キューちゃんが死んだという、ちいちゃな身体が固まっていた、
「いい奴だったな」
「かわいそうにね」
だれも恨んでなんかいない、
「きれいにたたんでいたね」
「おれっ むねがいたくなった」
一人が、
「神さまは いるのかな」
「ほんとーにねえー」
「かわいそうすぎるよ」
多元宇宙のどこかに美しい星があり、
「ママー ママー」
「はい はい」
きれいな若者と若い母親がいる、透き通った声が、
「生きるときに あまりにも苦しければ
生きるときに あまりにも悲しければ
どうして報われないことがありましょうか」
「ここで 永遠にお暮しなさい
ここで 楽しくお暮しなさい」
アポロンのような若者が、
「ママー お兄さんがやさしくしてくれたんだよ」
「わかっています わかっています」
「ぼくね ぼくね もらしちゃたんだ」
「はい はい」
「メイワクかけちゃったんだ」
「はい はい」
「くちゃかったんだよ」
「ふふふ もう いいんですよ」
ヨコハマの下町の、小さな小さな物語り。