篠島のイベントが終わり、
年末大晦日のTVで
古い歌は歌わない!と
宣言し、80年に突入。
80年に入り
自身初の海外録音
「シャングリラ」を5月に発売したかと思ったら…
その11月5日に
アルバム「アジアの片隅で」を発売!!
一年に2回のペースでの
オリジナルアルバム発売も
初なことで
CBSソニー時代'73年に
「伽草子」「LIVE'73」と発売されたことはあったが
通常のスタジオ録音を主とした
オリジナルアルバムの年間2回発売は
初の事である。
前回「シャングリラ」について書いたが
この
「アジアの片隅で」はアルバム収録はライブ音源。
タイトルチューンでもあるこの13分近い重厚な歌は
Tour 1980春のツアー最後の
吉田拓郎concert tour'80日本武道館
[FM東京開局10周年記念]のラジオ番組とも共同のイベントでのステージ音源。
1980年 7月17日 日本武道館での音源だ。
この日のステージは
ほぼどの曲もベストテイクではなかったのではなかろうか…
アルバム
アジアの片隅で…
一曲だけ松本隆さんがあり
岡本おさみさんは6曲
作詞作曲吉田拓郎は3曲
M-1 まるで孤児のように
作詞岡本おさみ
作曲吉田拓郎
重いレゲエのリズムから始まるイントロ。
前回のアルバム「シャングリラ」でもレゲエのリズムが多投されつつあり、80年代の吉田拓郎は
音への追及、自分を乗せていく
リズムとバンドミュージックを
押し進める気概を見せつける
ようだった。
岡本おさみ節が戻ってきた
70年代にやり尽くしたものをもう一度拾い上げるのではなく
新たに
80年代での
岡本おさみとの関係、そして
音への追及
が吉田拓郎の
このアルバムに込められた意味かもしれない
「まるで孤児のように」
♪なんだか俺たち荒れ果てた土地に
取り残された孤児みたいだな
唄っておくれ
love song
love song
唄っておくれ
と言うフレーズ。
拓郎が歌うのはやはり
love songが似合うのだけれど…
取り残されないように
二人の船乗りが80年に帆をあげた。
M-2
いつも見ていたヒロシマ
作詞 岡本おさみ
作曲 吉田拓郎
これぞ拓郎のコトバかと思いきや
岡本おさみさんの歌言葉。
歌詞に吉田拓郎が同化する
これぞ、岡本おさみ節。
拓郎自身
ヒロシマを歌ってこなかった。
特別な場所であり、
生まれ育った場所でもある
ヒロシマ。
もう、語ること、歌うことはないのだろうと思っていた。
ヒロシマ
「人間なんて」で
♪ヒロシマへ帰ろう〜
ヒロシマへ帰ろう〜と絶叫してた70年代 そのヒロシマはどうなった?そのヒロシマをどう思っているのか、
自身の言葉には多分照れが入るのだろう
岡本おさみさんが代弁するかのように歌詞。
♪子供らに俺たちが与えるものはあるか
安らかに笑う家はいつまであるか
いつも いつも
遠くから 遠くから
見ていた ヒロシマ
と…
M-3
古いメロディ
作詞 岡本おさみ
作曲 吉田拓郎
アコースティックの編成での
アジアの片隅への繋ぎ的な曲
アコギから始まり
フラットマンドリンとリズムを刻みながら
ライブ音源の
「アジアの片隅で」に繋がる
少し変わったレコードでの演出効果だ。
多分
タイトルチューンである
「アジアの片隅で」が重たい曲だし、ライブ音源なので
繋ぎ方に苦労されたんではないだろうか…
この「古いメロディ」はある意味
その緩衝材的な歌ともいえる。
M-4 アジアの片隅で
作詞 岡本おさみ
作曲 吉田拓郎
ライブ音源でのこの曲
この歌を残すというそれだけのコンセプトだけで
アルバム発売へと動いたのではないだろうか?
吉田拓郎の放つ歌詞というバクダンを大量に載せて
なにやら
重厚な爆撃機が飛び立つ前の雰囲気を醸しだす
イントロが流れるて始まる
「アジアの片隅で」
80年代の名刺がわり
80年代の吉田拓郎の
コンサートラスト曲は
なんだ?
となった時
先に、「ファミリー」という歌も出てきた
70年代は「人間なんて」があった。
若さを振り絞り
70年代を疾走してきた吉田拓郎が
大人になっていく
成熟していく音楽市場
ミュージックシーンに
「人間なんて」に変わる
歌。自身コンサートラストを飾る
歌を必要としていたはず。
この歌のもつ意味は
新たに時代に投げかける
吉田拓郎のメッセージ。
歌詞もサウンドも
吉田拓郎の必殺技のひとつ
これで観客を納得させる
これでコンサートの終曲とわからせるものがやはり吉田拓郎には必要だった。
事実
「人間なんて」も
「アジアの片隅で」も
コンサートでイントロが流れると
歌い手も観客もこの歌でラストなんだという認識をもつ
だから
より、最後に燃え、一体感をもつ
燃え尽きる曲としての
「アジアの片隅で」
シャウトする
新たな80年代の吉田拓郎の始まりだ。
M-5 レコードならB面
二十才のワルツ
作詞作曲 吉田拓郎
これはアコースティック編成
とても暗い曲
これは
僕も、フラれた時
部屋を真っ暗にして
膝を抱えて
何回も何回も聞いた曲
あまりにも暗く、寂しく、悲しい歌。どうしてこんなに悲しい歌を…と思うほど
気持ちが落ち込んだ時しかカラオケでも
歌えない歌でもある
「二十才のワルツ」
M-6
いくつもの朝がまた
作詞 岡本おさみ
作曲 吉田拓郎
アレンジ 青山徹さんの
軽く、小気味良いギターがリード
するミドルテンポの曲
都会に同化する人の風景描写
M-7
ひとつまえ
作詞作曲 吉田拓郎
♪このまま最後と呼べるのならば
あなたも一緒に死にませんか
今は最後の
今は最後の
ひとつまえ
意味深な拓郎さんの歌詞が
腹をくくって前のめりで、進もうと
する80年を感じる
よく、友達と替え歌で
♪今は最後の
今は最後の
人妻へ
と歌ってたっけ…
M-8
元気です
作詞作曲吉田拓郎
TVドラマの主題歌
宮崎美子さんが出てたっけ
ギターリフが印象的な
始まりのこの歌
春 夏 秋 冬
と季節での心の移り変わりを綺麗な拓郎さんらしい言葉で歌ってる名曲。
コンサートでは
歌ってないかな?
長いし、ブレスが大変そう…
M-9
この歌をある人に
作詞 松本隆
作曲 吉田拓郎
アルバム唯一
松本隆さん作品
詩的には
???あまりいいとは思わない
駄作だと思う
可愛いすぎる詩
ハードな雰囲気で固めた
アルバム「アジアの片隅で」のラスト曲が可愛く
息抜き的に終わってるのが
拓郎さんらしいと言えばらしいのだけど…
♪話しかけていいですか?
目隠ししてもいいですか?
そんな言葉をすりぬけて
両手広げて大地をけって
青空を青空を飛ぶ少女よ
もっともっともっともっと
綺麗な絵になりなさい
と
パステル画のような
ふんわりしたやわらかな雰囲気でこのアルバムを終わらせている。
全体に重く暗い印象のアルバムだけにアルバム構成的には拓郎さんぽくこれもアリなのです。