島のまにまに~インドネシアの小径~

海洋国インドネシアのあちこちでで出会う、美しい村、美しいもの。自然とつながる暮らし。

タナ・トラジャ 布の村サダンで

2014-10-27 | 

サダンというのはどういう意味なのだろう。
観光客が訪れるランテパオを中心とした一般的なトラジャ地方(タナ・トラジャ)のに住むトラジャ族のことを、サダン・トラジャという。
それに対して、この地方を離れて北西部へ行ったトラジャ族の人たちがいる。
その人たちの住むところは、裏トラジャともいうと聞いた。

それはおいておいて、トラジャ地方の中に、サダンという集落があり
今も手織りの布を作っている村として観光客に知られている。

フローレス島などに行くと、本当に布を織っている村はわりとよくあって
特別なことではないが、
スラウェシ島ではほとんど聞かない。
特に、観光地であるトラジャ地方で
手織り布といえばサダン。

そこはトンコナン様式の古い建物が立ち並ぶいかにも伝統集落。
が、伝統的様式ではない長屋があって(ボルネオのロングハウス風か……)
いくつもの部屋に仕切られている中で
それぞれその主であるらしき女性が、機織りのようなことをしている。

屋台村みたいですね。

集落を訪れると、おばさん、おばあさんたちが部屋の中からこちらをのぞく。
その部屋の中には、たくさん布が所狭しと陳列してあって、
こちらが買いたいというのを待っている。

おばさんとおばあさんはみんな英語がしゃべれないのだが
代わりに若い女の子が威勢よくやってきて、
英語で愛想よく説明やらピーアールやらを始める。
女の子は一つの部屋に私を連れて行き機の前に座るが、おしゃべりばかりしていて
いつまで待っていても織り機を動かすことはない。

どうやらこの子は織らないんじゃなくて織れないのだろうと思い
おあいそで布を1枚購入して別のブースに移ると
うんと年をとった女性がいて、
ちゃんと織って見せたり、見本の綿や繭を見せてくれ、糸を紡いで見せてくれたりした。

それはあくまで見せてくれるのだ。
私が部屋をのぞいたら織り始めるのだ。

ここで売っている布……いろいろあるけど、
上の写真の布は、本で見るスンバの布に似ている。
まあ、観光地ではよくあることだ。

私はここを一人で訪れたのだけど、
後になって親しくなったガイドに聞くと
サダンでは誰も布を織ってなんかいない、仕入れて売っているだけだ、
と耳打ちするように教えてれた。

そんなことしていないでもっと本当のことをしたらいいのに。
おばあさんたちは昔は織っていたのだろうから。
けれど、タナ。トラジャではフローレスと違って誰も伝統布など見に着けていないのだ。
タナ・トラジャは1970年代まで外界の人の来ない未開の地だったという噂だけど
急速に衣服も変わってしまったらしい。
着る習慣がなければ織る習慣もなくなるだろう。

ここでは布を2枚買った。決して高いものではなかったけれど
そのうちの1枚は、機械織りにしか見えない。
糸がとても細くて、目がすごくそろっている。どうなのか分からない。
ただ、色は、化学染料ではないようだ。







写真/スラウェシ島タナ・トラジャ(2008年)

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