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’08/04/12の朝刊記事から
ギョーザ中毒 天洋食品300人解雇
生産加工部門の全員
【北京11日高山昌行】中国製冷凍ギョーザ中毒事件で、製造元の天洋食品(河北省石家荘市)が生産加工部門の従業員約300人を全員解雇したことが11日、明らかになった。
中毒の原因物質である有機リン系殺虫剤「メタミドホス」の混入にかかわった可能性のある関係者が四散したことで、真相解明は一段と遠のきそうだ。
関係者によると、天洋食品で残っているのは現在、事務管理部門の少数の従業員だけで、2月以降、給料は未払いという。
天洋食品の2007年の生産額は8870万元(約12億9千万円)で、全量が日本向け輸出。
輸出再開のメドが立たない上、今後、中国国内向けに販路を切り替えるのも、資金面などの理由から難しいと判断し、大量解雇に踏み切ったとみられる。
ギョーザ中毒の捜査協力などのため、会社は当面、存続させるとみられるが、最終的には清算する可能性もある。
中国公安省は2月末、「メタミドホスが中国国内で混入した可能性は極めて小さい」と発表。
一方、日本の警察当局は「天洋食品の製造工程で混入した可能性が大きい」としており、生産加工部門の全員解雇は捜査の大きな障害になりそうだ。
胡主席来日前の解決困難
【北京11日高山昌行】中国製冷凍ギョーザ中毒事件で、製造元の天洋食品の生産加工部門の全従業員が解雇されたことで、日本側が目指していた胡錦濤国家主席の訪日が予定される5月上旬までの真相解明は絶望的となった。
日中捜査当局は8、9の両日、同事件について北京で4回目の情報交換会議を開いた。
引き続き緊密な連携を取りながら、事件の早期解決に努めることで合意したが、有機リン系殺虫剤「メタミドホス」の混入場所をめぐる日中間の対立は、全く解消されていない。
中国公安省は、天洋食品の従業員について「毒物を混入した疑いのある人物は見つかっていない」と強調。
大半の従業員が四散した今、「日本側が新たに決定的な証拠でも出さない限り、中国側の捜査進展は見込めない」(日中関係筋)との見方が出ている。
事件の真相が究明されない限り、日本の消費者の中国製食品に対する不安はぬぐえず、日中関係にも長期間にわたり、暗い影を落とすことになりそうだ。