風の向こうに  

前半・子供時代を思い出して、ファンタジィー童話を書いています。
後半・日本が危ないと知り、やれることがあればと・・・。

第六小学校の「精霊講議」

2010-05-31 23:06:53 | 校舎(精霊)の独り言

今日は、いつもとちょっと趣きをかえて、私たち学校精霊のお話をします。精霊は

そこに物体があれば、どこにでも自然と生まれます。だから本来、校舎だけでなく、

いろいろなものにいます。そう、あなたのすぐ身近にも。でも、人が気づかないだけ。

うん?いえ、たまーに気づいて、私たち精霊と交感できる子もいたっけ。そう、物語の

主人公夢ちゃんみたいに。それでも、たとえ交感できても、それは、たいてい

子どものうちだけ。大人になると、交感できなくなるのが普通です。だから、

夢ちゃんみたいなのはめずらしいの。私たち精霊の間でも話題になっています。

「めずらしい、稀有なことだ。」と。まあそれだけ、夢ちゃんが大人になっても、

子どもの頃の直ぐな心を持ち続けていたってことなんだけど。だから、四小の

姉さんも私も、大人になった夢ちゃんに語りかけたんだけど。四小姉さんの

「あなたも、もう中学生云々・・・・」っていう言葉は、いわば、夢ちゃんへの試験よね。

私たち精霊は、精霊と交感した子に、子どもから大人へと変わってゆく思春期に

テストをするの。なぜかというとね、人に子どもの頃の素直な純真な心を失って

ほしくないからなの。それで、中学生というちょうど思春期にはいる時期に、いったん

精霊との交感を止めさせるの。あ、あのね、誤解してほしくないんだけど、本当は

私たちだって止めたくないのよ。でもね、直ぐな純真な心というのは、精霊と

通ずるのに大切なことなの。だから、大人になってゆく過程で、その心を失っていくか

いかないかを見てるわけ。ちょっと厳しいようだけど、これは本当に大切な

ことなのよ。この過程で、子どもの頃の心を忘れなかった人だけが、大人に

なってから、また精霊から声をかけられるってわけ。それだから、子どもの頃に

比べて、その人数はうんと少なくなってしまうのよね。残念だけど。

今日は、私たち精霊のことや大切なことを話したんだけど、わかってもらえた

でしょうか?じゃあ、今日はこの辺で。またね。


第六小学校の呟き ー八小からの伝言ー

2010-05-30 23:33:06 | 校舎(精霊)の独り言

ナムナム・・・・・・え、何やってるのって?あのね、八小の妹とお話してたの。そう、

三月に逝った、実際には五月だけど・・・・・。最後に、あの子言ってたんだ。五月

半ばの日曜日に、卒業生が中心になって、『八小まつりーみんなの同窓会ー』を

やって、送ってもらえてうれしかったって。もう、思い残すことないって。ほんと、

楽しかったって。「私のかわりに、みんなにありがとうって伝えてね。」って言われた。

なんか、私の方が悲しくなっちゃったよ。でも八小、あれでふっきれたんだね、きっと。

それまでは、なぜ自分が逝かなければならないのって、八小、淋しそうだったけど、

まつりのあとは、なんかふっきれた顔してたもの、八小。八小、私たち姉妹みんな

あなたのことを忘れないよ。だから、安心して。私たちのこと、空の上から見守って

いてね。あなたの建っていた場所は、公園になって多くの人が憩いに来るよ。

そしたらその人たちのことも、空から見守ってあげてね、お願いよ。大好きな八小!

もっと、もっと、いっしょにいたかった、もっと・・・・いっしょに・・・・・。でも、しかたないね。

最後にもう一度だけ言うね。大好きだよ八小!38年間、ありがとう八小!クスン・・・・


第六小学校の呟き

2010-05-29 16:29:10 | 校舎(精霊)の独り言

ふぁ~、やっと終わった。つかれたぁ~。もう、四小姉さんたらうるさいんだもん。

あ、でもね、挨拶はちゃんとしなくちゃって思ってたのよ。なのに、四小姉さん

せかすんだもの。それでね、ちょっとおかんむりなの、わ・た・し。

では改めて、皆様、『風の向こうに 第一部~第三部』を最後まで読んでくださり、

ありがとうございました。これで、このお話は一応完結しますが、もしかしたらまだ、

『番外編』というのがでてくるかも。その時は、また読んで下さいませ。あ、あと

『卒業記念樹』のことは、わかりしだい書くそうです。それとね、夢ちゃん何やら、また

私たち姉妹を題材にした物語を書きたいみたい。まだ、はっきりしたものにはなって

ないみたいだけど。今度は、私と四小姉さんと、それに二小姉さんまで入るみたい。

はてさて、どんな物語になるのやら。ちょっと心配、でも、うれしい。始まったら、また

読んで、ね!

では、またね~~!


第四・第六小学校より挨拶

2010-05-29 11:41:59 | 校舎(精霊)の独り言

四小 「六小、何やってるの?早くこっちへいらっしゃい。まったく、遅いんだから。」

六小 「ああ~ん、待ってえ~、姉さん。」

しばらくして・・・・・・・・

六小 「ふぅ、やっとおいついた。もう、姉さんったら速いんだもん。もうちょっと

    ゆっくりしてよ。」

四小 「何言ってんの。さ、それより、皆様にご挨拶、ご挨拶。」

六小 「あ、うん。」

四小・六小 「とりあえず、『風の向こうに』(第三部)をもちまして、夢ちゃんと私たち

        姉妹とのお話はおしまいです。皆様、長いこと 私たちにおつきあい

        下さり、ありがとうございました。そして、これからも、時々は私たちの

        ことを思い出していただけたら幸いに存じます。皆様、本当に

        ありがとうございました。」

四小・六小、ともに読者に向かってお辞儀(ペコッ)

 

 

 


風の向こうに(第三部)六小編 其の参拾五

2010-05-26 23:35:24 | 大人の童話

六小と別れた夢は、門を出ると校庭沿いにある道を歩いて行きました。六小は

高台に建っています。そのため、少し行って六小の敷地から離れると、道は坂道に

なります。夢は、その坂道を道なりに下りて行きました。すると、戸久野川沿いの

道に出ます。この川沿いの道を行けば駅に着きます。夢は帰り道に、なぜここを

通ることにしたのでしょうか。夢は、自分が子どもの頃見なれていた風景が、今も

見られるのかどうか調べたいと思ったのです。夢が見慣れていた風景、それは、

当時川沿いの道からよく見えていた、大好きな六小の時計台のことです。六小の

建つ丘までの坂道の周りは、当時とちがい、今は家がたくさん建っており、その

風景はだいぶちがっています。はたして、川沿いの道から六小の時計台は

見えるのか、夢は内心、見えないだろうと半分諦めていました。しかし、夢の思いに

反して、時計台はしっかり見えています。夢は、小躍りしながら声をあげました。

「わぁー、まだ見えてる!懐かし~い、良かったぁ~!」

夢の頭のなかに、今夢がいるこの場の、当時の様子がぱあーっと浮かんでは、

走馬灯のように流れていきました。夢は、改めてあたりをながめてみました。

すると、長い年月の間に六小の周りは変わっても、今夢がいるこのあたりは、

ほとんど変わっていませんでした。きっと、それでなのでしょう。時計台が、昔と

変わらず見えたのは。遠くに見える時計台を、じっと見つめる夢の頬には、

ひとすじの涙が伝っていました。しばらくの間、時計台を見つめていた夢は、やがて

時計台に向かい大きく手を振ると、駅の方に向かってゆっくりと歩き出しました。

                                               完