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DAZN観戦 2020年J1リーグ第28節 大分トリニータvs川崎フロンターレ

2020-11-22 18:34:37 | サッカー視聴記(2020年以前)

変則日程に加えて柏戦の順延もあり、中17日と大きく間が開いてしまった大分。
そして当たる相手は独走を続け優勝目前まで迫った川崎という、泣きっ面に蜂のような状況ですが、物怖じする事無くゲームに挑む辺り流石はプロの集団だと思います。

その川崎ですが、今季は圧倒的な強さでJ1首位を突き進み、ここまでたった2敗。おかげで自分も取り上げるのに物怖じしてここまで来ました(どうでもいい)
描いているサッカーの完成度もさる事ながら、選手層の厚さで過密日程も物ともせず。ACLに出ていないという要素もあるけど
ここまで1000分以上出場している選手が15人と、レギュラークラスの選手を巧に操りつつ、強さを維持しているのは並大抵の事では果たせません。

そんな川崎というクラブに対し、素人ながら考察を巡らせると、物凄く人を大切にしているというのが第一の感想。
かつてJ1初昇格を果たしたのは2000年ですが、その時は1年で降格という憂き目に遭い、実に「昇格→即降格」の走りとなってしまいました。
その時はJ1昇格の功労者といえる選手達や監督(松本育夫氏)をぞんざいに扱い、「J1仕様」の編成を求めた結果シーズン中に空中分解してしまい、あんな結果になってしまった。(当時は観ていないのであくまで伝聞ですが)

そこから教訓を得たのか、Jリーグ内でもトップを狙える位置にまでクラブが成長する中でも、生え抜き選手を非常に大事に扱っているのが編成に表れています。
J2時代の2003年から在籍している中村(今季限りで引退の事)は言うに及ばず、10年以上在籍の小林悠・登里をはじめ、大島・谷口・車屋など現状ワン・クラブ・マンの主力選手が目白押し。(小林悠は学生時代特別指定で水戸でプレーしているがこの際置いておく)
今季は三苫・旗手の新人も加わり、その中に仲間入りを果たすべく足跡を付けています。
補強選手にしても家長・山根のようにすぐ主力に収まる事もあれば、そうで無い時でも今季は齊藤・山村といった人材を簡単には切らずという辛抱も見せている。
ビッグクラブないしはそれを目指さんとするクラブとは一味違った、家庭的とも言うでしょうか、温かさ溢れる陣容に思えてきます。

そんな懐の深さが脅威となっている川崎と相対する大分。
立ち上がりは主導権の握り合いの中、川崎に攻撃機会を与えず(前半4分、GK高木のパスを直接登里がシュートというシーンは危なかったが)、自身がペースを掴みます。
この日は知念が(川崎からレンタルという立場上)出場出来ないため、1トップには伊佐。
それでも彼のポストワークを絡めつつ、パスワークで攻撃の糸口を掴みます。
6分長谷川雄志が町田とのワンツーで前進、こぼれ球を高澤がポストプレイで繋いで町田がエリア内へ入ったのちヒールパス、後方で野村がシュート。(GKチョンソンリョンセーブ)
8分には鈴木からパスを受けた小出がすかさずエリア内へスルーパス、走り込んだ伊佐がシュート(GKチョンソンリョンセーブ)と、長短交えた攻撃で相手GKを働かせる場面を作っていきます。

10分過ぎから川崎が攻撃権を握り、3トップのウイング(右・齊藤、左・長谷川竜也)にボールが出る場面が頻発。
16分山根の縦パスを齊藤がフリック、大島に繋いでから長くパスワークで左右を揺さぶり、中村の右へのミドルパスを受けた山根がクロス。
そして小林悠のヘディングシュートが放たれるも、ゴール左へと外れ。

しかし再び大分が主導権を取り返し、今度は敵陣でのボール奪取から好機を作ります。
そして1トップの伊佐にボールを集め、その伊佐は19分にエリア内からシュート(GKソンリョンキャッチ)、20分には三竿のクロスからヘディングシュート(枠外)とフィニッシュに持ち込み。
24分には右サイドで島川のロングパス、こぼれ球を伊佐が落としてからチャンス。
走り込んだ小出からのマイナスのクロスをニアサイドで受けた町田が横パス、中央から野村がシュートを放ちますがこれもGKチョンソンリョンがセーブ。
川崎を押し込みつつ、飲水タイムへ。

試合勘が危ぶまれる休養日の長さを経て、首位・川崎と渡り合えるのか。
それでも間が空いた時の相手への対策は、25節・浦和戦(0-0)での「三竿左ウイングバック起用」の成功という具合に、片野坂知宏監督の手腕は証明済み。
見事にその危惧を振り払う前半の大分の出来。

試合消化が進まぬ状況の中、神戸の停滞もあり、現状(12位)からさらに上の順位を窺う立場。
それには今後訪れる過酷な日程を乗り越える事が絶対条件ですが、これまでの戦いで成長したであろう選手達を信じて進むしかない。
こう書くと川崎と同等のように感じますが、財政規模の小ささから来る選手の入れ替えの激しさは隠しようが無く、異なる両クラブのアプローチ。
1年で新戦力を自身のサッカーに組み込み、それが果たされてもオフには再編成が待っており、最低限の不可欠な選手を残しつつ(鈴木・岩田・松本・伊佐・三平が長期在籍の域)そのサイクルを繰り返して凌ぐ。
そんな難しいやり繰りを重ねる片野坂監督が、既に来季への契約更新が決定的なのが一筋の光明ともいえる大分、何とかJ1定着を果たして欲しいものです。

飲水タイムが明け、川崎がペースを掴みかけるもシュートまではいけず。
すると34分の大分の攻撃、島川のボール奪取から町田がディフェンスライン裏へとロングパスを送ると、野村がトラップで川崎・谷口を抜き去りエリア内左へ進入。
完全に裏を取られた格好となった谷口、あろう事か腕で野村を倒してしまい、審判の笛が鳴り響き反則・PKに。
さらに決定機阻止で一発レッドというおまけまで付いてしまい、野村がフリーでシュート体勢に入ろうとする状況だったため、割引きも行われなかったという主審の判断なのでしょう。
このPKを野村がゴール左へ蹴り込み、GKチョンソンリョンは反応するも届かず、大分が先制。
そのうえ数的優位の戦いへと持ち込みました。

10人となった川崎、守田をセンターバックに下げた4-3-2というフォーメーションを取りますが、長谷川竜と小林悠の2トップは縦関係。
中盤は中村ボランチでその両脇に大島・齊藤という布陣になりましたが、大分の跳梁を凌ぐ事を強いられます。
38分に田中達也が左からカットインののちシュート(ブロック)、39分に野村がペナルティアークに入ってシュート(ブロック)、40分に田中達のクロスを伊佐が中央で収めて反転シュート(GKチョンソンリョンセーブ)と立て続けにシュートを浴びる展開。
川崎の攻撃も44分にフリーキックから、クリアボールを拾った大島がミドルシュート(ブロック)と一矢報いたものの、結局は1-0のまま前半終了。

立て直しを図る川崎は、後半開始の前に中村・長谷川竜→田中碧・三苫へと2枚替え。
大分ボールでのキックオフ、いきなり好機に持ち込み、田中達がドリブルでエリア内左へと切り込んでクロス。(小出ファーでトラップも撃てず)
数的優位もあり、後半も押し気味に進めるのかと思われましたが、川崎は懐の深さを発揮。
大分を押し返し反撃体制を整え、同点ないしは逆転を狙いに行きました。
この辺は前試合(30節・マリノス戦)で、逆に自分達が数的優位ながらも、終盤まで接戦に持ち込まれた展開を教訓としていた節があり。

ボランチには大島がシフト、田中碧が中盤に入り、三苫がシャドー的な位置のFW。
後半6分にはコーナーキックから、ニアサイドで小林悠のヘディングシュートが放たれるもサイドネット。
ボールを支配しパスワークで崩しを狙いますが、それでも流れの中からはシュートには持ち込めない時間が続きます。
ジェジエウの出場停止、家長の欠場(2試合連続ベンチ外、何かあったか)といった負の要素が重なり、車屋CBなどの苦しいスタメン攻勢の影響でしょうか。
さらに試合中にも不利な要素が加わっては、流石に王者(まだそう呼ぶのは早いか?)と言えども苦しさは隠せず。

攻撃機会が減った大分に対しても、GKチョンソンリョンが脅かされるシーンが何度か見られるなど、前掛かり故の危機を招く川崎。
ようやく後半22分、CKからの二次攻撃で山根がミドルシュート(ゴール上へ外れる)とフィニッシュに持ち込むと、堰を切ったかのように好機を作っていきます。
23分にはクロスが流れた後の左サイド奥での攻撃、登里がエリア内へと進入してシュートしましたがGK高木がキャッチ。

そんな試合展開に伴い、早めに動く川崎(14分には小林悠→旗手に交代)に対し、大分もそれに対抗すべくベンチワーク。
17分に小出・伊佐→高山・高澤へと2枚替え、28分にも町田・長谷川雄→小塚・小林裕紀へと2枚替え。
しかし川崎の怒涛の攻撃の前に、交代後はペースを失っていき、30分過ぎからは完全に川崎がボールを握る展開となります。

普段は中盤の底を務める田中碧ですが、イレギュラーを強いられたこの日は主に右サイドで働きます。
5枚の交代枠を使い切った(31分に齊藤→脇坂、34分に山根→レアンドロ・ダミアン)後は旗手が右サイドバックに入ったものの、後に田中碧とポジションチェンジしたのも影響したでしょうか。
35分には敵陣でパスミスをカットしてからドリブルで前進する田中碧、エリア内に進入してシュートしますがブロックに阻まれます。

左サイドでも登里・三苫を中心に、そこに旗手・脇坂が加わるようになり何度も突破。
こうして完全に押し込む事に成功し、10人である事を感じさせない内容を描きますが、後は結果だけという段階で付いて来ず。
41分にはCKから、クロスをGK高木にはじき返された所を守田がシュートしますが、ゴール上へと外れ。
最後の場面ではやらせない大分。
アディショナルタイムに、エリア内での川崎のパスワークを岩田がクリアしたボールが、危うくオウンゴールという軌道になったのは皆肝を冷やしたでしょうが。

結局後半ゴールが生まれる事は無く、1-0で大分が勝利。
目の前で優勝を決められる事無く、勝ち点3を得て11位へと浮上しました。

一方翌日の試合でガンバが勝利したため、優勝は次以降へと持ち越しとなった川崎。
「試合の無い日に優勝が決まってしまう」事態はとりあえず回避したものの、既に優勝が確定的という状況で、そうした思惑から油断を生むという事は避けたい所でしょう。


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