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安呑演る落語

音源などを元に、起こした台本を中心に、覚え書きとして、徒然書きます。

けち(2)

2006年05月27日 | 小噺
 *中には、おかずを買わずに、ごはんを食べようなんて方がおりまして。
これは、前のうちが鰻屋でございまして、鰻の匂いをたよりに、おまんまを食べようという

C: おいおい、みんな、何をしてるんだ。え、お昼なんだから、前のうちで、一斉に焼きだした。
さァさ、ごはんをよそって来な。ごはんを。
んー、また、今日は風がいいねェ。えゝ? これならおまえ、うな丼を食べてるのとおんなじだろ。
はいはいはい、んーん。さァさ、みんな、どんどんお食べ。
あーァ、いい匂いだ、こらァ。うー、だけど今日はちょいと細いな。

ってんで、ひどいやつがあるもんで。慣れてくると、匂いでもって大きさを嗅ぎ分けたりなんかして・・・
で、月末(つきずえ)んなりますと、

D: えー、ごめんくださいまし。
C: 何だい。前の鰻屋の若いしじゃないか。 なんか用かい?
D: えー、お勘定書きを持ってまいりまして。
C: 勘定書き? おい、何を言ってるんだい。うちは鰻なんぞ取った覚えはないよ。
D: まァま、そうおっしゃらずに、どうぞこれをご覧くださいまし。
C: んん?どれどれ。  えー、ひとつ、一円六十銭也。但し、鰻の嗅ぎ代?
何だい、この嗅ぎ代ってのは。
D: えー、ご当家では、手前どもの焼く、鰻の匂いを頼りにご飯を召し上がっていらっしゃいます。
一度付ければよいたれが、どーしても、二度になりますので、たれが減ってしかたがございませんので、嗅ぎ代を頂きたいのでございますが・・・
C: はーーァ。抜け目がないね、おまいのところは。  あ、よしよし。じゃァ、ちょいと待ちな。
あ、おいおい、あの、一円六十銭持ってきな。えェ、いやぃゃ、細かいんでいいから。
あの、袋にいれてな。はいはい。 じゃぁ、ここに一円六十銭あるから。
D: はっ、左様でございますか。ありがとう存じ・・・・
C: おっとっととと。、手ェだしちゃぁいけないよ。音だけ聞いて帰んな。


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