ゆっくりと世界が沈む水辺で

きしの字間漫遊記。読んでも読んでも、まだ読みたい。

『LOOPER』を観てきました。

2013-01-30 | 観るものにまつわる日々のあれこれ
 
タイムトラベルものに弱いんです。
すぐ観たくなっちゃう。
というわけで、観てきました。『LOOPER ルーパー』。

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 LOOPER/ルーパー

 監督:ライアン・ジョンソン
 出演:ジョセフ・ゴードン=レビット/ブルース・ウィリス
    エミリー・ブラント


ルーパーというのは殺し屋、依頼人は30年後のギャング組織。
彼らは、タイムトラベルの技術が確立された30年後の未来から、時間指定、場所指定で送られてくる人間をその依頼に従って殺すのが仕事です。
例えば、11時30分。何もないところへ不意に、頭に袋をかぶせられた人間が現れます。
ルーパーはその人間を間髪入れず撃ちます。その背には銀の延べ板。それが報酬。
ルーパーはその後、死体を焼却。
未来には殺人の証拠が残らず、ルーバーのいる時代ではその人間はいないはずの人間なので足がつかないというわけです。
タイムトラベルは現在においては確立されておらず、30年後の世界では違法。
ルーパーは犯罪組織によって厳しく管理されています。
仕損じれば当然ながら死の制裁。
うーん。
未来のギャングは怖いです。

が、なぜ、殺しの報酬が銀?
安くないか?

それには理由がありました。

未来から送られてくる人間が金の延べ板を背負っているレアケースがあるからです。
その人間は、30年後の自分自身。
未来の自分を処刑する報酬が金の延べ棒なのです。
余命30年の値段が金。

そういう世界の中でルーパーとして生きる主人公ジョーは、ある日、未来から送られてきた男を仕損じてしまいます。
その男は、30年後の自分。
取り逃がしてはいけない男を逃がしてしまったジョー。
今、生き延びるためには、未来の自分を殺さなければならない絶体絶命の危機に陥ります。
通常であれば、手向かうことなく殺されるばずの男はなぜ逃げたのか。

ここからが本当の始まりというわけです。

現在のジョーはジョセフ・ゴードン=レビット、30年後のジョーはブルース・ウィリス。
未来の自分と会う。
過去の自分と会う。
これって、タイムトラベルもののタブーだったと思いますが、この作品ではがっぷり四つに組ませます。
自分だけれど別の人間。
ひとつの時間軸上にあったはずの人間を分けるのは、記憶であり、経験なのです。
それこそが、30年後のジョー、オールド・ジョーが逃げた理由。
若いジョーはそれを知らないのです。聞いたとしても、体験していないそれを自分のものと思えるはずもなく、彼らが出会ってからの時間は、これから決まっていく新しい未来の出来事となります。
確定した世界はないというタイムトラベルならではのおもしろさ。
ただ、改変されていく世界は、ヤング・ジョーの世界でも、オールド・ジョーの世界でもない、また新たな世界であるということが、タイムトラベルもののせつなさであり、希望なのかもしれません。

予想していたものとは違ったのですが、なかなかおもしろかったです。
ただ、タイムトラベルものだ、と思って観てしまうと、あらすじが読めちゃうのが難点ですね。
でも、どうにもならない、そこがせつないんだよなー。
タイムトラベルものって。

このお話、小説で読んだら、いいかもしれません。
単なるノベライズじゃなくてね。
そのほうが、物語の余韻に趣きがでそうです。

 

   
 



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