E F G H
1+++◇●+●+
2++○○○●●+
3○+○○●○○○
4○○○●○○○○
5○○●○○○○○
6○●○○○○○○
7○●○○○○+○
8○●○○○○++
次、黒番 (49手目)