島のまにまに~インドネシアの小径~

海洋国インドネシアのあちこちでで出会う、美しい村、美しいもの。自然とつながる暮らし。

マンガライの織物

2013-04-07 | 

昨日の写真の向かって左から3人目の人のサロン。
黒地にはっきりした白、赤、黄、緑、青という色の鮮やかさでよく目立ち、ソンケット・マンガライ(マンガライ地方の布)といえばこの布を指す。
機の経糸か緯糸に色糸を使って模様を織りだすのではない。織った布に後から模様を刺繍するわけでもない。織りながら針を使って色糸で刺繍的な作業をして、模様を入れていく。機の経糸と緯糸は黒い糸のみ。色糸は裏にもわたっている。

マンガライ県の、観光客を迎え入れている伝統集落に行くと、おばあさんや主婦たちが熱心に自分の織った布を売り込んでくる。
分厚くて、ずっしり重くて、1枚買おうものならかさばってしょうがない。
けれど実はこのあたりは高原なので雨が降れば寒々として、この布をまとえばあったかくてほっとするし、夜薄い毛布の上からかけるのにもいいから、「あってよかった」と思ったりするのだ。

模様はどれも同じような感じだが、ちょっとずつ違っていて
現地の人は一目見て、こっちは上等、こっちはちょっと安いネ、と、
品定めができる。
模様の細かさやらなんやらで、上下があるようだ。

色がはっきりしすぎて人工的に感じるので、民芸調好きの日本人女性には多分、これよりももっと渋い色のほかの織物の方が受けるだろうと思う。けれど、よく見れば、これだけの細かい模様を考えて作り出していくのはすごいことだと感心する。一つ一つの模様が可愛らしい。

日本人にとってはそう高い値段でもないが、現地の人からすると、1枚を何年間も大切に使う大事なものだ。決して趣味やぜいたく品として手に入れるようなものではない。

実はわざわざ伝統集落に行かなくても
パサールで大量に売っている。観光客のためだけでなく、地元の人が日常的にまだまだ必要としているからだ。
まだフローレスに行ったことがなくて、そこがものすごい辺境の地だと思っていた頃、ジョグジャカルタで布を売買している人に「これ、フローレスの手織り布」といって見せてもらったとき、もーんんんんのすごく珍しいものを見たと思って感激していた。
それがフローレスに来てみると手織り布があまりに普通にありふれているので拍子抜け。
(フローレスが大して辺境じゃないことにも驚いた)

このマンガライ・ソンケットは、模様がぎっしり入っている部分と、模様のない真っ黒の部分があって、真っ黒な部分が後ろに来るように着付けるのがきまり。



写真/フローレス島ルーテンにて(2012年)
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