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ルワンダの涙

2008年06月29日 | 映画・ドラマ
  ルワンダで起こった大虐殺を描いた作品。実はこのテーマの作品を見るのは3作目です。最初は、一番メジャーな作品だと思う「ホテル・ルワンダ」、2作品目が「Sometimes In April」、そして今回の作品です。
 3作品目なのですが、なぜ同じテーマの作品を見るのかというと、それほど衝撃的な内容だからなのです。「なぜこのような事がおきたのか?なぜこのような事ができるのか?」
それもこの出来事は人権という言葉もじわじわ浸透しはじめている94年に起こっているのです。当時こういう事が起きていたなんてまったく認識していなかった事にも衝撃を受けました。
 ルワンダで起こった事、それはツチ族とフツ族という二部族間の争いなのですが、フツ族によるツチ族の大虐殺です。それまでこの部族の間には、心理的に対立しながらも共存しており、結婚する人たちもいたわけです。それが、ある日を境に、それまで普通に生活していた隣人が、一緒に学んでいた友人が、ナタをもって襲ってくる殺戮者に変わるのです。赤ん坊でさえ、息絶えるまで地面に叩きつける。それはそれは残酷な殺戮が続いたそうです。
 94年の4月から7月の間でなんと80万人から100万人のツチ族が虐殺される。女性はレイプされる。(それこそ7歳の少女まで)そして100万人ですよ、日本のちょっとした都市の人間が虐殺されたという事実にピンときません。それも銃とかではなく、前述のナタによるもの。このナタも扇動者から一般市民に配給されるのです。この殺戮が、軍隊だけではなく、一般市民、それも女性や牧師までもが加わり積極的に行われたそうです。
 この部族間の対立の背景は、ベルギー、ドイツなどによる植民地政策や民族間の貧富の差に起因し、そこから複合的な要素がからんで、決定的な対立になったみたいですが、理由はどうであれ同じ人間をここまで殺戮できるのか?彼らをアフリカの野蛮な人間として片付けるのではなく、同じ人間として、我々の中にもこのような要素が眠っているかもしれないという恐ろしさを感じるのです。
 ここまでの殺戮は、事前に行われていた新聞やラジオ、街頭演説により、フツ族の中にある反ツチ族への感情を確たるものにしたということです。こういう洗脳の恐ろしさも感じずにはいられません。
 そんな中でも「ホテル・ルワンダ」は外資系高級ホテルのマネージャー(フツ族)がツチ族をホテルにかくまい、国連軍とともに命をかけて守りぬく話でした。そういう尊い行為をする人もいるのです。
 今回の「ルワンダの涙」は、首都のキガリでの公立学校の出来事を中心に描いています。撮影も、実際の場所で行われスタッフもこの虐殺から逃れた人たちも参加しています。
 殺戮が始まってから、ツチ族の人たち2500人くらいのがこの学校に逃れるのです。ここに国連軍が駐留しているため、フツ族ものりこんでこないわけです。学校の敷地の外に一歩でもでれば、ナタをもった殺戮者がまっているのです。国連軍も、あくまでも平和の施行者ではなく監視者としての立場を貫く。この作品の原題は「shooting dogs」、死体をついばむ犬が不衛生の原因になるため、兵士は射殺するわけですが、殺戮者のフツ族には発砲できないわけです。
 最終的には、少数の国連軍自体にも危険が及んだため撤退するのですが、撤退する国連軍にツチ族の家族が、ナタで切り刻まれて殺されるのは嫌なので、撤収する前にその銃で楽に殺してほしいと懇願するシーンにはなんといっていいか。そして国連軍も、自分たちがこの場を離れると大虐殺がはじまるのはわかっているわけです。国連軍を一方的に責めるわけにもいきませんが、なんとかならなかったのかという思いが消せません。
 国連軍が去ると同時に、ナタをもったフツが学校に侵入し、そこにいた人たちは殺されるのです。武器をもっていない無抵抗の人たちを殺戮する事に怒りを感じます。その後、アメリカ政府を中心に介入し、この虐殺も終わるのですが、それは3ヶ月も先の事で、この間に100万人近い人が殺されたのです。
 このあいだ旅人・中田が世界で見たものを伝える番組をしていました。アフリカの現状を彼は伝えていました。一部、「世界は弱っていても中田は元気」とか皮肉る人もいましたが、行動している彼はえらいと思いました。偽善といわれようが、彼の行為により現実問題、お金が集まりたくさんの命が救われるのならそれは尊い事だと。でこのルワンダも訪れていました。その街並みに虐殺の後はなかったです。そしてツチとフツの夫婦の対談もありました。彼の奥底の真意はよくわかりませんでしたが、この虐殺に関して彼らの口は最後まで重かったです。そこは第三者が踏み込める領域ではないと思いました。
この出来事を我々は対岸の火事だと思ってはいけないのだと思います。人間、極限に追い込まれれば眠っているエゴがむきだしになるのかもしれません。


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1 コメント

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Unknown ((^w^)/)
2008-07-06 00:50:36
これほどの虐殺は理解できないね。人間そこまでやってしまうもんなのか。人を殺すのも本能のなかに欲求としてあるのかも、と思えてくる。戦争状態になると誰でもこうなるのかな。でもルワンダの場合、なんかいきなり一方的にって感じでやっぱり理解不能。
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