私が東京で学生時代を過ごしていた頃、
もう50年も前のこと。
夏休み、冬休み、春休みに入る時は、
田舎の実家に荷物を送ったのです。
当時は、
宅急便などはなく、
「チッキ」と呼ばれる鉄道で運ばれました。
私の田舎の駅は、
小さな駅で、
その荷物は取り扱いがなく、
少し大きな駅で受け取らなければなりませんでした。
電車を乗り継いで受け取りに行くのです。
春休みに入って、
母と受け取りに行った時、
お花屋さんの切り花に「フリージア」が売られていて、
母が、
「フリージアっていい香りで大好きなんだ。」って言ったのです。
「買って帰ろう!」
家に帰って、
玄関の下駄箱の上に飾ったことが、
何故か、
今でも忘れられないのです。
毎年、
庭に「フリージア」が咲くと、
あの日の母の言葉を思い出します。
今年は、
母の写真の前に飾りました。
「いい香りだねぇ~ 春の香りだねぇ~」
そんな母の声が聞きたくて。。。