鬼神の秘密

'05~'06オセロ世界チャンピオン 為則英司のブログです。

私が悩んだ局面の正解

2007-05-12 19:54:30 | 京都オープン
正解手順は50H2、51G3、52A2・・・下記盤面の通りです(白+2の進行)。実戦で私は右上隅は2個空きなので白から手を付けるべきではないと考えていたため、早々にこの手順を切り捨てました。散々迷った挙句、A7を選択しました(引き分けの進行)。

最善手順(白+2)
/ A B C D E F G H
1595853○○○○◆
25260●●○○●50
3●●●○○●51●
4●○○●●○○●
5●○○●●●○●
6●56○○●●●●
754●○○○●●●
85557○○○○○○

終局図(白+2)
/ A B C D E F G H
1●●●●●●●●
2●◇○●○○○○
3●○○○○●●○
4●○○○●●●○
5●○○●○●●○
6●○○●●○●○
7●●●○○●○○
8●●○○○○○○

さて、50手目で正解のH2に打って、先に右上の2個空きを処理した方が白が2石得するのはなぜでしょうか? 50手目A7以降、58手目まで双方が最善手を打った場合、下記の盤面となります。黒が59手目をG3に打つと、Cライン(G3~B8)が黒の通しになるため、白が60手目をH2に打った時にCラインの黒石が白にならないのです。それ故に、白は左上隅に手を付ける前に、右上の2個空きを処理しておいた方が得なのです。

先に右上の2個空きを処理しなかった場合(引き分け)
/ A B C D E F G H
1●●●●●●●●
2●◇○●○○●+
3●○○○○●+●
4●○○○●○○●
5●○○●○●○●
6●○○●●○●●
7●●●○○●○●
8●●○○○○○○
次、黒番(59手目)

結局、50手目H2(+2)とA7(ドロー)の違いは、終局時点でE5の石が白になっているか黒になっているかの差です。実戦で、ここまで読めたらスゴイですね!

私が悩んだ局面(京都オープン)

2007-05-07 22:47:40 | 京都オープン
今回は先日の京都オープンで私が最も悩んだ局面を紹介したいと思います。私は第2ラウンドで江崎三段(中部)と対戦しました。黒が江崎君で、白が私です。序盤は江崎君がよく研究している進行になったようで、29手目までノータイムで打ってきたので大変驚きました。

それでも、何とか白やや有利の形勢で試合を進めて下記の局面になりました。次、白番です。白の私は大変悩みました。白が勝てる手順を考えてみてください。

/ A B C D E F G H
1+++○○○○◆
2++●●○○●+
3●●●○○●+●
4●○○●●○○●
5●○○●●●○●
6●+○○●●●●
7+●○○○●●●
8++○○○○○○
次、白番(50手目)

京都オープンから終盤問題3

2007-05-06 11:03:23 | 京都オープン
47の正解はG2です。46までの局面は、黒が右上隅の処理さえ間違えなければ無難に勝てます。47で黒がダイレクトにD1に打ってしまうと、白G1→黒H1→白G2という嫌な筋が残ります。黒は47で先にG2にX打ちすることで、この嫌な筋を消す必要があります。

47をD1に打った場合
/ A B C D E F G H
1++○◆+●4849
2++○●●●50○
3○○●●○●○○
4○●○●○○○○
5○○○●●●○○
6○○○○●○●○
7++○○○●●○
8++○+○●●○

参考図(接戦になっています)
/ A B C D E F G H
1++○●+●●●
2++○●●○◇○
3○○●●○○○○
4○●○●○○○○
5○○○●●●○○
6○○○○●○●○
7++○○○●●○
8++○+○●●○
次、黒番(51手目)

47を正解のG2に打った場合
/ A B C D E F G H
1++○++●++
2++○○○●◆○
3○○●○○●●○
4○●○●○○●○
5○○○●●●●○
6○○○○●○●○
7++○○○●●○
8++○+○●●○
次、白番(48手目)

48で白に隅H1を取らせた後、黒はD1に付けます。白にG1と打たれても、黒はG3の種石のおかげで、E1に切り返せます。白E1でも黒B1で完勝です。

実戦
/ A B C D E F G H
1++○◆+●+○
2++○●●●○○
3○○●●○●●○
4○●○●○○●○
5○○○●●●●○
6○○○○●○●○
7++○○○●●○
8++○+○●●○
次、白番(50手目)

京都オープンから終盤問題2

2007-05-05 09:30:23 | 京都オープン
正解はG7です。左下の五個空きを生かして逆偶数の形に持っていく構想です。また、黒にとって、将来的に白にB2にX打ちされてホワイトラインを通されるのが脅威ですので、ホワイトラインの通しを未然に防ぐ意味合いもあります。

/ A B C D E F G H
1++○++●++
2++○○○●++
3○○●○○●●●
4○●○●○○●+
5○○○●●●●●
6○○○○●●●○
7++○○○●◆+
8++○+○●++
次、白番(42手目)

実戦42~46手目
/ A B C D E F G H
1++○++●++
2++○○○●+46
3○○●○○●●●
4○●○●○○●42
5○○○●●●●●
6○○○○●●●○
7++○○○●◆43
8++○+○●4544

さて、46手目まで進行して下記の局面になりました。次、黒番ですが、最も簡明に勝負を決める手を考えて下さい。

/ A B C D E F G H
1++○++●++
2++○○○●+◇
3○○●○○●○○
4○●○●○○○○
5○○○●●●○○
6○○○○●○●○
7++○○○●●○
8++○+○●●○
次、黒番(47手目)

京都オープンから終盤問題

2007-05-04 09:30:55 | 京都オープン
昨日開催された京都オープンから終盤問題を出題します。第5ラウンドの菅生六段戦で以下の局面が現れました。白が菅生君で、黒が私です。40手目まで黒優勢ですが、黒が41手目で決め損なうと大混戦になったところでした。さて、白の息の根を止める好手はどこでしょうか?

/ A B C D E F G H
1++○++●++
2++○○○●++
3○○●○○●●●
4○●○●○○●+
5○○○●○●○●
6◇○○○●○○○
7++○○○●++
8++○+○●++
次、黒番(41手目)

京都オープン優勝

2007-05-03 22:58:33 | 京都オープン
本日開催された第19回京都オープンで、12年ぶりに優勝することができました。今回で京都オープンの優勝は6回目だと思います。前回優勝したのは1995年のことですから、当時はまだ二十才台半ばだったのですね~ 大昔のことのように感じます。今日の大会でも面白い局面が出現しましたので、また詰めオセロとして出題したいと思っています。


明日は京都オープン

2007-05-02 12:47:21 | 京都オープン
明日は年に一度の京都オープンの日です。私にとっては連休時の恒例ですが、今回のゴールデンウィークもkurnikでブリッツを打ちまくっています。二、三日前にはBen Seeley氏と18連戦しましたし、昨日は40局以上打ってしまいました。明日の京都オープンに向けて、それなりに調子が上がってきたように思います。

京都オープンの結果(番外編)

2006-05-05 18:43:30 | 京都オープン
大会が終わった後、世話役の天方さんを労うため有志で飲みに行きました。
京都支部定例会の会場であるジョイ・フェローの近くにある「桜」という居酒屋が会場でした。「桜」は二月に私の世界選手権優勝の祝勝会を開いて頂いた場所でもありますが、カウンター席とテーブル2つ置くと一杯になる座敷しかないこじんまりとしたお店です。この日は末国九段他総勢十数人で押しかけましたので、満員御礼状態でした。

私は「桜」を結構気に入っています。その理由は大変美味しい京都1497という地ビールが飲めることと、芋焼酎の種類が実に豊富なこと、それに美人のママが一人で切り盛りしていることです。この日は、我々オセラー集団の他に、ゴルフ帰りと思われるオジサン4人組みがカウンター席で盛り上がっていました。

お座敷に陣取ったオセラー達は、席に着くやいなやオセロ盤を数台広げてオセロを打ち始めました。オセラーの異様な盛り上がり方を意に介す様子もなく、オジサン衆の盛り上がりも最高潮に達していました。その中で、美人のママだけが予想外の満員客をさばくため、つまみを作ったり酒の準備をしたりと一人で忙しそうに働いていました。


私はそのオジサン衆とは初対面でしたが、どういう経緯かよく覚えてないのですが、とても仲良くなってしまいました。オジサン衆におねだりして「黒伊佐錦」という芋焼酎のボトルを入れて頂いたり、「佐藤」という高級焼酎をご馳走になったりと大変お世話になりました。「黒伊佐錦」のボトルは天方さんにプレゼントしますので、いつでもお飲みくださいませ。

京都オープンの結果(続編)

2006-05-05 10:32:27 | 京都オープン
京都オープンの三回戦で私は宮崎裕司四段と対戦しました。宮崎君は関西若手オセラーの有望株で、序盤のデータ量が大変豊富な選手です。最近は中盤以降もかなり強くなったと思いますので、全日本あたりで一気にブレイクするのではないかと期待しています。

白が私で黒が宮崎四段です。序盤から激しい攻防が続いた末難しい終盤に突入しました。52手目まで進行した後、下記の局面を迎えましたが引き分けの形勢です。さて、次黒番(53手目)ですが、どこに打ちますか?

/ A B C D E F G H
1●●●●●●●●
2++●●○○●+
3○○○○●●●●
4◇○●○●●●●
5○○○○●●●●
6○○○○●●●●
7++○○○○●●
8+○○○○○++
次黒番

黒はB2かA2どちらに打つか非常に迷う局面ですが、B2の場合C3とD4の白石を黒にできるので何となく得するように見えます。実戦でも黒の宮崎四段はB2に打ちました。しかし、これが4石損の敗着となりました。
53B2 54A2 55B7の後の盤面ですが、次白はG8に打てるではありませんか! 
56G8、57A7の後、58~60で白がH2,A8,H8に三連打して4石勝ちしました。

/ A B C D E F G H
1●●●●●●●●
2○●○○○○●+
3○●●○●●●●
4○●●●●●●●
5○●○●●●●●
6○●●○●●●●
7+◆●●●●●●
8+○○○○○++
次、白番
53をA2に打った場合は、54B2 55B7の後白はG8に打てません。
従い、白は左下でG8、H8に連打することが出来ません。
オセロの終盤は本当に難しいですね。

/ A B C D E F G H
1●●●●●●●●
2●●○○○○●+
3○●○○●●●●
4○●●○●●●●
5○●○●●●●●
6○●●○●●●●
7+◆●●●●●●
8+○○○○○++
次、白番

京都オープンの結果

2006-05-04 14:22:38 | 京都オープン
昨日、京都洛西ふれあい会館にて第18回京都オープンが開催されました。参加者は74名で昨年に比べて少し減りましたが、依然、地方大会としては最大級の規模を誇っています。優勝は玉木 恭太郎三段。末国九段、荒木五段等並み居る強豪選手を倒して全勝優勝を果たしました。信川君以来のニューヒーローの誕生と言ってよいでしょう。

実は玉木三段は先週末のNHKオセロイベント「世界チャンピオンに挑戦」にも参加してくれたので、私は大会前から玉木三段を知っていました。玉木三段の挑戦を受けたときは確か12面打ち(12人と同時に対戦)のときだったと思います。独特の序盤から中盤で的確な着手を打つ強いオセラーという印象を持ちました。オセロイベントでは白の私に偶数理論に持ち込む良い筋があったため私が勝ちましたが、対局後のインタビューで玉木三段が「京都オープンでリベンジしたいと思います」と答えたのが印象的でした。(残念ながら、京都オープンでは私が一回戦で土田五段に負けてしまったため、玉木三段との再戦を果たせませんでした。)

私の成績は5勝2敗で8位に終わりました。一回戦で土田大輔五段に、最終戦で末国九段に敗れました。木村君が中心となって京都オープンの棋譜集を作ってくれるそうなので棋譜は掲載しませんが、この日は黒を持った4試合は全勝でしたが、白を持った3試合は1勝2敗(土田五段、末国九段に負け)でした。

名人戦で不覚を取ったのも白番ですので、最近、白番での勝率が落ちていることが気になっています。一昨年までは白の方が気分的に楽だったのですが、昨年の半ば頃から白でも黒でも気分的な差が無くなり、今では黒の方が打ちやすいと感じるようになってしまいました。大会後、土田五段と雑談をしているとき「今日の為則さんの打ち方は、白を持っているのに黒を持ったときのような打ち方をしていると感じました」という非常に興味深いコメントがありました。今年でオセロを始めて23年になりますが、オセロの難しさを再認識しています。