オータムリーフの部屋

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戦後レジームからの脱却

2014-01-05 | 政治

  戦前は、1874年の台湾出兵に始まり、71年間もアジアに向かって軍事侵攻し戦争をし続けた国だった。
 戦後は、戦力を持たず、一切の戦争を放棄し、60年間戦争をしない国でい続けることができた。
 


 戦前は、国のために犠牲になることはすばらしいことだと教育するために、国家が教育内容を決めた。
 戦後は、教育基本法を作り、教育は不当な支配に服することがないようにした。

 戦前は、戦死を名誉あるすばらしいことだと讃え、靖国神社を作り、宗教を戦争に利用した。
 戦後は、政教分離原則を採用した。

 戦前は、思想良心の自由はなく、君が代や日の丸を通じて、天皇崇拝や軍国主義思想が強制された。
 戦後は、人権を憲法で保障し、不当に人権を侵害できない国になった。
 


 戦前は、華族・財閥・大地主のいる一方で貧困に喘ぐ国民が多い格差社会だった。
 戦後は、貴族制度を禁止するとともに、財閥を解体し、すべての国民の生存権を保障し、格差の是正をめざす国となった。
 


 戦前は、天皇が主権者であった。
 戦後は、主権者は一人一人の国民となり、個人を尊重する国になった。
 


 新憲法下の戦後体制のもとで、憲法は国民の権利・自由を守り、平和を守ってきた。


 
 安倍総理は「戦後レジームからの脱却」を合言葉に、集団的自衛権の解禁や教育再生を推し進めている。まず教育基本法を改正して、教育の目的を「国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた国民の育成」(新教育基本法1条)とした。その結果、国を愛する態度が教育の目標として掲げられた。靖国神社を参拝して宗教との関係を復活させようとしている。個人よりも国家の価値を大切にすることを国民に押しつけようとしている。これが戦後レジームからの脱却の意味であり、その集大成が「戦争ができる国」にするための憲法改正だ。
 
 日本が敗戦の結果、連合国から押し付けられた制度や価値観の否定ということなら反米的なものとなるはずだが、そうはならない。安倍政権はTPP交渉参加を表明し、辺野古移設を強行する。それらは全てアメリカの国策にそったものである。「戦後レジーム」からの脱却とは戦争のできる国になってアメリカの戦争のお手伝いをしようと言うことになる。戦後レジームからの脱却と言うなら、最優先で行われるべきなのはアメリカ基地の撤廃であるはずだが・・・・
 国連総会で安倍首相は「積極的平和主義の立場から、PKOをはじめ、国連の集団安全保障措置に、より積極的に参加できるよう図ってまいります」と演説した。
「PKO」とは、国際紛争を解決し、平和を維持するため、国連が加盟国に参加を呼びかける国連平和維持活動のことだが、日本は1992年から参加し、道路補修などの後方支援分野で活動している。「国連の安全保障措置」とは、平和の脅威となる国への禁輸措置などの経済制裁のほか、武力行使が含まれる。後方支援や経済制裁に参加するのに、憲法解釈を変える必要はない。集団的自衛権行使とともに海外における武力行使の解禁を切望していると言うことである。

 
 アメリカ軍の占領は駄目だが、駐留は良いということらしい。
 自由とは弱肉強食という新自由主義で、格差を広げながら成長を続ける国にすることらしい。
 民主主義とはメディアを操って、名目上国民が選んだ政治体制を造り、政治を私物化することらしい。
 積極的平和主義とは平和のために戦争を拡大することらしい。
 
アメリカ占領軍が作った戦後レジームからの脱却を果たしたら、アメリカそっくりになった。これは笑えないジョ-クである。

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