夏休みのさなか、子どもたちが待ちに待ったプールが完成しました。夢も、うれしくて
たまりません。何しろ、今までの二年間は、三小近くの中学校のプールを借りたりして
いたので、プールに入れる回数が少なかったのです。これからは、思いっきり
自分たちのプールに入れます。とはいうものの、実は夢は泳ぐのが苦手です。
浮くことはできますが、息継ぎがうまくできなくて、二十五メートル行かないのです。
せいぜい、十メートル行くのがやっとでした。プールサイドで夢が休んでいると、
チカッと校舎が光り、六小が声をかけてきました。
「夢ちゃん、全然進まないじゃない。鉄棒・はんとう棒だけじゃなく、水泳も
へたくそなんだね。」
「なによ、いいじゃないよ別に。水に浮くことはできるんだから。」
夢は、いつもの夢をからかうみたいな六小の言い方にカッとして、今までにない強い
口調で言い返しました。