VALERIAN 映画と音楽 それはおれの非日常へのささやかなトリップ

日本代表、世相も切る総合エンターテイメント!過去記事はカテゴリー、最新表示は上のタイトルをクリック!

エヴァンゲリヲンの謎  ~ 新劇場版・序編 ~ 

2012年11月23日 | 映画・ドラマ
 エヴァンゲリヲン・新劇場版Qを見ました。多くの人が予期しない展開となったのではないでしょうか。その展開に、納得できない人もいれば、さらに引き込まれる人もいる。これまでも様々な解釈本が出ていますが、また新たな論争がおきそうです。そして物語は次作で完結する(はず)。
 
 私は、エヴァは好きですが、初心者をちょっと抜けた位。エヴァTV版26話と、映画2作を見ています。そして初心者を抜け出すと、作品に出てくるKeyワードや謎を解くべく、エヴァ関連の解説本を読んだりし始める事になります。
 さらに進むと、サイトなどもたちあげ、ファンクラブ的なものにも加入し、ファン同士でマニアックなワードを飛び交わせつつ熱く語り合う。
 さらに進むと、エヴァが生活の一部となり、部屋にはエヴァ関連の書籍やグッズがならぶ。すべてのキャラやその関連ワードや薀蓄もサラッと語れる。日常の会話にもエヴァワードを連発、もう生活がエヴァに浸食されています。勝手な事言っていますが、実際そんな人周囲にいないけど。
 
 一応、エヴァ作品をすべて見ていますが、やっぱりよくわからない所は多々あります。いろいろ展開が唐突であったり、謎のKeyワードが説明もなく出まくるわけで。不親切といえばそうだけど、それが含みをもたせるから論争をうむ。見た人がそれぞれの思いや解釈をもつ事ができる。しかし特にその言葉や展開がわからなくとも、物語は楽しめる。
 
 作品を単純に見ると、人類を襲う使徒(一応、悪)と人類の救世主・エヴァンゲリオンを操る少年パイロットとの戦い。そのバトルシーンだけでも十分楽しめる。劇場版はスペクタル感が増し、エンターテイメント性も高いのでさらに楽しめる。そこに若干、現実がクロスするから入れ込めるんだと思う。普通に、街並みがあり、都市があり、そこに生活する人がいて、学校生活もあって。
 そこに突然、異様な使徒が登場する。都市を壊滅状態にする。防衛する軍隊を破壊する。そして、迎え撃つ人造人間エヴァンゲリウオン。単純なロボットでないところがまた入れ込める。そこだけでも十分楽しめるのです。
 しかし、そこから一歩踏み込み、物語の精神性へと入り込むと、さらにこの作品の深みはます。エヴァはそんな単純な、悪と正義の戦いの話ではないからです。
 
 解説本を見ると、すごい深いとこまで言及されています。製作者側もそこまで考えて作ってんのか?等とも思ってしまうのですが。宗教、哲学、生物学、そんなところまでの深い話までに進展できる要素があるのです。
 今回、新劇場版が開始され、謎が解決される部分もあれば、あらたな謎も出てくる。新劇場版は、これまでの話とつながっているのか?まったく別モノなのかその辺もわかりません。
 つながってようが、つながってなかろうが、新劇場版からエヴァに触れる人も多いはず。製作者サイドも、そういう事も前提に物語を作っていると思います。ですので導入部分の『序』は、TV盤をベースに制作されているのだと思います。今回、まだエヴァの初心者程度のおれが、見てて普通に疑問に思う事を抽出しつつ、エヴァの解釈本やネットで答えをみつけまとめたいと思います。
 なぜそうするかというと、今回3作目となるQ(急)は見たわけですが、序・破と綿密につながっているというからなのです。今回、序と破の謎を整理して、もう一度Qを見に行こうかと思ってますもん。自分でもこうして整理しないと、物語がよくわからないもので。
 
 物語は、唐突に第4使徒の登場から始まります。使徒はAngelと標記されています。この使徒がどこから来たのか、何の目的なのかまったく説明がありません。

 

 そして4番目の使徒なのです。1番目と2番目、3番目は?って疑問が出ます。ただ2番目の使徒については、後でふれますがこの『序』の中で登場します。
 そして4番目の使徒の登場とともに、物語の主人公・14歳の少年・碇シンジくんが登場します。父親の碇ゲンドウが、ネルフという国連直属の対使徒殲滅機関の司令官、対使徒殲滅兵器として開発されたエヴァンゲリオンに搭乗さすべく、息子のシンジを呼び寄せるわけです。シンジと父は確執があるというか、ほとんど一緒に生活しておらず、突然呼ばれたと思ったら、いきなりエヴァに乗って、使徒と戦えといわれるわけですから、シンジくんが混乱するのは当然です。
 ここで疑問に思うのが、4番目の使徒の登場とシンジくんの登場が一緒である事です。そしてエヴァも動ける状態です。もし、エヴァの開発が間に合っておらず、使徒が登場していれば、通常兵器では全く歯が立たない使徒に人類は対抗すべき手段はなかったのです。
 しかし、エヴァとシンジくんの登場とともに、使徒は現れた。唐突ですが、ここも仕組まれているシナリオなのでしょうか。
 
 ネルフは公の機関ですが、さらにネルフ(ゲンドウ)を指示するゼーレという謎の組織(秘密結社)があります。

 

 しかし彼らは実体がなくモノリス(石碑)として登場し、円卓の場で音声のみで碇とコンタクトをとります。実体をもたない彼らは、ゲンドウを指示して動かすしかないのでしょうか。

 

 そしてその中で、エヴァの超重要キーワードの一つ「人類補完計画」が出ます。この"補完"というのはエヴァを代表するワード。日常で、実際使う事はないな。辞書で調べると、「不十分な部分を補って、完全なものにすること」と書いてあります。彼らの目的は、人類を完全な形へ導く事にあるようです。そして、その行動の元になっているのが「死海文書」というものなのです。
 この「死海文書」というのは、実際に存在するもので、1947年に偶然発見された古代ユダヤ教の聖典群で、2千年前に書かれたという代物だったのです。旧約聖書の写本も数多く含まれているそうです。そこには預言的な内容もあり、人類の未来についても書かれているそうです。古代のヘブライ語で書かれており、まだすべてが適切に翻訳され解読されていないようですが、エヴァンゲリオンは、この死海文書をモチーフにしているところが現実と虚構のリンクとして興味深いのです。
 ゼーレは、この死海文書に基づき人類補完計画を進めるのです。すでに一度完結している、旧エヴァ劇場版では、バラバラの個、エゴの個、争いの絶えない国家、その人類が滅んでしまう前に、元々一つであった人類を、再び一つにし一体化するというような感じだと思うのですが。映画の最後は、人類は地球全体を覆う生命の液体に溶け込み一つになりました。ただ実際のとこ、解説本とかを読んで「そういう事だったのか」と思うわけで、その生命の液体を前に、個体としてのシンジとアスカが残される事になります。そしてあの有名なセリフもでるわけですが。あれも意味不明。二人があらたなアダムとイブになったのかなどとも思うわけですが。
 そしてゼーレが目指す人類補完計画とゲンドウがめざす補完計画は違うのです。途中までは、双方は利害が一致し行動を共にしますが、裏では違う思惑があるのです。ゼーレはゲンドウを利用し、ゲンドウもゼーレを利用する。最終的な勝者はどちらなのでしょうか。そして、ゲンドウという人間がなぜそこまでの力を有しているのかもよくわかりません。今回は、この人類補完の目的と形がすっきりとした形で描かれるのでしょうか。
 ゼーレと碇の会話の中に、「使徒殲滅はリリスとの契約」という言葉もでます。このリリスというのが、序の中でも出てくる第2使徒のことなのです。
 
 

 リリスは、ネルフ本部の地下施設・セントラルドグマのさらに下部層のターミナルドグマに磔状態で拘束されています。このシーンはインパクトあります。その下半身は無数の下半身が蠢いています。この辺もよくわからないのですが。設定上、リリスは、リリンを生みだしたものといわれ、リリンとは人類の事なのです。リリスの下部で蠢いているものは、これから産み落とされるものたちなのでしょうか。
 ただネルフは、リリスを使徒から守るというのが最大の目的となっています。使徒がなぜリリスと接触したがっているのかは深く語られません。リリスと使徒が接触するとサードインパクト(全地球規模的大異変)がおこり人類は滅んでしまうという事なのです。このサードインパクトというのも重要ワードなのです。これまたサードがあるという事は、ファーストとセカンドもあるわけです。
 リリスとの契約はどこでどういう形で結ばれたかもわかりません。リリスにしてもですが、基本使徒はしゃべらない。沈黙しているとこもこの物語の深みをだしてるとこ。あのリリスがしゃべりだしたら一気に物語は普通の話になる。その辺の演出は見事というしかありません。
 
 第1使徒についてはふれられません。第一使徒は、解説本を読むとアダムと言われています。旧エヴァでは南極で発見されています。アダムらしきものは写されますがよくわからない。旧約聖書の『創世記』で有名なアダムとイブのアダムからきています。エヴァが神秘性をますのは、聖書、特に旧約聖書のキーワードがかなりモチーフになっているとこにまります。旧約聖書は、キリスト教とユダヤ教の聖典です。神話のような抽象的な表現が様々な解釈をされますが、神話というのもは、まったくの創作ではなく、何かしらのモチーフ、出来事を文書化し伝承されるという側面もあるとも言われます。
 アダムとイブは神が作った最初の人です。イブは発音によってはエヴァになります。人間がどこから来たのか、正確に説明できる人はいません。微生物から進化をとげて今にいたるといわれていますが、生命の源となるものはどこから来たかはわかりません。そういった人類の始まりの物語を、ある意味語っているのもこのエヴァの物語なのです。そしてわれわれ人類はどこへ向っているのか、向かうべきなのか、向かう運命なのか。
 そういった意味で現実と虚構が微妙にリンクしているところがエヴァのおもしろさでもあると思います。旧約聖書の解釈の物語といえなくもない。
 今回、あらたな謎が序のエンディングにあります。渚カヲルという少年が月で目覚めます。

 

 そしてそこにもリリスらしき巨人が横たわっています。カヲルは、シンジたちのいる世界をあちらと表現しています。そしてシンジに対して「また3番目とはね、変わらないな君は」という言葉をセリフが出ます。3番目が何を意味しているのかは私にはまだわかりません。そして「また」という言葉がついています。前も3番目だったというのが前提の“また”です。この辺の含みもわかりません。さらに月という舞台も重要な要素なのでしょうか。TV盤のエンディングは「Fly Me To The Moon」です。でもここは月でも我々がいつも見ている月ではないのかもしれません。
 
 そういう神秘的なバックボーンがありますが、序は、シンジくんとエヴァ・ゼロ号機のパイロット、最初の適格者・綾波レイとの関係が丁寧に描かれていると思います。シンジがNext Levelに向かうにあたって、レイの存在は重要です。この2人の関係性は、破にも続き、物語の重要な要素ともなります。
 エヴァンゲリオンは、誰もが操れるわけではありません。エヴァと同調できる精神レヴェルが必要なのです。序では、零号機とシンクロ出来るレイ、1号機とシンクロ出来るシンジが登場します。この辺もすでに旧作で明かされていますが、エヴァンゲリヲンはそれを産みだすためにベースとなるものが必要となるのです。エヴァはロボットではありません。ある種、巨大な人造人間なのです、そしてそれは前述のリリス(orアダム)のDNAをベースにクローンとして作っているのだと思います。それが器であり、動かすための魂としての操縦士としてシンジたちがいるわけです。そして体と精神が同調する事でエヴァンゲリオンは動くという設定なのだと思います。
 そして、レイ自身ははシンジの母親ユイのクローンなのです。人としての外観はユイであり、エヴァを動かすための魂はリリスからとっているらしい(どうやって魂を宿すかは不明だが)。
 壱号機は、シンジの母親ユイの魂が溶け込んでいるので、シンジはシンクロできるのだと思う。エヴァンゲリオンには、肉体は魂の入れ物にすぎないという宗教的な概念もあるのです。さらに胎児として母親の中に還っているシンジがいるのか。考えるといろいろ膨らんじゃうな。
 
 エヴァの物語の導入部分、『序』を整理してみました。ざっととりあげて見ただけでも、意味不明なとこは多々あるんです。「わけがわからない」と思うのは当然です。それを乗り越えてエヴァの世界に入り込むか、離れるかなのです。細かいところを気にしていては見れない物語です。今回、『序』を整理して個人的によくわからないとこは絞れたのですが、答えはでるのか。
 次は『破』です。また整理したいと思います。

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 (EVANGELION:1.11) [DVD]
クリエーター情報なし
キングレコード

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 EVANGELION:2.22 YOU CAN (NOT) ADVANCE.[DVD]
クリエーター情報なし
キングレコード

【DVD-BOX 北米版】新世紀エヴァンゲリオン TVシリーズ PLATINUM CCOMPLETE(PCでのみ視聴可。日本語音声選択可能)
クリエーター情報なし
STAR CHILD

NEON GENESIS EVANGELION DVD-BOX '07 EDITION
クリエーター情報なし
キングレコード



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 対オマーン(アウェー)、日... | トップ | ヱヴァンゲリヲンの謎 ~ 新... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

映画・ドラマ」カテゴリの最新記事