アプリコット プリンセス

チューリップ城には
とてもチャーミングなアプリコット姫がおりました

赤穂事件 大叔父 大石 良次

2023-02-17 12:44:53 | 漫画

      赤穂事件 大叔父 大石 良次



大石 良次 (讃岐国高松藩士300石)
「何やら、大事が御座いますかな?」

松平 頼常 (光圀の子)
「んんゥ」
「爺に難儀を譲りたいと思うてな・・」

大石 良次
「それは、良き褒美では御座いませぬな・・」

松平 頼常
「大石内蔵助は其方の孫
籠城して徹底抗戦すると思いきや
あっさり負けを認めたな」

大石 良次
「はい、甥孫は臆病風に吹かれたようです」
「其の事、主殿の見当外れで御座いましたかな」

松平 頼常
「んんゥ」
「いや、見当ではなく確信であったのだ」
「無抵抗にして許しを乞うのは間違いじゃと思う」
「これで、旧赤穂の再興の道は閉ざされた」

大石 良次
「主殿は、爺を試して居られるのかな?」

松平 頼常
「いや、試すなどと申すな」
「儂は、爺を信頼しておる」
「信頼しておるから、難儀を譲りたいと申しておる」

大石 良次
「左様か」
「では、難儀を有難く、いただきとう御座る」

松平 頼常
「今、江戸市中は
旧赤穂藩士の討ち入りで、大いに盛り上がっておるが、
幕府は鎮静化出来ずにおる」
「何故だか分かるか!」

大石 良次
「幕府が動かないのは
内部で意見が分かれているからで御座いましょう!」

松平 頼常
「んんゥ」
「幕府には
旧赤穂藩士に同情する者と
混乱を速やかに鎮静化させたい者がおる」
「何方が良いと思う?」

大石 良次
「選ぶ事に意味は御座いません」
「為るように為りまする」

松平 頼常
「儂は、幕府の崩壊などは望んでおらぬが
今の幕府の政策には失望しているのだ」
「幕府には改革が必用じゃと思うておる」
「帥は、如何思う?」

大石 良次
「何を改革するかに因りますが
改革とは、幕府統治の基礎を動かさず、
武力的でなく、政上または民上の変革をする事であると
爺は、心得ておりまするぞ」

松平 頼常
「よし」
「其方に、難儀を授けよう!」
「儂は、父上(徳川光圀)より戒めの書状と
偽りの遺言書を譲り受けた」
「それを其方に預けたいと思うておる」
「受け取ってくれんか?」

大石 良次
「んんゥ」
「これは、かなりの難儀で御座るな」
「爺の手に余る難儀で御座いますな」
「できれば、御断り致したい」

松平 頼常
「この二通の書状は、
父君が大切に保管していた本状じゃ」
「使い道によっては、
旧赤穂藩の再興が叶うかも知れぬぞ」

大石 良次
「やはり、爺には荷が重う御座る」
「儂は、年寄りじゃ
余生は長くない」
「左様な大それた事を
考え及ぶものでは御座いませぬな・・」

松平 頼常
「いやいや、実はな
この書状、儂が持ってはおれんのじゃ」
「どうやら、儂は将軍綱吉に疑われ始めたようじゃ」
「大老格の保護がなければ
儂は失脚する」
「もう、儂には、
この書状を持ち続ける意味はないのじゃ」

大石 良次
「赤穂城籠城で幕府が困窮すれば
その書状には掲げる価値がありましたが
今は、その価値も無くなったと仰せか?」

松平 頼常
「んんゥ」
「儂が持っておれば危険が降り注ぐ」
「しかしな
この書状は掲げるのではなく
誰が持っているかが肝心なのじゃ」
「もしも、旧赤穂藩士の手に渡ったとあれば
将軍綱吉は慌てるぞ」
「この書状をもってすれば
将軍の正当性を否定するのに十分な証拠になる」
「内蔵助が持てば、旧赤穂藩は救われる」
「そうは思わんか?」

大石 良次
「なるほど、左様に御座いますか・・・」
「主殿にとっては災いの元」
「しかし、甥孫にとっては救いの神と仰せか」
「主殿の命令とあれば
拒否する訳には参りませんな」

松平 頼常
「んんゥ」
「其方が保管しておれ」

大石 良次
「承知致しました」
コメント
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