大坂なおみ選手が今年の全仏オープンでメディアの取材に一切対応しない、試合後の会見も罰金を払って欠席することを自身のTwitterで公表しました。
以下はNHKのネットニュースによる全文和訳です。
「皆さんお元気であることを願っています。
私は全仏オープン(ローランギャロス)で一切取材に応じないつもりであることを伝えるために書いています。
私は人々がアスリートの精神状態のことを 考慮していないと、しばしば感じてきました。
これは記者会見を見たり、会見に出たりするときにいつも実感することです。私たちは会見場に座って、以前に何度も尋ねられた質問を受けたり、私たちの心に疑念をもたらすような質問をされたりしていて、私はただ私を疑う人々に自分をさらすつもりはないのです。
私は試合で負けたあと、会見場で気落ちしたアスリートの映像をたくさん見てきましたし、皆さんもご覧になっているはずです。
私は状況全体が、落ち込んでいる人を傷つけていると信じていて、そうなっている根拠はわかりません。私が記者会見に応じないのはトーナメントに対する個人的な不満があるわけではありませんし、私が若かったころから、私にインタビューしてきた数人のジャーナリストがいるので、大半と友好的な関係を築いています。
しかし運営組織が『記者会見をするか、さもなくば罰金だ』と言い続けることができると考え、協力の要であるアスリートの精神状態を無視し続けるのであれば、ただ笑ってしまいます。ともかくこれで支払う多額の罰金がメンタルヘルスの慈善団体に向かうことを願っています」
大会の賞金には試合後の会見のいわば出演料も含まれているので、応じない選手に対しては罰金という名目でそれが賞金から差し引かれます。
とはいえ彼女レベルの獲得賞金からみれば問題にならない額なので、お金のことだけなら罰金払えばOKなんでしょという取引をする方が、選手サイドからすれば合理的なのでしょう。
しかし、それで済む話かと言えばそうではなく、試合直後に何を考え、何を主張したいかをファンや関係者に伝えること自体がプロアスリートにとって重要な役割の一つでもあります。
そういう競技以外の活動がテニスの注目度を上げてファンを増やし、結果としてスポンサーを集め、多くの大会が開催され、自分達がプロとして活動できる下地になっていること、それを先人たちがここまで作り上げてきたということ、自分だけの問題ではないということにも配慮して欲しいのです。
そういう点はおそらく彼女もわかっているはずだと思いますが…。
問題はメディアとの信頼関係が気づけなくなっていることで、取材とは言え意味があるのかどうかわからない質問を繰り返したり、わざと相手の気分を損ねるような記者がいるのも確かなのでしょう。
そう考えれば、こういう状況を招いたのはメディア側にも責任がないとはいえません。
正当な理由がない限りオフィシャルの会見を拒否する権利は選手にないと私は思いますが、つまらない質問に対して答えないという権利はあると思います。
ですから、そこで答える答えないのやりとりが生まれれば、質問する記者もいかに相手に答えさせるかをという取材能力を試されることになり、そういう緊張感のある会見が結果的にはメディアの質も上げることに繋がるのではないでしょうか。
いずれにせよ会見拒否は本人も含め、メディアや大会主催者、スポンサー、ファン誰にとっても不幸なことなので、円滑な会見が開かれるよう、お互いが歩み寄って改善すべき点を見直してもらいたいものです。
※5/28追記・関係者の反応(記事引用)
(「大坂の会見ボイコットは「とんでもない間違い」仏テニス協会会長」AFPBB News)
(「ジョコビッチが大坂なおみの“記者会見拒否“に苦言!「応じることも僕たちのスポーツの一部」」THE DIGEST)
(「大坂なおみの会見拒否、錦織圭は理解も「やらなきゃいけないこと」私見 」 日刊スポーツ)