アプリコット プリンセス

チューリップ城には
とてもチャーミングなアプリコット姫がおりました

赤穂事件  大老格の苦悩

2023-02-06 12:35:48 | 漫画
        赤穂事件  大老格の苦悩



荻生 徂徠 (儒学者)
「理や情は儒学の本質では御座いません」
「天下様は朱子学の毒に侵されております」

柳沢 吉保 (大老格)
「御犬を憐れむ事が、上様に害を及ぼしておると申すか?」

荻生 徂徠
「情は、儒学では御座いません」
「此の世には、情け深い者も薄情者もおります」
「此の世に薄情者がいなければ
如何為るか、お分かりでしょうか?」

柳沢 吉保
「良き世になる」

荻生 徂徠
「情け深き謀反者は、手強き者で御座います」

柳沢 吉保
「おおォオ」
「左様じゃ!」
「其方には学識があるようじゃな」
「では、
上様に取り憑いている、悪いものを取り除くには、
如何すればよい」

荻生 徂徠
「先ずは、朱子学を遠ざける必要が御座います」
「更には、伊藤仁斎は、毒の呪文を唱えております故
其の者を遠ざける必要が御座います」

柳沢 吉保
「仁斎は、朱子学の「理」の思想を反しておる」
「仁斎もまた、朱子学を修正しておるぞ」

荻生 徂徠
「少しだけ解釈を変えるだけではいけません」
「朱子学の根底を覆す必要が御座います」

柳沢 吉保
「しかし・・・
仁斎は仁を貴び、
生類憐みの令を、大衆に広く勧める事に
大いに貢献しておるのじゃぞ」
「仁斎の毒の呪文とは何じゃ?」

荻生 徂徠
「仁斎は、理を客観的なものとして排しております」
「そのために、客観的で無慈悲な理よりも、
情け深い血の通った心情を
信頼すると主張しております」

柳沢 吉保
「しかし、仁は上様の勧めじゃぞ」
「情も又、仁ではないのか?」

荻生 徂徠
「情は人の間にあり
仁は、生類全てにあります」
「御犬は、天下様には逆らう事は御座いませんが
情は天下様に歯向かう恐ろしい敵になるのです」

柳沢 吉保
「おおおォオオ」
「其方は、優れた儒学者じゃ」
「なァ」
「教えてくれ」
「上様が引き籠っておるのじゃ」
「吉良は居らぬし
老中は大挙してくる」
「儂は、上様の後ろ盾を失い
下からの突き上げに喘いでおる」

荻生 徂徠
「先ずは、天下様の災いを
取り除く事が肝要で御座います」

柳沢 吉保
「おおおォオオ」
「教えてくれ!」

荻生 徂徠
「朱子学の誤りを知る必要が御座います」

柳沢 吉保
「おお」
「如何なる誤りか?」

荻生 徂徠
「天下様は怯えておられます」
「雷に怯え、地震、大火に怯えておられる」
「この怯えを取り除くのです」

柳沢 吉保
「んんゥ」
「左様じゃ」
「上様の怯えは尋常ではない」
「上様が仁を唱えるのは
その怯えを取り除きたいが為」
「さッ」
「教えてくれ!」

荻生 徂徠
「朱子学を反する事に御座います」
「邪心が雷を起こしているのでは御座いませんぞ」
「邪心が、体調に影響しているのでは御座いませんぞ」
「心の乱で、地震や大火が起こる訳では御座いませんぞ」

柳沢 吉保
「左様か?」

荻生 徂徠
「天変地異は理では御座らん」
「天変地異は情では御座らん」
「天変地異は天からの警告では御座らん」

柳沢 吉保
「んんゥ」
「心情と体を分けて考えろと申すか・・」

荻生 徂徠
「心と体だけでは御座いません」
「此の世の全てを
仁による久徳ではないと知る事に御座います」

柳沢 吉保
「知る為には如何すれば良い」

荻生 徂徠
「某にお任せ下され」
「さすれば、
天下様は、元気に回復為されます」

柳沢 吉保
「よし」
「其方に任せる」
「早く、上様を復帰させてくれ」
「老中の突き上げが厳しくなってきた」
「儂には、上様の後ろ盾が必用なんじゃ」

荻生 徂徠
「では、伊藤仁斎を排して頂きたい」

柳沢 吉保
「承知した」
「頼んだぞ」

荻生 徂徠
「ご期待下され」

柳沢 吉保
「んんゥ」
コメント
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