※前回の熊本の記事はこちら(3節・愛媛戦、3-2)
※前回の長崎の記事はこちら(6節・甲府戦、1-1)
<熊本スタメン> ※()内は前節のスタメン
- 4節(いわき戦、0-6)で負傷交代した石川の詳細が発表され、全治8週間との事。
- 5節(仙台戦、0-0)で負傷交代した小長谷の詳細が発表され、全治8週間との事。
<長崎スタメン>
- ジョップ・セリンサリウがJ3・松本へ育成型レンタルとなり、7節(栃木戦、1-1)をもって登録抹消。
- J1・名古屋から成瀬が育成型レンタルで加入し、今節から登録される。
- 中村の負傷離脱(前年末から継続)が発表され、3/19に手術実施して全治8週間との事。
- 6節で負傷交代した飯尾の詳細が発表され、4/4に手術実施して全治6~8ヶ月との事。
今季も負傷者に見舞われている熊本。
2年連続となる石川の離脱のみならず、ニューヒーローになると思われたFW・小長谷も負傷交代を経て離脱と、決して選手層が厚くない中で膨らみつつある被害。
しかしその代わりに誰かが颯爽と現れるのが、スポーツの醍醐味であり。
スーパーサブとして起用されるようになった新人・神代が、2試合連続のゴール、しかもチームの全得点を叩き出す(3点)活躍ぶりで表舞台に躍り出る事となりました。
新人とはいっても、熊本の伝統となりつつある「ユースからの飛び級昇格」で陣容に加わっている選手。
それが結果に繋がるとなれば、好循環が齎されない訳が無く。
連戦を連勝で乗り切り迎えた3戦目、スタメン・ベンチメンバーともにこの3戦全く弄らずに挑みました。
立ち上がりから、持ち前のショートパス攻勢でボールを支配する熊本。
繋ぎを経て、上村周から送られるダイレクトでのミドルパスに反応するべジョンミン、というパターンでゴールを狙いますがフィニッシュは生まれず。
押された長崎は前半5分、GK原田のフィードをエジガルが収めてからポゼッションを確保、というやり口での攻撃。
最終ラインに戻されたのち再び秋野縦パス→ジェズスポストプレイ→エジガル右へパスと基点を作ったのち右から前進し、モヨマルコムからパスを受けたジェズスが斜めに切り込んだ末にミドルシュート。
地を這う軌道のシュートが右ゴールポストを直撃と、熊本とは対照的に最初のチャンスをフィニッシュに結び付ける事に成功しました。
「苦しい時には、無理に繋ぐ事に拘らずロングボールを使う」という立ち回りを徹底している最近の長崎。
ただしあくまで苦しい時であり、決してロングボール一辺倒となる訳では無く。
この日もこれで状況打破に成功したのちは、最終ラインから繋ぐサッカーで攻め立て。
8分にはGK原田のパス出しは、右に開いたセンターバック・新井では無く、それを飛ばしてサイドバックのモヨマルコムへ。
これで松岡のプレッシャーを無効化し、ウイングバック・岩下を引き出しての前進という場面を作り。(その後ジェズスがドリブルで持ち込むも伊東に奪われる)
マンツーマン気味でプレッシングを掛けてくる長崎に対しても、地上でのパスワークでいなすだけの下地を見せ付けます。
これで有利な立場を手に入れた長崎。
13分中盤での組み立てでプレスを剥がしたのち秋野が裏へとミドルパス、左奥へ走り込む笠柳に対し、黒木が足を伸ばして何とかクリア。
しかしその際どい凌ぎを見た長崎サイドはスローインを素早く始め、エリア内に投げ入れられたボールを受けたエジガルのポストプレイ。
そして受けた加藤が左ポケット奥からクロスを入れると、ファーサイドで跳び込んだ増山のヘディングシュートが炸裂。
ゴールネットを揺らし、理想の展開で長崎が先制を果たしました。
熊本のプレッシング攻略が出来上がった長崎、さらに攻め続け。
16分には(GK以外)全員敵陣に入り込んでのポゼッションという理想形から、細かな繋ぎを経て笠柳が左ポケットでパスを受け。
そして切り返しを経てのシュートがブロックに当たりゴール左へ外れるも、尚も左コーナーキックで継続し、クロスの跳ね返りを笠柳がダイレクトで浮き球を送り。
これを収めたエジガルが反転シュートにいきましたが、オフサイドで無効となり。
打開したい状況となった熊本。
長崎はリードした事もあり、守備時は4-4-2でミドルプレス~リトリートの構えを取る無理をしない体勢であり。
それを崩すのに難儀し、結局裏へのロングボールで深さを取るという立ち回りへと傾倒し、中々好機を作れません。
唯一可能性がありそうなのが、自陣に戻して長崎のプレッシングを引き込むという状況。
これに対し長崎のウイング、特に左の笠柳がCBまで詰めにいくシーンが目立ち、その綻びから右サイドで数的優位を作るという攻めでした。
しかしその姿勢を徹底できないまま長崎にターンが移り、29分左から笠柳が前進を経てカットイン、そのまま手前から上がったクロスが直接ゴールに向かうボールとなり。
GK田代が何とかセーブするも、先制のシーン同様、守備隊形を崩された末に凌ぐ姿を見せた事で押し込まれ。
何とかその攻勢を凌ぎつつありましたが、32分の長崎はGK原田から始まる攻撃で、プレッシャーに来た熊本に対し縦パス→秋野ポストプレイでいなし。
そしてCBの田中のドリブルが始まり、そのまま敵陣に切り込んだ末に裏へとミドルパス、足下で受けた増山がエリア内に進入。
転倒しながら防がんとする東山と、前に出て来たGK田代を嘲笑うかのように、ループシュートでゴールを揺らした増山。
チーム・自身ともにこの日2点目を叩き出し、リードを広げます。
やり返したい熊本。
38分に左サイドでショートパス攻勢を経て松岡がドリブルで抜け出し、そのまま左ポケット奥を突いた末にクロス。
ファーサイドでべジョンミンがヘディングシュートを放つと、右ポストを叩いて跳ね返ったボールが伊東の足下へ。
後は詰めるだけという決定的な場面でしたが、伊東はこれをふかしてしまい決められずに終わります。
そして逃した反動はあまりにも大きいものとなり。
再び長崎へと流れが傾き、40分に敵陣で増山のボール奪取から好機を迎え、加藤ミドルパス→ジェズスフリックでエリア内を突いてエジガルにボールが渡り。
横パスからの笠柳のシュートこそGK田代がセーブするも、エリア外で拾った加藤のコントロール重視のミドルシュートが左サイドネットに突き刺さり。
熊本にとっては無慈悲ともいうべき、長崎の3点目となりました。
早めに1点でも返しておきたい熊本ですが、その後はとにかく左サイドで人数を掛けての前進を貫く事に終始し、前述の長崎の前線の弱点を突く余裕は無く。
裏へのロングパスも駆使して何度か好機を作りましたが、ゴールを奪う事は出来ず。
0-3のまま、前半終了となりました。
そしてハーフタイム、熊本は東山→岩下へと交代し後半に臨み。
人を変える事で流れも変える、という域を出辛い采配でしたが、これが大当たりとなります。
左サイドを松岡が切り込む場面が多かった前半の熊本でしたが、反面WBの東山が関わる事は少なく。
これが岩下に代わってからは、松岡が下がって受け、その内側から岩下が裏を取るという攻めで長崎の目先を変える事に成功します。
後半3分にその体制を作るも、切り込まずに戻しを経て江﨑が逆の右サイド裏へロングパス。
そしてクロス攻勢の状況を作り、2本クリアされたのち今度は中央からを選択し、豊田のミドルパスに対しエリア内に走り込んだ伊東のポストプレイにより紛れが生まれ。
そしてこぼれ球にいち早く反応したべジョンミンのシュートがゴールに突き刺さります。
小長谷・神代に後れを取りながらも、ようやく初ゴールを手にしたべジョンミンにより勢い付く熊本。
直後の長崎のキックオフからの攻めで、増山のドリブルを反則で止めてしまった松岡により与えたフリーキック。
これを何とか凌ぎ再度攻勢に入る熊本、6分にクリアボールを拾ったのち左サイドから素早く前進、松岡が切り込む体勢に入ります。
しかし奥までは切り込まず、カットインからバックパス→豊田1タッチでエリア内へ浮き球→岩下ヘッドで落としと二重三重に目線を釣った末に、これを受けた伊東がポケット奥を取ってクロス。
低く速いボールが入ると、米田の足でのクリアが逆方向に転がる結果となり、ゴールへ吸い込まれるオウンゴールに。
まさに勢いが齎したという絵図のゴールで、早々に1点差まで詰め寄りました。
3点差が一気に1点差となり、危急存亡の秋といった長崎。
ベンチも8分と早めに動き、エジガル→フアンマへと交代します。
その後は試合も落ち着くとともに、熊本サイドも冷静さを取り戻せたでしょうか。
前半に見られた、長崎の笠柳が前に出た隙を突くような攻めを見せ始め。
11分・14分ともに、笠柳の背後を突いての前進に成功するも、フィニッシュまで辿り着けなかった熊本。
しかしその直後、松岡が遠目から目の覚めるようなミドルシュートを放ち、これをGK原田が何とかセーブ。
これで得た右CKからも、キッカー豊田のニアへのクロスが合わず、長崎サイドもクリア出来ずにファーに流れ。
そしてまたも松岡がボレーシュートを放ちGK原田がセーブと、2連続で同一シューターがゴールを脅かします。
直接は無関係ながらも、弱点が露呈してきた事で17分に再度動く長崎。
やはり笠柳を変える事を選択してきました。(松澤に交代・同時に増山→ギリェルメへと交代)
それでも残り時間はまだ長く、長崎は追われる立場の苦しさを存分に味わう事に。
ここで奮起を見せたのがフアンマで、セットプレー守備からの素早い出足でのディフェンスなど、献身的な動きで崩壊を防ぎ。
攻めでは下がってロングボールを受けるという、今季あまり目立たない立ち回りも使い、チームを落ち着けます。
その姿勢が奏功し、24分にフアンマがロングボールに合わせにいった所、大西のチャージを受けた事で反則の笛が吹かれ。
中盤からのFKでしたが放り込みを選択し、松澤のフリックが左奥へ転がった所に、走り込んだ米田のクロスがクリアされて右CKと継続するセットプレー。
そして上がったキッカー加藤からのクロス、フアンマが中央ややファー寄りで合わせヘディングシュート。
これがこぼれた(ブロックに見えたが、前方のギリェルメに当たるという際どいシーン)所をすかさずジェズスが詰め、ゴールネットを揺らします。
苦闘の果てに得た追加点は、前半のそれら以上の重みがあったでしょうか。
またも突き放された熊本、キックオフの前に伊東→神代へと交代。
依然続くと思われる、神代の神通力に頼りたい局面となります。
それでも迎えた再度の苦境に、やはり左サイドでの攻撃に縋るしかなく。
27分にワイドで受けた松岡、対峙するモヨマルコムがスリップした隙を突いて切り込んでクロス。(GK原田キャッチ)
何とか綻びを突きたい所でしたが、34分にはスルーパスに走り込んだ岩下、素早くモヨマルコムに蓋をされてしまうという具合に今度は上手く対応され。
(なお33分にべジョンミン→大﨑へと交代)
結局敵陣でパスを展開するも、攻めあぐねるシーンが続くという、追い掛けるチームの典型例へと傾倒してしまう熊本。
40分には大本が右ワイドからカットイン、そのままミドルシュートを狙いますがブロックに阻まれると、逆に長崎のカウンターに。
そしてジェズスの右へのスルーパスに走り込んだギリェルメ、最後はアーリー気味にフアンマに送るクロスを入れ、これをGK田代が横っ飛びでパンチングと辛うじて防ぐ絵図となりましたがフアンマがオフサイド。
無理矢理攻め込んだ末のカウンター、という事も避けなければならない終盤戦。
一方長崎は42分に最後のカードを使い、モヨマルコム・加藤→岡野・山田へと2枚替え。
(5バックへの)布陣変更はされずも、いかにも強度を高めるという逃げ切りを図っての交代となり。
43分、こぼれ球を大﨑がスライディングで何とか繋いだ事で右サイドへ切り込む熊本。
豊田からの浮き球パスを収めた大﨑、米田に蓋をされて倒してしまうも反則の笛は鳴らず、逆に倒れた所でボールを腕で触れてしまった米田のハンドという判定で熊本のFKに。
未だ運は残っているといった一幕で、それを盾として攻勢を掛けます。(このFKからは、神代のフリックが誰にも繋がらず終わり)
そして突入したアディショナルタイム。
セットプレーでの攻撃が途切れたのちの、左スローインからのクロス攻勢で始まると、一転して中央から放り込んだ上村周によりエリア内で混戦に。
そして前残りしていた大西がシュート、ゴールライン寸前で岡野がブロックして防いだ長崎ですが、こぼれ球に反応した大西が左からクロス。
混戦により倒れていた田中がクリアするも、小さくなった所を神代がゴールに蹴り込み、ネットを揺らします。
これで3試合4ゴールと、破竹の勢いを続ける若武者。(なおクロスの際に岡野と交錯して痛んだ大西が、キックオフの前に岡崎と交代)
残り時間は僅かながら、新たな勢いの要素を得て押し込む熊本。
ハイボールの攻防で、落下点に入った岩下がフアンマに倒された事で反則、絶好の直接FKをゲットと運気はまだ続き。
そしてGK田代もターゲットとして加わったこのセットプレー攻勢。
上村周が直接シュートし、壁に当たるもそのままラインアウトで左CKと継続します。
今度はクロスが送られると、これをニアサイドで合わせたのはそのGK田代。
しかしジャストミート出来ず右へと逸れ、神代が拾って継続するもののシュートは撃てず。
ラインアウトと同時に試合終了の笛が鳴り響きました。
怒涛の追い上げで、良い要素もたくさん生まれましたが、結局は勝ち点ゼロに終わってしまった熊本。
新星の誕生で層を厚くしながら、今後もこの日のような熱い戦いを貫けるかどうか。
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