引き続きエヴァンゲリヲンの謎、新劇場版・破をふりかえってみます。序は、ほとんどTV盤の物語をベースにし、焦点をあわせて作り直していましたが、『破』は終盤にかけて圧倒的な迫力で迫ってきます。徐々に旧エヴァのストーリー展開とも分岐していきます。『序』で良くわからなかった部分が解決されたとこもあれば新たな謎もでてくる。
まず、出だしから引き込まれる展開です。新キャラ、真希波・マリ・イラストリアス → マリの登場。彼女は、レイ、アスカとちがいバックボーンも不明で内面的なものがあまり表にでてきません。なんていうかストーリー上(設定上)、今回の新劇場版を補佐する役割を担っている感じ。ゲンドウやゼーレも彼女の事はふれないし。彼女自身に今のところ重要な意味を感じない。それはQでも感じた。彼女の目的はまだわからない。彼女の登場で違う展開に導かれるという事なのか。
『序』で最初に唐突に登場した使徒は第4使徒でしたが、『破』では第3使徒が登場します。そして、ゲンドウの指示で暗躍する加持リョウジも登場します。彼の言葉で、第3使徒は永久凍土から発見されたとあります。(TV盤でもマグマ内にサナギの状態の使徒が発見されてる。使徒も卵の中で、何万年とかの単位で成長しふ化するって感じなのか)そしてまだ目覚めていないであろう第3使徒を切り刻んで分析したとありました。その有様がこの骨格だけの使徒になったのか。そしてその使徒を北極基地で地下に封印し、もしもの為にエヴァ5号機が待機していたという設定。マリの活躍で、第3使徒は殲滅されます。そして5号機も自爆。
エヴァの中で、使徒が殲滅されるシーンや、使徒の攻撃のエネルギー波って十字なんですよね。これは視覚的になんかきます。
この後、加持は日本に戻りゲンドウに重要な報告と重要な品を渡します。加持の発言から、第3使徒とエヴァ5号機は、ゼーレ主導のマルデゥック計画というもの重要な要素だったようですが、この二つが消滅したことで頓挫する事になる。そして実はこの事もゲンドウの思惑通りだった事もわかる。さらに、ここで“ネブカドネザルの鍵”というまたよくわからない物が登場します。なんなんでしょう、これは。人間の骨格に似てます。鍵というわけですから何かとても重要な感じです。
しかし例のごとく説明はありません。加持はこれを「神と魂を紡ぐ道標(みちしるべ)」と言い、ゲンドウは「人類補完の扉を開くもの」と表現する。さらにこのネブカドネザルの鍵は予備という事で、本体はゼーレが所持している模様。推測するに、これまでにないエヴァンゲリオンを作るための道具ではないのか、という感じがした。
この後、アスカの登場とともに2号機が登場。3号機と4号機はどうなってんのよって思うわけです。基本、使徒にしても、エヴァにしても1から順番に出てこないから惑わされる。まー流せば別にいいんですが。私自身、今回こうして記事を書いて整理されてる部分があります。
3号機と4号機はUSA(北米)が所有するエヴァ。3号機は北米で建設され、その起動実験を日本に委託してきます。そしてこの3号機も破の中で、トリガーのトリガーとなる重要な役割を担います。
北米で建造されていた4号機は、謎の爆破事故で消滅。ウルトラマンのようにエヴァンゲリオンは起動時間に制限があるわけですが、それを解決するための無限エネルギー装置(S2機関っていわれてる)の研究をされていたモデルのエヴァが消滅という設定。
これで0号機から5号機までの流れは整理できました。実際、使徒が何番目とかエヴァが何番目とかわからなくても物語の本筋には影響ないと思います。
今回、セカンド・インパクトについて触れられます。この4つの生き物(天使?)はな~に。これまた超重要兵器の“ロンギヌスの槍”らしきものもみえる。セカンド・インパクトがなぜ起きたかは深くは触れられません(解説本やネットには書いてあります)が、セカンド・インパクトとは地球規模的大エネルギー爆発が起き、地球の半分が死滅してしまうという大惨事でした。
ファースト・インパクトについても語られません。
またゼーレと碇の円卓会議があります。
「我々(ゼーレ)が望む真のエヴァンゲリオンの誕生とリリスの復活をもって契約の時となる」と、そして「それまでに必要な儀式をとりおこなわなければならない」と。ここでゼーレがいう真のエヴァンゲリオンが6号機(なぜか言い方はマーク6)の模様。ゼーレは6号機を重視するが、ゲンドウは「初号機の覚醒を急がねば」とシンジくんの乗る初号機を重要視している発言をします。宗教において儀式は重要。宗教的な匂いを強める演出にまた含みがでる。
6号機ですが、序ではリリスかと思っていた月面上で横たわっていた巨人が、実は6号機だったことが判明します。建造方式も、これまでのエヴァと違うと明言されています。このエヴァの製造に前述のネブカドネザルの鍵が絡んでいるのかもしれません。そしてゼーレは6号機を真のエヴァンゲリオンと呼ぶ。ゲンドウもぜーレからしたら他のエヴァンゲリオンは6号機の僕に過ぎないような表現もする。
これがエヴァがロボットではなく、人造人間たるゆえん。中身はこんなんで、外はプロテクターで覆ってるわけです。さらにネットをあさってたらこんなんもあった。
さらにプロテクターは未知のエヴァの力を拘束する役目もあるという。
LMHG エヴァンゲリオン初号機(ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破) (新世紀ヱヴァンゲリオン新劇場版) | |
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脳と神経系統を結ぶ脊髄がパイロットの乗るエントリープラグとなっています。さらに傷ついた体を修復、手当するのが包帯という・・・
エヴァは巨大人造人間なのです。捕食されるシーンでは、内臓らしきものが飛び出てエグイこと。でも電力がないと動かなかったな。でも腸みたいなのあるよな。でもなんか食べるわけでもないし、生殖器や肛門があるわけでもないよな。そう考えるとよくわからなくなってきたけど、ロボットではない。
さて、目覚めたカヲルと連動し6号機も完成されます。月に視察に行ったゲンドウに向かってカヲルは「はじめまして、おとうさん」という言葉をかけます。
これもどういう意味なのでしょう。カオル君はシンジくんと異母兄弟なのでしょうか??旧エヴァでもそうなんですが、どうも彼の存在というか意味がよくわからないおれ。旧エヴァではカヲル君も使徒だったわけです。それまで沈黙していた使徒がしゃべりまくってます。Qで、彼はかなりシンジくんとからみますが、やっぱりよくわからない。
さらにこの月面基地での描写は意味深です。
月面上に血痕らしきものがあります。これまたネットを見てたら、旧エヴァとの続きを思わせる事が書いてある。さらにロンギヌスの槍らしきものが出てきます。これも6号機の役割を匂わせる伏線となっている。
このロンギヌスの槍というのも、キリスト教の中のワードで、イエス・キリストの死を確認する為に脇腹を刺した槍と言われ聖遺物の一つとされている。「所有するものに世界を制する力を与える」との伝承もあるそうです。エヴァの中でも重要な役割を担っている。
旧エヴァでは、絶体絶命の危機においてこの槍が使用され、宇宙空間の使徒に突き刺された。そしてそのまま回収不能になっていたはずが、今回回収されたという描写なのか。そもそも月面基地って旧作ではなかったはず。宇宙空間や月面が舞台となる事もなかった。(この後、この槍はロンギヌスの槍と対をなすカシウスの槍と判明)
なんかこうして整理しながらも、クエスチョンマークの連発です。
物語は、エヴァと使徒との戦いを軸に進み、序でも言われた「使徒殲滅はリリスとの契約の条件」となっています。リリス自身も第2使徒なのに、他の使徒と敵対関係にあるという構図なのでしょうか。6番目の使徒が登場した時、ゲンドウは「残り8体」と述べます。
第6使徒 → 「序」ヤシマ作戦で殲滅 (残り7)
第7使徒 → 「破」から登場。アスカ来日時に殲滅 (残り6)
第8使徒 → 衛星軌道上に現れネルフ本部目指して落下、3機のエヴァの奇跡の連携で殲滅(残り5)
第9使徒 → 浸食タイプ。アスカの乗るエヴァ3号機を乗っ取る。ダミープラグで動くエヴァ初号機により殲滅 (残り4)
第10使徒 → これまでで最強。レイと融合。覚醒したエヴァ初号機とシンジにより殲滅 (残り3)
第11使徒 → ?
第12使徒 → Qに登場
第13使徒 → Qに登場
Qで使徒は殲滅されるのか。リリスとの契約はどうなるのか。
次にキャラについてふれたいと思いますが、新エヴァのキャラはとても人間的になっています。声優陣とキャラのFit感最高ですよね。特にシンジくんの表現は素晴らしいと思う。
今回、キャラ的には綾波レイの描かれ方の変化は顕著。
ただ軍艦島のような廃墟のビルの無機質な部屋に住んでいる設定は変わらないけど。あえてこんな廃墟っぽいとこに住んでる設定はすごく好きですが。今回、レイの入ってるカプセルを見て気づいた事がありました。あの首輪です。あれってあの首輪?それとも別モン???破の最後は、レイを救うという思いで覚醒したエヴァ初号機とシンジくんが引き金となってサード・インパクトが起こってしまうのですが、ゲンドウたちはこれはシナリオ通りだと。加持は、エヴァがまだそろってないのにサードをインパクトを起こしたらゼーレはだまっていないよと。
でレイは、旧作でもそうですがどうも巨大化、それも地球規模的に巨大化してしまうな~。そして覚醒したエヴァは、人間をこえ神に近づく新たな生命体の誕生と表現されます。「この世界の理(ことわり)を超えた新たな生命体の誕生、その代償として古の生命は滅ぶ」と。
このままサードインパクトが完遂したら、この話も破で終わりですが、それを止めたのが月から来たカヲル君です。前述のロンギヌスの槍(×)→カシウスの槍でエヴァを串刺しにして、その増幅していくエネルギー体の活動を停止させます。この槍にはそういう効果も備えている様です。そしてその重要な役割はQでもKeyとなります。
この辺はシナリオ通りなのでしょうか。ゲンドウもゼーレの6号機でサードインパクトが収束されるのを想定していたのか。そしてこの後、Qにつながるわけです。しかし、Qはこのシーンの直後から始まらず空白期間があるからまた惑う。
カヲル君は最後にこう言います「碇シンジ君、今度こそ君を幸せにしてみせるよ」と。再三のカヲル君の発言が、この新エヴァの物語がループ(繰り返し)しているのではという根拠になっています。
ループ説を唱える人に感心しました。ループしてるなんて発想はまったくうかばなかった。輪廻転生ではなくループ。シンジ君が一人の時部屋でよく聞いてるウォークマンみたいなのはリピートしまくりです。ある場所にいっては巻き戻され最初の位置にもどって再生される。こうしてみると、このシーンはけっこう意図的に挿入されてるのを感じます。エヴァの物語も同様に、ループしているという暗示。ループ地獄です。先に進まないのだから。しかし、いつも26から先に進まなかったテープがある時から27に進みます。
これが『破』から登場するマリとシンジが出会った時から。マリがパラシュートで学校の屋上に落下し、シンジとぶつかるシーン。この時、この映像が挿入されます。これはかなり重要な展開ではないかと感じました。ついに新章に突入したという事ではないでしょうか。
今回さらに、次作Qの予告編を見て気づいたのですが、予告なのに登場していないシーンが連発されています。予告編であって予告じゃないじゃんと。これは二通りの解釈があって、確信犯的にあえてそういうシーンを描いている。もう一つは、この予告編の後、製作サイドが別の展開に変更した。当初、5部作って話もありませんでしたっけ。3部と4部を同時上映とか。ただ破にしてもQにしても血と汗の結晶的な思いは十分に伝わってくる。
エヴァンゲリオンすごいです。ネットでもいろいろな人がいろいろな意見を書いてるけど、その人のオリジナルな言葉もあれば、他人の言葉や解説本の言葉を自分の言葉のようにUpしてる人も多数。語りたくなる素材なんですよね、エヴァは。
「これ、アニメだから」って言われれば身もふたもないわけですが。「大の大人が何熱くなってんだよ」って冷めた目で見ないで。
エヴァの世界に入り込んで、それぞれが楽しめばいいわけです。すごい楽しめる。エヴァは行間を各自が読む物語なのです。
今回ふと思ったのが、庵野監督って自身のキャラをゲンドウに投影してたりして。所々にある昭和のTasteも庵野氏の好みっぽいし。製作者サイドは、どこまで意図して作ってるかはよくわかりませんが、すごい拡がりをもつ作品だな~。基本、一度映画館に足を運んだら、2回目はレンタルやWOWOW視聴ですが、エヴァQはまた行くつもり。こんな作品初めてです。
でQをみたおれですが、上記のクエスチョンマークがどれだけ解決されたかと聞かれたら、なんかほとんど解決されていないんだけど・・・けっこうスペクタル感に見入っちゃった。
次回、Qについても軽く触れさせてもらおうと思います。
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Qで地下のリリスに突き刺さってるのがロンギヌスの槍とカシウスの槍かと思ったら、そうではなかったと。
だいたいいつの間に2本突き刺さってたのかもよくわからない。
さらに槍についてネットであさってみましたが、
カシウスの槍ロンギヌスの槍の関係性がよくわかりまへん。形状変化するとかあるし。カシウスだったのかロンギヌスになったのか?
誰かがすり替えたのか?
破からQの空白の14年に何があったんでしょう。
槍1本の話でネットでもりあがるのもすごい。
であ~なっちゃうわけですが、「また会えるよ」とも言ってますよね。はたして!?