鬼神の秘密

'05~'06オセロ世界チャンピオン 為則英司のブログです。

J-WAVE放送日は7/4に決定

2006-06-30 06:58:49 | J-WAVE
「鬼神の秘密」が東京のラジオ局J-WAVE(81.3Mhz)の7月4日(火)の「MUSIC PLUS」(11時30分~14時)に登場します。

「鬼神の秘密」が紹介されるのは、11時45分頃からの「WILLCOM BLOG ON!」という5分位のミニコーナーです。関東地区の皆様は是非聴いて下さい。


「鬼神の秘密」J-WAVEに登場

2006-06-25 10:14:40 | J-WAVE
先週末に、東京のFMラジオ局J-WAVEのMUSIC PLUSという番組の取材を受けました。MUSIC PLUSの中に「WILLCOM BLOG ON!」というミニコーナーがあり、数あるインターネット上のBLOGから興味深いものを取り上げ、それを紹介しているそうです。その「WILLCOM BLOG ON!」で「鬼神の秘密」を取り上げて頂く事になりました。

放送日は再来週(7月3日の週)になるそうですが、具体的な日時が分かり次第お知らせします。どこまで放送されるのかは分かりませんが、今年、水戸で行われる世界選手権のこと、ブログを始めたきっかけ等を実名入りで話しました。


WOC2005予選編(初日終了)

2006-06-24 09:37:37 | WOC2005
WOC2005の予選1日目を終えて、私が7戦全勝でトップ、6勝1敗でマルティン・エング氏、タクジ・カシワバラ氏等が続きました。一方、ベン・シーリー氏は初日で4勝3敗となり、予選を通過するには2日目に1敗もできないところまで追い込まれていました。第2ラウンドで私に負けた後、第6ラウンドで宮岡七段に、第7ラウンドでマティアス・ベルグに連敗したためです。特に第6ラウンドでベンが宮岡君に負けた試合は一方的な試合で、棋譜を並べてもベンらしくない手が数多く見られました。

まず、ベンが公式戦で8手目をB4に打ったのを初めて見ました。WOC2004の決勝第1試合でも、7手目C4に対してベンは8手目をB3に打ち、9C2 10E3というベン得意の進行で末国九段に勝っています。8手目B4は宮岡君の裏をかく作戦だったのでしょうか?

白 ベン 黒 宮岡七段
F5D6C3D3C4F4C5B4
/ A B C D E F G H
1++++++++
2++++++++
3++●○++++
4+◇○○○○++
5++○●●●++
6+++○++++
7++++++++
8++++++++
次、黒番(9手目)

ベンの12手目G5も私にとっては意外な手です。こういうBookもあると聞いたことがありますが、12はC1で白十分ではないでしょうか?

F5D6C3D3C4F4C5B4B3C6C2G5
/ A B C D E F G H
1++++++++
2++●+++++
3+●●●++++
4+○●○●○++
5++○○○○◇+
6++○○++++
7++++++++
8++++++++
次、黒番(13手目)

13手目A4の後、いつものベンであれば14をF3に打ったと思います。14をE3に打ってしまうと、実戦のように黒F2、白E2、黒F1、白?? 黒F3と打たれて、黒に上辺に引っ張られることで、白の手が詰まってしまいます。

/ A B C D E F G H
1++++++++
2++●+++++
3+●●●+14++
4◆●●○●○++
5++○○○○○+
6++○○++++
7++++++++
8++++++++
次、白番(14手目)

実戦(白、大苦戦)
F5D6C3D3C4F4C5B4B3C6C2G5A4E3E6D2D1F6F2E2B5B6F1A3A5A6F3
/ A B C D E F G H
1+++●+●++
2++●●●●++
3○○●●●◆++
4○●○○●○++
5○○○●○○○+
6○○○○○○++
7++++++++
8++++++++
次、白番(28手目)

WOC2005予選編(第7R終盤)

2006-06-21 21:49:08 | WOC2005
30手目でリー選手はB3に打ちました。黒の私は31手目で満を持してH5の余裕手を放出し、大優勢を確信しました。32で白A6でもC8でも、33はH6に打つつもりでした。

F5D6C3D3C4F4F6G5E6D7E3E7G3C5B6F3G4E2F2H3C6C2C7B5D2C1D1F1E1B3
/ A B C D E F G H
1++○●●○++
2++○●○●++
3+◇○○○○●○
4++○●○○○+
5+○○○○○○+
6+●○●○○++
7++●○○+++
8++++++++
次、黒番(31手目)

ここで、リー選手は最後の粘りを見せます。32手目でH4に当てて、33で黒にH2と右辺を取らせた後、34でG2にX打ちの勝負手を放ちます。35手目は第一感でもA3でした。私の構想は、H1の隅を取って白にG1に割り込ませた後、B2にX打ちして2筋の石を根こそぎ黒石に変えて確定石を稼ぎたいと考えました。そのためには、2筋の白石をそのままにした状態で、ブラックラインを切る必要がありました。

/ A B C D E F G H
1++○●●○++
2++○○○○◇●
3+○○○○○○●
4++○●○○○●
5+○○○○○○●
6+●○●○○++
7++●○○+++
8++++++++
次、黒番(35手目)

35手目A3の後、36B4 37A6 38C8 39A4 40A5の進行で下記の局面を迎えました。黒が最も簡明に勝ちきる手順を見つけてください。

/ A B C D E F G H
1++○●●○++
2++○○○○○●
3●●○●●●●●
4●○●●○○○●
5◇○○○○○○●
6●○○●○○++
7++○○○+++
8++○+++++
次、黒番(41手目)

私が選んだ手順は当初の構想通りです。41手目でH1の隅を取り、42G1の後、43でB2にX打ちして2筋を根元(G2)から黒石に変えました。そして、44手目A1 45B1 46A2の後、47手目でB7にX打ちすることで、ブラックラインが黒の通しになるので勝負が決まりました。

黒勝勢
/ A B C D E F G H
1○●●●●○○●
2○●●●●●●●
3○●○●●●○●
4○●○○●○○●
5○●○●○○○●
6●●●●○○++
7+◆○○○+++
8++○+++++
次、白番(48手目)

試合の結果は47-17で黒の私が大勝しました。難敵リーに快勝した私は、予選1日目を7戦全勝で終えることが出来ました。しかも、既にベン・シーリー、宮岡七段、リー等の強敵に当たっていましたので、気分的には随分楽でした。

しかし、予選1日目の夜と2日目の早朝は、対戦が予想されるマティアス・ベルグ、タクジ等の研究に明け暮れたのでした。

京都放送は7/8オンエア

2006-06-20 21:16:18 | 京都テレビ
本日、中国から帰国したところ、KBS京都の「谷口な夜」番組制作スタッフ様からメールが入っていました。(実は私、中国出張に行っていたのでした。) 

先日取材を受けた「谷口な夜」の"オセロの達人"ですが、7月8日(土)11:30PM~放送されることになったそうです。KBS京都を受信できるご家庭の皆様は、よろしければご覧になって下さい。

WOC2005予選編(第7R中盤)

2006-06-18 08:41:43 | WOC2005
私の予想に反して、リー選手は20手目をH3に打ちました。21で黒からH6にA打ちされるのを嫌ったのだと思います。21でC6に打つと中央に石が固まるので、私好みの良い形となりました。個人的には辺を取って引っ張っていく試合より、相手に辺を取らせながら、自分は中央に石を固めていく試合の方が好きです。従って、白が20でH3に打ったのは、私にとっては「有難い手」でした。

F5D6C3D3C4F4F6G5E6D7E3E7G3C5B6F3G4E2F2H3
/ A B C D E F G H
1++++++++
2++++○●++
3++●●●●●◇
4++●●○●○+
5++●○○○○+
6+●+○○○++
7+++○○+++
8++++++++
次、黒番(21手目)

21C6 22C2 23C7の後、下記の局面となりました。私は24D2を予想し、25でC1に打つつもりでした。左辺を捌いた後、D8に打てば黒の優勢は揺るがないと考えていました。 

/ A B C D E F G H
1++++++++
2++○+○●++
3++●○●●●○
4++●●○●○+
5++●●●○○+
6+●●●○○++
7++◆○○+++
8++++++++
次、白番(24手目)

しかし、リーは再び私の予想を裏切って、24手目をB5に打ちましたが、白の24は悪手です。その理由は、左側の黒壁を大胆に破った上、5筋を白一色にしたため、黒がH5とH6に連打できる形にしてしまったことです。

さて、黒には25手目で優勢を拡大する好手があります。どこでしょうか?

/ A B C D E F G H
1++++++++
2++○+○●++
3++●○●●●○
4++○●○●○+
5+◇○○○○○+
6+●○●○○++
7++●○○+++
8++++++++
次、黒番(25手目)

25は実戦のD2が最善手です。26で白が上辺に手を付けなかった場合、黒はC1にA打ちして上辺に引っ張った後、右辺にある余裕手H5とH6を順番に放出していくことで、白を手詰まりに追い込めます。従い、白が26手目で上辺に着手せざるをえません。

/ A B C D E F G H
1++++++++
2++○◆●●++
3++●●●●●○
4++○●○●○+
5+○○○○○○+
6+●○●○○++
7++●○○+++
8++++++++
次、白番(26手目)

26で白はC1に打ちました。当然、黒に27でD1に付け手を打たれます。次に白が28手目でF1に打ちましたが、これが不可解な悪手です。リーは黒がE1に入れないと勘違いしていたのかもしれません。やはり白は26をE1に打った方が良かったと思います。26E1 27F1 28D1の進行で予想図の盤面になりますと、黒有利ながらも、まだ一波乱ありそうな雰囲気です。

実戦(黒、大優勢)
/ A B C D E F G H
1++○●◆○++
2++○●○●++
3++●○○○●○
4++○●○○○+
5+○○○○○○+
6+●○●○○++
7++●○○+++
8++++++++
次、白番(30手目)

予想図(26E1 27F1 28D1の進行)
/ A B C D E F G H
1+++◇○●++
2++○○○●++
3++●○○○●○
4++○○○●○+
5+○○○○○○+
6+●○●○○++
7++●○○+++
8++++++++
次、黒番(29手目)

WOC2005予選編(第7R序盤)

2006-06-17 10:21:18 | WOC2005
WOC2005の予選第7ラウンドの対戦相手は韓国代表のクウァンウー・リー選手でした。リー選手は今大会で最も注目された新人です。私も大会前にリー選手とはKurnikで十数試合打ったことがありましたが、対戦成績はほぼ互角だったと思います。リー選手は独特の序盤を使って未知の領域に引きずり込み、巧みな中盤戦術で優位に立ち、正確な終盤で勝ちきる強さを持っています。準決勝で宮岡七段を破ったことでも証明されましたが、リー選手は日本の高段者並みか、それ以上の実力であると考えます。もし私がWOC2005の前にベン・シーリー選手の次に怖い選手は誰か?と問われたなら、間違いなくリー選手と答えたと思います。

大会の前日にレイキャビックのホテルでベンと私が練習試合を行っていたとき、偶然リー選手が通りかかりました。その時、私は初めて(生の)リー選手と出会ったのですが、ベンに「彼がKurnikで大暴れしているbullnyusi(リーのハンドルネーム)だよ」と紹介してくれました。私はリー選手とも一局打ってみたところ、白を持って4石負けしてしまいました。その後、ベンがリーと打ちましたが、中盤でリーが圧倒的優勢になっていました。(結局、ベンが逆転勝ちしましたが・・・) このため、私の中では「リー恐るべし」との印象がますます濃くなったのでした。

試合は虎定石で始まりましたが、リーの12手目E7は珍しい手です。しかし、Kurnikで欧州の選手と打っていると、たまに12をE7に打たれたことがありましたので、私としてもある程度の経験がありました。

F5D6C3D3C4F4F6G5E6D7E3E7
/ A B C D E F G H
1++++++++
2++++++++
3++●●●+++
4++●●●○++
5+++●●○○+
6+++○○○++
7+++○◇+++
8++++++++
次、黒番(13手目)

13は実戦のG3が最善手だと思います。14~18は読み通りの進行となり、下記の盤面を迎えました。当初の構想では19をD2に打つつもりでしたが、19D2 20H4 21F1 22B5 23C6 24H3の進行(予想図)を検討した結果、「24までで黒はあまり良くならないので、19でD2に打つのを取りやめること」を決めました。

F5D6C3D3C4F4F6G5E6D7E3E7G3C5B6F3G4E2
/ A B C D E F G H
1++++++++
2++++◇+++
3++●●○○●+
4++●●○●●+
5++●○○○○+
6+●+○○○++
7+++○○+++
8++++++++
次、黒番(19手目)

19をD2に打った場合の予想図(24まで)
/ A B C D E F G H
1+++++●++
2+++●●+++
3++●●●○○◇
4++●●○○○○
5+○●○○○○+
6+●●○○○++
7+++○○+++
8++++++++
次、黒番(25手目)

実戦で採用した19手目F2の狙いは、まずC6に打てるようにF3に種石をつくることです。当然、白が黒のC6を阻止するため、20手目F1に打ってくることも予想できました。その場合は、21でH6に打って白に手を渡すことで、黒十分だと考えていました。

実戦
F5D6C3D3C4F4F6G5E6D7E3E7G3C5B6F3G4E2F2
/ A B C D E F G H
1++++++++
2++++○◆++
3++●●●●●+
4++●●○●●+
5++●○○○○+
6+●+○○○++
7+++○○+++
8++++++++
次、白番(20手目)

WOC2005予選編(第6ラウンド終盤編)

2006-06-16 21:38:10 | WOC2005
鹿児島出張から帰ってきましたのでバルナバ戦の続きを書いていきます。
さて、下記局面ではどこが最善手でしょうか? 一見、A7が最善手に見えますが、実はC2が最善手(黒4石勝ち)です。37C2以降、38H8 39F1という進行が予想されます。黒は下辺を捨てる代わりに、圧倒的な手数の差で優位に立つ構想です。

/ A B C D E F G H
1+++○++++
2+++○○+++
3++●○●●●●
4+○○●●●●●
5+○●●●○●●
6◇○○○○○○●
7+●●○○○++
8++●○○○++
次、黒番(37手目)

しかし、予想図のような試合展開では、黒が一手ミスするだけで確定石で白に追いつけない場合が多いので、バルナバ氏が37で最善手のC2を打ったとしても、無事に勝ちきれたかどうかは疑問です。

37C2に打った場合の予想図 (37C2 38H8 39F1)
/ A B C D E F G H
1+++○+◆++
2++●○●+++
3++●●●●●●
4+○○●●●●●
5+○●●●○●●
6○○○○○○○●
7+○●○○○++
8○+●○○○++
次、白番(40手目)

37手目の段階で引き分けの形勢ですが、試合中はまだ黒にリードされていると思っていました。38手目を慎重に選んでください。

実戦
/ A B C D E F G H
1+++○++++
2+++○○+++
3++●○●●●●
4+○○●●●●●
5+○●●●○●●
6○●○○○○○●
7◆●●○○○++
8++●○○○++
次、白番(38手目)

38はC2が最善手です。C2を放置しておくと黒から先に打たれてしまいます。

私は40手目をA4かA8のどちらに打つか?迷いました。A4から先に打ったら黒が41を間違えてA3に打ってくれる可能性があると思ったので、A4を選択しました。すると、私の期待通り、バルナバ氏は41でミスしてA3に打って左辺を取ってくれたので、この試合で初めて白がリードしました(白8石勝ちの形勢)。

/ A B C D E F G H
1+++○++++
2++○○○+++
3++○○●●●●
4+○○●●●●●
5◆●●●●○●●
6●●○○○○○●
7●●●○○○++
8++●○○○++
次、白番(40手目)

40A4 41A3 42B3と進行し下記の局面を迎えました。黒はH7に余裕手を持っていますが、白もA8の隅を取った後、いつでもA2に打てるので手数の面でも互角です。私は左辺を白の確定石にすることが出来る上、黒が逆偶数理論に持ち込む筋も無いため、白の勝勢であると考えていました。

/ A B C D E F G H
1+++○++++
2++○○○+++
3●◇○○●●●●
4●○○●●●●●
5●○●●●○●●
6●●○○○○○●
7●●●○○○++
8++●○○○++
次、黒番(43手目)

白が50手目でB1と打つと、上部に”実質上”白から打てない奇数空きが出来ることになります。しかし、51G7 52H8 53G8の後、白からH2に打てるので(すなわち、右上の奇数空きに白から着手できるので)、偶数理論に戻すことが可能です。

F5D6C3D3C4F4F6G5E6F7D7C5G3E3C6B4D2E2F3B5G4H4H6H5H3G6E7D1B6D8C8F8C7E8B7A6A7C2A5A4A3B3A2A8B8A1B2F2H7
/ A B C D E F G H
1○++○++++
2○●○○○○++
3○●●○○○●●
4○○●○●○●●
5○○○●●●●●
6○○○○○○●●
7○●●○○○+◆
8○●●○○○++
次、白番(50手目)

途中でヤバイ局面もありましたが、白の私が38-26で勝利し、予選初日は6連勝で最終局を迎えることになりました。この頃から少し余裕ができてきたため、リラックスした状態で、だんだん手が伸びるようになってきました。

WOC2005予選編(第6ラウンド中盤編)

2006-06-13 22:11:14 | WOC2005
予選第6ラウンドのバルナバ戦の続きです。20~25は双方必然の進行だと思います。26手目を私は素直にG6に打ちましたが、27で黒にE7に打たれて、白から下辺に手を出しにくい形となってしまいました。26はC1あたりに変化球を投げこんだ方が良かったかもしれません。

F5D6C3D3C4F4F6G5E6F7D7C5G3E3C6B4D2E2F3B5G4H4H6H5H3
/ A B C D E F G H
1++++++++
2+++●○+++
3++●●●●●◆
4+○○○○●●●
5+○○○○●○●
6++●●●○+●
7+++●+○++
8++++++++
次、白番(26手目)

28手目で私は長考しました。第一印象ではF2でしたが、黒に29をH7に打たれると黒に引っ張りきられる可能性があり、この進行は危険だと考えました。結局、黒のH7を阻止するために28をD1に打ちました。しかし、この後白が大苦戦したことを考えると、やはり28はF2の方が良かったと思います。

/ A B C D E F G H
1++++++++
2+++●○+++
3++●●●●●●
4+○○○○●●●
5+○○○○○●●
6++●●●●○●
7+++●◆○++
8++++++++
次、白番(28手目)

28をF2に打った場合の予想図
/ A B C D E F G H
1++++++++
2+++●○○++
3++●●○○●●
4+○○○●○●●
5+○○○○●●●
6++●●●●●●
7+++●●○+◆
8++++++++
次、白番(30手目)

試合は34手目まで進行し下記の局面を迎えました。私は黒にB7にX打ちされるとかなりやばい形勢になると思っていました。黒がB7に打つことでE4に黒の種石が出来るため、黒はいつでもC2とH7に打てるようになります。

F5D6C3D3C4F4F6G5E6F7D7C5G3E3C6B4D2E2F3B5G4H4H6H5H3G6E7D1B6D8C8F8C7E8
/ A B C D E F G H
1+++○++++
2+++○○+++
3++●○●●●●
4+○○●○●●●
5+○●○●○●●
6+●○●●●○●
7++●○○○++
8++●○◇○++
次、黒番(35手目)

さすがにバルナバ氏は間違えずに35でB7にX打ちしました。下記盤面ではハッキリと黒有利です。こうなると、白はいかに局面を複雑にして黒のミスを誘うか?に腐心しなければなりません。

黒の絶好手B7
/ A B C D E F G H
1+++○++++
2+++○○+++
3++●○●●●●
4+○○●●●●●
5+○●●●○●●
6+●●●●●○●
7+◆●○○○++
8++●○○○++
次、白番(36手目)

私は36でC2も考えましたが、36C2 37H7となると6筋が黒一色になるのでA6に打てなくなることに気づいたため、36はA6が必然であると判断しました。

試合中、私の感覚では下記局面では「黒勝勢だろう」と思っていました。試合後にZebraで分析したところ「黒4石勝ち」の形勢であることが分かりました。しかし、37手目は非常に難しい手が最善手なのです。バルナバ氏になったつもりで次の一手を考えてみてください。

/ A B C D E F G H
1+++○++++
2+++○○+++
3++●○●●●●
4+○○●●●●●
5+○●●●○●●
6◇○○○○○○●
7+●●○○○++
8++●○○○++
次、黒番(37手目)

WOC2005予選編(第6ラウンド序盤編)

2006-06-12 09:00:15 | WOC2005
大接戦の末、宮岡七段戦に勝利した私は予選第6ラウンドで、イタリア代表のドナトー・バルナバ選手と対戦することになりました。バルナバ選手は大変落ち着いた印象を受けるので、私よりもずっと年上だと思っていましたが、前夜祭の時にバルナバ氏に年齢を尋ねたところ、私と同い年であることが判明しました。この事実にショックを受けた私はSagiriさんに「バルナバさん、俺と同い年なんだよ!信じられる?」と聞いたところ、Sagiriさんに冷たく「信じられる。」と返されて、さらに深く沈んでいったのでした。

バルナバ氏とは2003年の世界選手権でも対戦したことがあり、その時は結構楽に勝たせてもらったので、失礼ながら今回もそんなに恐れていなかったのですが、実際にはもう少しでやられてしまうところまで追い込まれました。その試合を振り返ってみたいと思います。黒がバルナバ氏で、白が私です。

8手目をComp'Oth(F3)でいくこともちらっと頭をよぎりましたが、No-Kung(G5)の方が白からの変化が多く黒に考えさせる展開にできるので、G5を選択しました。14手目までは、昨年の全日本選手権の中島名人戦と同じ進行となりました。中島名人は15をD2と打ちましたが、バルナバ氏は15を普通にC6を選びました。

F5D6C3D3C4F4F6G5E6F7D7C5G3E3C6
/ A B C D E F G H
1++++++++
2++++++++
3++●○◇+●+
4++●○●○++
5++○○●○○+
6++15●●○++
7+++●+○++
8++++++++
次、黒番(15手目)

19手目が分岐点です。私が黒を持ってこの進行になった場合は、19B3 20B5 21C2 22F3 23F1 24E7 25F2と上辺に引っ張っていく展開を選ぶことが多いのです。本譜19C3も有力な手だと思いますが、私はどちらかというと、自分がよく使うB3に打たれる方が嫌でした。

F5D6C3D3C4F4F6G5E6F7D7C5G3E3C6B4D2E2
/ A B C D E F G H
1++++++++
2+++●◇+++
3++●○○+●+
4+○○●●○++
5++●●●○○+
6++●●●○++
7+++●+○++
8++++++++
次、黒番(19手目)

下記の局面では、黒にA5,A6に余裕手が残っているため、手数で勝る黒がやや有利ではないかと思います。

19をB3に打った場合の予想図
F5D6C3D3C4F4F6G5E6F7D7C5G3E3C6B4D2E2B3B5C2F3F1E7F2
/ A B C D E F G H
1+++++●++
2++●●●◆++
3+●●●●○●+
4+○○●○○++
5+○○○○○○+
6++●○○○++
7+++●○○++
8++++++++
次、白番(26手目)