Daily Bubble

映画や歌舞伎、音楽などのアブクを残すアクアの日記。のんびりモードで更新中。

『下妻物語』

2005-11-08 23:22:22 | cinema
笑いました、最初から最後まで。
そして、ときどき懐かしい痛みや涙を憶える映画でした。

公開中から観たい観たいと思いながら、なかなか観る機会に恵まれずやっとDVDを借りることができました。
なぜなら、私の住むすぐご近所で撮影された映画なんです。
もう、親近感バリバリで「あの田んぼが、あの道路が、あの大仏がこんな映像になるの~」といちいち感動しながら観てしまいました。
あるロケ地は職場から1㎞ほどの場所で、当時はやたらと「現場へ行ってきま~す!」と事務室を出て行く職員が多かったものです。。(遠い目…)

さてさて、訳あって茨城県下妻市に住むことになったロココ時代のおフランスに憧れるロリータファッションの(根性のねじれた)桃子(深田恭子)と、特攻服に身を包み改造バイクに跨るバリバリ硬派なヤンキー娘イチゴ(土屋アンナ)の青春巨編。あらすじはコチラ

残念なことに、ヤンキーとはあまり縁の無い生活を送ってきた私ですが、土屋アンナが演じるヤンキーちゃん・イチゴの見事なヤンキーっぷりにやられました。いくら茨城でも今どきここまでのヤンキーちゃんはいないよぉ、と苦笑していたのですが、それがだんだん愛おしく可愛く思えてくるんです。
もちろん、土屋アンナは素で可愛いんですが、初めはガチガチに固い演技もどんどん自然になっていって、イチゴってキャラクターが凄く魅力的でキュートに感じられるんです。
深田恭子の桃子は、これ以上無いってくらいロリータちゃんのくせに、ねじまがった性格がスーンと冷めた視線で描かれていて、それが深田恭子の何を考えているのか分からない不思議な表情にとても良く合ってます。

他に、篠原涼子の桃子ママ(ここまでやるの!?ってくらいはじけてます。関西弁が妙にマッチしてるよ。)、樹木希林のおばあちゃん(そこにいるだけで味わい深いの。すっごいキュートなおばあちゃんです。)、宮迫博之の桃子ママ(ダメオヤジっぷりがイイ!)、阿部サダヲの一角獣のユウジ(こんなヘンテコなキャラクターが似合うのって、この人しかいないかも。映画ではもう一役演じてます。私はエンドロールまで分からなかった…)、荒川良良の八百屋?(ジャスコのポロシャツが似合う俳優ナンバーワンかも。そういえば、山口智子と一緒にCMに出てますね。うーん、やるねジャスコ!)、岡田義徳の店長(ゴブラン織みたいなスーツが可愛い。ひそかにファンだったりします…。)など、愛すべきキャラクターたちが満載よ。

この映画の成功の要因の大きな一つは、監督の作品への愛情だと勝手に思っているのですが、それはキャラクターたちにも表れていて、悪い人なんていないのよ。
もちろん、イチゴと対立することになるレディースたちもいるんだけど、ちょっと間が抜けていてスキがあるのね。
それと、岡田義徳が演じる店長の台詞で、原作には無い部分があるんだけどそれは監督オリジナルらしいの。一度目に観たときは、「あれれ?これってちょっと邪魔じゃない?無くてもいいんじゃない?」と思ったんだけど、DVDの特典で付いていた監督+主演二人のオシャベリ副音声でそれを知って、「そうか、あれは監督が言いたかったことを思わず言ってしまったんだ」と納得して、ますますこの映画が好きになってしまいました。

アニメーション、おフランス、代官山のストリート、そして茨城県下妻市と映像も盛りだくさんなのに、すっきり作られていて◎。
監督は、「LOVE BEER?」の黒ラベルの卓球編CMを作られた方なんですね。それを知ってまたまた納得。瞬間を切り取った美しさは、あのCMの世界そのものですねぇ。
でも、CM監督の作った映画って、ときにスタイリッシュに走る傾向にあるんじゃないかとも思うんですが、この映画は違います。
一本の真っ直ぐな美しいラインが通っていて、そのための映像や音楽やキャラクターたちなのね。それは、イチゴや桃子の持つ内面の強さのように揺るぎないもので、最近の日本映画が忘れがちなものなんじゃないかしら。
久しぶりに、とても楽しい時間を過ごしました。

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5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
私も大好き! (ahaha)
2005-11-09 04:06:43
こんばんは

私も大好きです!

>もう、親近感バリバリで「あの田んぼが、あの道路が、あの大仏がこんな映像になるの~」といちいち感動しながら観てしまいました。

わぁお。それは、いっそう・・・。



あ、それから、CMの監督さんなのに、というのも同感。

超気にいったので、見たあと、原作も読んだのですが、すごく(かなり?)原作に忠実にできていました。あまり経験のない監督さんがへんにいじって台無しにしてる映画もたまにあるでしょ? でも、そういうことせずに、きちんと映像化するというのも大事なことなんじゃないかと思いましたです。



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ahahaさんて (アクア)
2005-11-10 06:37:08
いったいいつ寝ているのかしらと、ちょっと気になる今日この頃です(^-^)



下妻のジャスコまでは、自宅から車で20分程の距離なんです。下妻市民ではないんですけど…。深キョンが事故に遭うシーンが私の地元でして、あの何も無い田んぼの中の道路がこうなるのかー、と興味深かったのです。

素直に「大好き~!」と言える映画でした。
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Unknown (Unknown)
2006-06-17 16:18:41
桃子がイチゴに蹴られて、思いっきりぶっとんでたあの田んぼの中の道路がご近所さんだなんて



うっとり~



(笑)



この監督のスピード感というのか間というのか、こういう人が世の中のまさしくスピードを作っているのだろうなあ、なんて思いました。

参りました!



今頃見てるワタシは乗り遅れてました~
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またやってしまいましたよ (Sa)
2006-06-17 16:20:19
すみません、また名なしのごんべでしたね、キイボードとの相性がワルいんです、ちょっと叩くとあっと行ってしまうんです
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ロココ (アクア)
2006-06-17 23:43:15
先日、近代美術館でロココ展を観たんですが、『下妻物語』の桃子のイメージが離れなくて困りました



監督のスピードとセンスが、正に今そのものなんでしょうね!公開から2年が過ぎてもこのインパクトって、凄いです~
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