このブログでニュートン式天体望遠鏡の光軸調整の記事を何度か取り上げています。
その際、こんな図を出しました。
2021/03/27 ニュートン式 反射望遠鏡 GINJI-250FNの光軸合わせ 光軸修正 試行錯誤
理屈はこうなのかもしれません。
この図の円の配置になるように頑張って調整するのですが、光軸修正用アイピース(CHESIRE型)を覗いての作業、結構いい加減になります。
目の位置で円の配置が変わるし、円ごとに目の焦点が異なるので、正確な調整が難しい。
この作業を、接眼部に挿入したカメラを通してできないか?
それを実現したのが、OCAL electronic collimatorです。
カメラで接眼部の中心から覗くので、目の位置が変化することがありません。
見たい円ごとに焦点を調整するので、各円がよく見えます。
しかも、各円に相当する円をソフトウェアに描かせることができるので、非常にわかりやすい。
というわけで、購入してみました。
購入は中国のアマゾン AliExpress。
AliExpress、品揃え、豊富ですね。
ものによっては日本のネット販売では考えられないような破格の安さで売られています。
届くのに数週間かかることが許容できるなら、AliExpressは十分に選択肢になります。
OCAL electronic collimatore、送料込みで2万5千円弱で購入しました。
で、早速、焦点距離2,500mmの巨大ニュートンに取り付けてみました。
最初の手順として、カメラの視野中心を中心点とする黄緑色の円を表示させます。
黄緑色の円の直径の大きさを調節して、接眼筒の先端円と完全に一致させます。
とーこーろーが、、、二つの円が一致しません。
これはどういうことなのか。。。
この時は時間がなく、この事実だけ確認して、撤収しました。
黄緑色の円は、カメラのセンサーの視野中心を中心点とする円です。
接眼筒が正確な円柱の形状をしていれば、接眼部の中心に差し込まれたカメラのセンサーから見て、接眼筒の先端円は、センサーの視野中心を中心とする円となるはずです。
それが一致しないのは何が問題なのか?
家に帰って、手持ちのニュートン式望遠鏡、BKP130とGINJI-250FNでもやってみました。
BKP130
GINJI-250FN
望遠鏡3本とも、同じ現象。
センサーの視野中心と接眼筒の先端円の中心が一致しない!
なぜや???
カメラにつけた2インチ M42 0.75のマウントアダプターの根本が若干くびれています。
カメラが傾く原因はこれか???
そこで、くびれがない2インチ延長筒にM48→M42変換リングを噛ませてOCAL electronic collimatoreをつけて、接眼部に挿入してみました。
が、改善しませんでした。
異なる種類のマウントアダプターを用いても症状に変化がないということは、マウントアダプターが原因ではない可能性が高い。
ということは、カメラのセンサー自体が傾いているのか?
赤いビニールテープを接眼部に挟んで、カメラを傾けてみました。
すると、、、修正されるではないですか!
BKP130
GINJI-250FNでも、接眼筒と黄緑色の円がピタリと一致しました。
結論
OCAL electronic collimatorは、カメラ本体に対して、センサーが傾いている可能性が高い。
OCAL electronic collimatorのソフトウェアには、センサーの視野中心と、接眼筒の先端円が一致しない場合、それを修正する機能がついています。
上の四つのボタンの下にある、Center Offsetのチェックボックスにチェックを入れると、センサーの視野中心を動かすことができます。
これで一応、問題は解決するはずです。
Center Offsetの機能がついていることは予め取扱説明書を読んでいたので知っていました。
が、むやみにその機能を使っていいのかどうか、不安に思ったので、今回の試行錯誤をすることになりました。
説明書には、黄緑色の円と接眼筒の先端円が一致しない場合は、まず機材の異常がないかをチェックするように書いてあります。
僕自身は、望遠鏡の組み立て精度のことを言っているのだろうと解釈したのですが、、、OCAL electronic collimator自体の製品精度も疑う対象に入っていたということですね?
他の方のブログを見ていても、Center Offsetで調整しています。
つまり、この問題は僕の手元にある個体だけの問題ではない。
仮にもカメラメーカーなんだし、天体望遠鏡の光軸調整という非常にデリケートな作業をするためのカメラなのだから、カメラ本体に対してセンサーを正確なオリエンテーションでキチッと設置してほしいと期待してしまうのは平和ボケ日本人だからでしょうか?
しかし、見方を変えると、技術的にはまだまだ発展途上のメーカーであるにも関わらず、アイディア勝負で全世界に向けてヒット商品を送り出した若い活力のあるメーカーとも言えるかもしれません。
なんにせよ、これ以降はOCAL electronic collimatorで意図した作業ができるはずです。
ただ、、、問題もあります。
ご存知の方も少なくないと思うのですが、BKP130は、接眼筒を2cmほど切断する必要があるユーザー泣かせの望遠鏡なんですよね。。。
接眼筒の切断を正確に行うことは素人に無理でしょう。
接眼筒の先端円が歪むのは避けられません。
すると、OCAL electronic collimatorが使えなくなるということです。
これを避ける手段としては、切断前にCenter Offsetの値を確認しておくことでしょうか。。。
貴重な日曜日をこの件で費やしてしまいました。
こういう試行錯誤、嫌いじゃないです。
試行錯誤ってどうやっても時間がかかります。
時間をかけて、いろいろ考えて、ゴールに辿り着くその過程自体が価値のある時間です。
しかし、終わって振り返ると、やりたかったことが何一つ手付かずの状態で残っているという。。。
人生ってこういうものなのかもしれません。。。
今回僕が疑ったように、マウントアダプターの接眼部への挿入が傾いた場合も同様です。
(接眼部が傾いている場合、つまり、望遠鏡本体に対して接眼部が垂直に設置されていない場合は根本的にダメですが、その場合はcollimatorではなく望遠鏡の問題になります)
例えていうなら、CHESIRE型の光軸修正アイピースを真正面から覗き込むか、横目で覗くかの違いくらいで、映像を網膜の中心で認識しようと、網膜の端で認識しようと、接眼部の中心からのぞいて得た画像であって、Center Offset機能で修正してあれば問題はないはずです。
図で描いて説明するのが一番なので、余裕があれば図を追加しておきます。
が、新しいパソコンになってイラストレーターが使えない環境になってしまったので、果たしてできるか。。。
Adobe Illustrator、サブスク月3千円するので、躊躇しているんです。
Photoshopは毎月数回使いますが、Illustratorは年数回しか必要に迫られないので。。。
そうなんです、光軸に対する直角を求める事はかなりムズイ作業と
考えらえます。
写真的に満足の行く迄の調整をやらないと意味が無いので、
接眼部で少しでも傾いていると、満足しませんので困ります。
肉眼的には写野周辺迄は必要ない作業ですが、それゆえに
中心だけで(肉眼的に)満足は万能とは言えないのです。
それを思うと接眼部の直交が大事な要素と言えます。
最終的には写野中心で干渉縞が同心円になっているのを
確認し、写野周縁部は撮影しながら円形を維持すると原理に敵います。
写野周辺を問題としない場合には(狭い写野を使う時)は
普段は使っている先の代表位置で宜しいのでは?
また、行われている肉眼を使っての軸調と言うものは
光学系の外周が円形であると仮定しているので、それが
100%でない事を思うと、どこを(何を)基準に合わせるのかの
議論も必要だと思っており、光軸中心だけは干渉縞が検出できます。(^0^v
コメントの回答ありがとうございます。
カメラのセンターズレ?の調整パラメーター入力があるみたいですね。
今回の記事ではカメラセンサー傾き(平面度?)があってカメラを傾けたとの記述が気になりました。
センサーに傾きがあるならば一般ユーザーでは修正が難しいのではと思いました。
機械軸を知る必要とは、ここでは光学系をホールドする治具類(鏡筒とかセルの)が
何を基準に設計されているのか?またはすべての構成要素が
従っている基準が、何に倣っているのか?を知る必要があると
言う事です。
普通に出来合いの鏡筒を検査すると、基準となる設計上の
値(鏡筒や接眼部、主鏡の外形等)の発表は無く、
入手した人が自分で計測して、または必要に応じて適応範囲が
ココであると記憶・記録していると思います。
ですから、ほんとうに光学系が正しく所定の位置(設計上の位置)に
収まっているかを知らずに都合の良い調整上の位置を
光軸と言っているのが現状と思います。
。。しかして、今一歩踏み込んで検査してみて、調整範囲の
中心点がどこにあるのかを知っておくと、その周辺に解があるように
見張っていれば便利と思うのです。
例えば、鏡筒の撓みの中心位置を解として求めておいて(天頂で計るとか)
水平位置でのズレを知るとかやると、鏡筒の姿勢による
ズレを許容して普段に使えて、それ以上は都度、更に追い込む事になります。
こうして求めた治具類の代表的な位置を基準として採用したら、
光学部品を含めて完全(やや不適当な表現)な固定をします。
このような全部の部品の代表的な位置=機械軸としました。
これは既成の製品では普通に発表も無いので、自分で求める(検査する)
しか無く、もしもいつしか光軸が可笑しい。。とかなると普通には
メーカアジャストとして調整に出しているのではないでしょうか?
特に評判の良い製品を見ると、丁寧な作りと工作が目立ち、
これだけからして設計に盛り込む要素が現実的と感じます。
これなら使う側も手間が減って良いと思っております。(^0^v
OCAL electronic collimator、まだ使い込んでないので確かなことを言えませんが、カメラの調整は必要ないようです。
メーカーの方で、カメラの軸がズレていることを前提に、ソフトウェアでカメラの軸のずれを克服する機能がついてますので、それを利用すれば大丈夫と思います。
Center offsetがそれに当たります。
チェックボックスにチェックを入れ、verticalとhorizontalの値をいじって、接眼部の先端円と黄緑色の円を一致させれば良いです。
望遠鏡の構造的な軸ということでしょうか?
望遠鏡、特にニュートンは薄っぺらい金属のシートでできているので向きを変えるたびに形が歪みます。
理論的な性能の発揮は難しいことはよくわかります。
それゆえに光軸調整が必要となります。
うまい妥協点探しの旅の途中というところでしょうか
私の友人がニュートンの光軸調整で悩んでいてこの商品の購入を検討しています。
視力の衰えもあり、モニターで状況を確認できる事に魅力を感じているそうです。
猫五郎さんの体験ではカメラ自体から調整しなければならないようですが何を基準に合わせたら良いのか?。
商品なのでメーカーでキッチリと合わせ込んでもらいたいものです。
結果的に結構な時間を費やしてしまう光軸調整なんですが、
根本を整えないと正常に機能しないと思います。(^0^8
すなはち、機械軸を求めてそれに光軸を合わせると以後の作業が楽。
。。ですが、機械軸を求めると言っても、どこかの基準から
すべて出発となってしまい、以後にも影響です。(~~;
それと、光学系と言うもの、特に望遠鏡は機械公差が甘くて
ひとえに組み立てて頼りがいのある機材とは思えません。(^0^;
メーカが勝手にやってるだけと思うと、信用も出来ません。
。。しかして、これでは困るのである程度の誤差を見込んでの調整を
やれるかどうかで妥協しているように思います。
結局の所、チャンピオンデータを維持したがりますが、常時では無理。
いつしか狂ってしまうので、ある範囲を決めて調整するのが
良いように思います。(^0^v