風の向こうに  

前半・子供時代を思い出して、ファンタジィー童話を書いています。
後半・日本が危ないと知り、やれることがあればと・・・。

風の向こうに(第二部) 其の弐拾八

2010-03-21 23:07:59 | 大人の童話

次の日の放課後、夢は六小に呼びかけてみました。すると、サーッと光が射し

六小の眠たそうな声がしました。

「ふぁ~。なぁーに夢ちゃん、せっかくいい気持ちで寝てたのに。」

六小の言葉に夢が、『昨日の様子が気になって呼びかけたのに、今日のこの

態度は何なの。』と、ちょっとムッとして、

「何よ。昨日の六小さんの様子が気になったから、心配して呼びかけたのに。もう

いいよ。寝てたいなら帰る。」

と言うと、六小はあわてて、

「あ、ちょっ、ちょっと待ってよ、夢ちゃん。ごめん、ごめんね。気にしててくれたんだ。

ありがとう。」

と、答えました。

「あたりまえでしょ。いつもの六小さんらしくないんだもの。いったいどうしたの。」

「う・・・・ん、あのね。」

めずらしく、六小が口ごもっています。

夢が、もどかしそうに言います。

「何よ。はっきり言いなさいよ。」

「うん。あのね、わたし、なんかこの頃、卒業していったみんなから

忘れられてるんじゃないかって怖いの。これからも、そうなるんじゃないかって。」

六小らしくない言葉に、夢は、思わずふきだしてしまいました。

「何?そんなこと気にしてんの。六小さんらしくないよ、そんなの。アハハ・・・・・

あー、おかしい。」

「あー、夢ちゃん笑った。わたしは真剣に悩んでいるのに。もういい、話さないから。」

六小は、怒ったようにそう言うと、また黙ってしまいました。